第3話

雪くんに今日友達が遊びに来ると連絡した時にもしもの事があるのでもう一度お姉ちゃん呼びは2人きりの時だけだよと念を押して置いた。バレたら未来にいじられることは目に見えてる。


元々先に帰って口で言うつもりだったけど未来が直接私の家に来ると言うのでスマホでの連絡となった。


「楽しみだなー」


「変なことしたら容赦なく追い出すからね」


「それは遠回しに私に死ねって言ってない? こんな寒い中外に放り出されたら確実に死ぬじゃん」


「死にたくなければ変なことするなってことだよ。未来の家が私の家と真逆で助かったよ」


家に着いたので一旦未来を離れさせて私から入る。


「おかえり夏奈さん、朝に言っていた荷物はちゃんと届きましたよ。それと初めまして、夏奈さんのお友達ですよね」


「初めましてー、雪くん。私は未来、呼び方は未来さんでも、なんなら未来お姉ちゃんでもいいよ?」


「未来さんもお姉ちゃん呼びをして欲しいんですか?」


この瞬間、私の頭の中は『やばい』の3文字に支配された。


「んー? ってどういうことかなぁ。ねぇ夏奈?」


「ええっと夏奈さんが弟が欲しいらしくて、お姉ちゃんと呼んで欲しいって言われたんです。でも今日は友達が来るからそう呼ばなくていいどのことらしいです」


「へぇ、そうなんだねぇ、夏奈も私と変わらないじゃん。あ、私もお姉ちゃん呼びって大丈夫?」


普通なら止める場面なのだろうけど私が雪くんにお姉ちゃん呼びをさせていることがバレてしまったので止めることができない、終わった……。


「ぼ、僕なにか言ったらいけないことでも言っちゃいましたか!?」


「雪くんは何も悪くないよ……」


「夏奈、ゆっくりお話しようか、今日からは私と同類だよ。雪くんも一緒に遊ぶ?」


ショタコンの仲間入り……いや別にイラストを見て興奮する訳では無いしお姉ちゃんと呼ばせてるだけなので未来よりはマシなはずだ。いやそう信じたい。


「僕なんかがいいんですか……?」


「もう雪くんも友達だからね、それに同じ高校に通うことになるんだから知り合いの先輩を作った方が楽だよー?」


「じゃあよろしくお願いします、未来お姉ちゃん」


「ぶっはぁ……! それは危険すぎるね」


未来が壊れてしまった……。まぁイラストであんな感じなのに現実のショタにお姉ちゃんって言われたら気絶ぐらいするか。


「未来お姉ちゃんは大丈夫なんですか!? もしかして変な病気だったり……」


「あー大丈夫、未来はなんの病気でもないし元気だよ。ただとあることが原因で壊れただけだから」


「それって僕じゃないですか……。未来お姉ちゃんはどうやったら治るんですか」


ショタで壊れた時はショタで直せばいいので私は雪くんにとある台詞を伝えてそれを言ってもらうことにした。


「こんなことを言っていいんでしょうか……。早く起きないと家から追い出しますよ?」


「……怖っわ。それじゃあ3人で遊ぼうか、それとありがとう雪くん!」


「なんでお礼をされてるのか分かりませんが、未来お姉ちゃんが治って良かったです。また壊れたりしませんよね……?」


雪くんにそう言われたらもう壊れることは無いと思う。というか台詞が結構ガチトーン、さっきの雪くんからは想像できないくらいには怖かった。


とりあえず3人で遊ぶということに決まったが今まで私ひとりで過ごしてきたし未来もたまに来るくらいだったので3人で遊べるようなものは無い。


「お願いがあるんですけど……。外に出遊びませんか? 僕、遊んだことがほとんどないので、外のお店にどんなものがあるのか楽しみなんです!」


「そう? じゃあ近くのショッピングモールに行こうか。そこだったら買い物もクレーンゲームもできるし。雪くんの服とか買う?」


買い物に関しては半分は雪くんの服が見てわかるほどに古びていたこと、もう半分は私の欲望で雪くんに色んな服を着せてみて写真を撮りたい、そして1番にあってるやつを買ってあげよう。たぶん未来も同じことを考えてるだろう。


「この服も数年使ってますしそろそろ買い換えた方がいいんですかね。僕にセンスはないので僕の代わりに選んでくれませんか?」


「もちろんいいよ! それじゃあ今から準備するから雪くんはしばらく待っててね」


準備すると言っても化粧をする訳でもないしカバンを持ってくるだけなのでさほど時間は掛からない。私も未来も制服のままなのでクラスの人達に出会ったら少し面倒だと思う、絶対に知り合いの女子は雪くんに食いつくからね。


「雪くん、お金の方は大丈夫? もしあれだったら私たちが払うけど」


「お金の方は……あの人たちが裕福な人で追い出された時に渡された通帳には不自由なく生活できるくらいには入っていたので。向こうだって警察のお世話になるのは嫌なんでしょうね、そうじゃなかったらお金も渡してないし僕が高校生になるまで待ってないでしょうし」


少し内容があれだったが要はお金の方はなんの問題もないということだ。


雪くんは生まれて1度も遊んだことはなく、家から出たことがないらしいので大人が沢山いるところは少し怖いらしいので私と未来の間を歩くことになった。


「すみませんわがまま言って、慣れないといけないのは分かってるんですけど大人はやっぱり怖くて……。お店の人とか何もできないって分かってる人なら大丈夫なんですけど」


「大丈夫だよ、人はそれぞれ慣れないものがあるんだからさ。それに少し約得だし……」


私はクラスの人達が居ないか周りに気を配りながらショッピングモールまで歩き始めるのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る