第24話

「あ、やっと起きたね、最近勉強中に寝ちゃうこと多くない? ちゃんと睡眠取れてる?」


「夏奈お姉ちゃんおかえりなさい……。別に起こしてくれても良かったんですよ?」


「いや、起こそうとしたよ!? でも起きないし気持ちよさそうに寝てるから起こさない方がいいのかなって」


あの家にいる時も今と同じぐらい勉強していて睡眠時間は変わっていないはずだ。あぁ、この家が安心できるからか、あの家では安心して眠ることが出来なかったけど、この家では僕が机で寝ていても怒られることは無い。


「ここが安心できるから、僕は寝てしまうんでしょうね。僕は睡眠時間を変えてないので、あの時からの疲労が溜まっているんだと思います」


「でも最近ずっと勉強してる途中に寝落ちしちゃってベットで寝てないでしょ? 体を痛めるからちゃんとベットで寝た方がいいよ」


まぁ最近は机で眠ってる日の方が多い気がするので眠くなったらベットに向かうことにしよう。この前のテストで今みたいな勉強続けなくても3位以内には入れることはわかった、なぜなら3位の雨音さんと4位の人の点差は17点も空いていたのだから。


周りで僕たち3人が競っていることになっているので3位以内は取っておきたいところなので今からほんの少し勉強時間を少なくしよう。まぁ正直周りが勝手にそう思っているだけなので僕は何位でもいいのだが、雨音さんに言われた通り、周りの噂を考えれば3位以内を取った方がいいだろう。


「そういえばもうすぐ、体育祭ですね。他の学校とは違って6月にするんですね、確かに暑くは無いかもしれませんがそれなら10月でいいと思うんですよ」


「6月だと3年生も参加できるでしょ?」


「なるほど、納得しました」



10月になると3年生は受験で忙しくなって体育祭なんて参加してる暇なんてないと思うが6月ならまだ数日くらい予定を空けることはできるだろう。それでも勉強したいという人もいるらしいので3年生は自由参加らしいが、大体の人は最後の思い出を作るために参加するらしい。


体育祭が終わると直ぐに文化祭がある。既にクラスでは体育祭実行委員と文化祭実行委員が選ばれていて、恐らく今も学校に残って作業をしているのだろう。


「あ、明日は実行委員の手伝いで朝から学校に行くので昼ごはんは用意しなくていいですよ」


「ん、でもあんまり暗くなる前に帰ってきてね。雪くんの見た目だと23時をすぎてなくても補導されそうだもん」


まぁ1回中学生に間違われて止められたことがあるのでそれ以来学生証を持ち歩くようにしている。今のところ1番の悩みは身長が伸びないことだ。


「大丈夫ですよ、そういう事の対応には慣れていますから。それに体が小さい分逃げ足は早いので」


「まぁ親でもなんでもないし心配しすぎかな」


「僕は嬉しいですよ、今まで心配されたことなんてなかったので」



§§§



翌朝、何故か僕の家の前までやってきた雨音さんと一緒に学校に向かっている。


「わざわざ僕の家まで来る必要は無いでしょう……? 普通に雨音さんの家から僕の家まで来たら遠回りですよね」


「雪と一緒に行きたかったという理由だけじゃダメかい? 1人で行く学校は案外寂しいものだよ」


「雨音さんがそれでいいなら僕もそれでいいんですけどね?」


学校に着くと1クラス分ぐらいの生徒が集まっていて、生徒会の人と文化祭実行委員、体育祭実行委員で別れていた。


体育祭実行委員の人は誰がどの競技に出るのかを確認していて、文化祭実行委員の人は誰が何を買いに行くのかを決めている最中だ。


「おはよう2人とも、休みなのに来てもらって悪いわね」


「まぁ生徒会に入った時からこういうことをする覚悟はしてたのでなんの問題もありませんよ。そもそも休みの日は勉強以外にやることがなくて暇だったので逆にありがたいです」


「ウチと遊べばいいじゃないか、もう友達がいないからなんて言わせないよ。別にウチ以外にも夏奈先輩とかもいるんだなら全員で遊べばいい、今まで遊べなかった分も含めてさ」


今まで遊ぶことがなかった以前にその遊ぶ相手がいなかった僕だが高校に入ってからは友達は沢山できた。結衣お姉ちゃんと関わることになったのは予想外だったけど、友達になら隠す必要も無いのかなと思ってきた。


「その遊びには私も言っていいのかしら?」


「そりゃあもちろんですよ、会長も友達ですから!」


「そう、嬉しいわ。でも私の友達は全員私のことを会長と呼ぶのよね」


確かに結衣お姉ちゃんも会長と呼んでいた、まぁまだ会長だしここではプライベートでは無いので会長と呼ぶことしよう。本当は自己紹介をされてないので名前を知らないだけなのだが……。


「それであたしたちは後夜祭パーティーのことについてなんだけど。市民ホールをその時だけ借りることになってるよ! ということでそこの飾り付けに行くよ」


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