第7話 あの子の特定に挑戦!俺本気だYO☆ 中編

「なんとなく……あの子だけは放っておけない気がしたんです。恐らく毎日トイレで泣いているんだと思います。それなのに誰も助けてあげないなんて……あまりにも……かわいそうだなと感じて、どうしてもあの子の力になりたいんです」




とても熱い魂が口から飛び出るレベルで、俺は理由を力説した。




「そうか、その強い気持ち、しっかりと受け取ったよ。なんとか話してみる」




「ありがとうございます」




「とりあえず今日はもう帰っていいよ。相談してくれてありがとね」




「はい、失礼します」




こうして進路相談室を後にして、家に帰った。




「おかえり、あの件先生に相談してみた?」




そう母が聞いてきた。




「ああ、そしたらあの子が誰なのかを調べてくれるって」




「それは良かったわね。あとは先生を信じて待つだけね」




「…………」




家族への報告を済ませた俺は、いつも通りの日々を過ごし、


次の日の放課後を迎えた。




「剛、ちょっといいかな?」




「山田先生!」




担任から声をかけられた。




「どうしたのですか?」




「進路相談室に来てほしい」




「わかりました」




こうして俺と担任は進路相談室へと向かった。


進路相談室へ向かっている途中、俺は昨日の話だなと思った。


一体あの話がどうなったのか不安に感じつつ、進路相談室に到着した。




「もしかして、昨日の話のことでしょうか?」




「うん。それで早速なんだけど謝らないといけないことがある」




「……?」




謝らないと……いけないこと?




「実はトイレにいる子が誰なのかは、既に知っているんだけど、剛に言っていいものかわからなくてね。隠していてごめん」




「いえいえ、その子のプライバシーに関する問題ですので、そういうことだろうと思っていましたよ」




まあさすがに他のクラスの生徒状況の共有ぐらいはするか。


そのことに気づけなかったのは俺の軽い知識不足だった。




「理解してくれてありがとう、それで昨日2-1と2-3の担任に確認をしてみたんだ。そしたら結構悩んでいたけど、君の熱意を信じて話すことを許可してくれた」




「そうなんですね」




「それでなんだけど、今からその子の名前とか、その他色々な情報を話すんだけど、約束してほしいことがある」




「約束してほしいこと……ですか?」

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