第27話
「グッモーニン!」
夏奈お姉ちゃんにいつもとは違う起こし方で目を覚ました。
「なんで朝なのにテンション高いんですか……」
「だって今日は体育祭だよ! 1年間のイベントの中で1、2を争う大イベントなんだよ?」
「確かにそうですけど、盛り上がるのは始まってからでいいですよ。朝はまだまだ眠いです」
体育祭のリレーは絶対参加、それに走っている時は少なからずクラスの人には見られるので下手なことを出来ない。自分が早いか遅いかは置いておいて、何よりは転けないようにすることだろう。
僕の勝手なイメージだが転けて自分のクラスが負けた場合転けた人が責められまくることが多いと思う。雨音さんはそんなことを言わないと思う、でも他のクラスメイトは別だ。
僕のことを知らないからこそそういうことが起こるかもしれない。
「体育祭のあとの文化祭と後夜祭も楽しみだよね。3年のことも考えて6月にやってるけど、これらが終わったらあんまりイベントが残ってないんだよねー」
「確かに学校と言ったらっていうイベントが全て6月に集まってますもんね。でも修学旅行とかはあるんじゃないですか?」
「んー、でも修学旅行って結局は場所次第でもあるじゃん? 近場の時もあれば北海道まで行くこともあるし」
せっかくなら普段行かないところに行きたいと思うのは当たり前だろう。まぁ僕は大阪から出たことがないというか大阪内の有名なテーマパークすら行ったことがないので来年修学旅行に行く時はどこでもいい。
そしていつも通り夏奈お姉ちゃんが作ってくれた朝ごはんを食べて夏奈お姉ちゃんと一緒に学校へ行く。
「そういえば最近、学校で未来お姉ちゃんを見ていませんね。何かあったんですか?」
「それは雪くんが未来に出会ってないだけだよ。ただ……未来は何かあったとしても私たちには言わないと思うけどね」
学校にいたので夏奈お姉ちゃんと別れたあと僕たちが設置したテントの中に入る。まだ6月でまだマシとはいえ、ずっと日に照らされていると暑い。
「おはよう雪、快晴で今日は体育祭日和だと思わないかい?」
「これだけ晴れてる日に体育祭ができるのが1番好ましいでしょうし。まぁ僕にとってはそんなことは些細な問題でしかないんですけど」
「雪がこういうことを嫌いだからでしょ? 大半の人は晴れててよかったと思ってるさ」
確かに曇りの日に体育祭をやるよりかは晴れてる方が気分が上がるって言うのは理解できる。本当は体育祭などやった事がないので晴れだとしても曇りだとしても関係なしに楽しめるということだ。
「最初は3年生と2年生の競技をやって、その時の本部席は僕らだってさ。雪は放送できないだろうしウチがやるよ、代わりに雪は他のことを頼むよ」
「わかりました。まだ全然生徒は来ていないのでとりあえず適当に暇つぶしでも来ておきましょう」
他の生徒たちが集まるまでは今来ている知り合いと話したりテントで涼んだりしながら時間を潰した。
そして時間になり真ん中に集められ、3年生の選手宣誓を聞いて体育祭が始まった。
しばらく僕たち1年生はやることがないのでそれぞれのテントで結構自由に過ごしているが僕達は本部に移動した。
「会長は体育祭にでれないんでしたよね?」
「そうね、ずっと本部に居ないといけないのよ。まぁ私自身運動はあまり好きじゃないから別に構わないんだけどね」
「最後の体育祭なのにいいんですか? 友達思い出を作ったりとかはしなくて」
いくら受験があるからといっても、3年生の最後の体育祭ぐらい出たいと思わないのだろうか。
「問題ないわよ、競技に出れないだけだもの。それを考えたら誰よりも楽かもしれないわね」
生徒会って手伝いが多い上にその会長なんだからそのくらいの特権はあってもいいのかもしれない。僕たちがやるはずだった放送も会長がやってくれたので僕達はリレーの合図の係に回った。
「おー、よく見るけど実際に使う機会はないやつだね。ちゃんと耳栓をしてっと……」
「僕は初めて見ましたけど……本物じゃないんですよね?」
「煙は出るし音もでかい、限りなく本物に近い偽物だよ。リレーの合図によく使われる安心安全なものだよ」
リレーの合図を使ったことの無い僕がやるのもあれなので、打つのは雨音さんに任せて僕はダンボールの中から次のピストルを取り出すことにした。
会長の放送が入って雨音さんがピストルを打つ。そして第1走者の4人が走り出してその人たちがゴールしたらピストルを打って第2走者の人が走り出す、その繰り返しだ。
「3年生はやっぱり早いねー」
「どうやったらあんなに早く走れるようになるんでしょうね。僕達もリレーがありますけど、こんなに早く終わらないですよ」
気づけば合図用のピストルは使い切っていて3年生のリレーも終わっていた。
体育祭はまだまだ始まったばかり、僕たちの出番はもう少しあとだが次は夏奈お姉ちゃん達が出る競技なので楽しみだ。
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