天使と過ごす甘い時間と、チョコレート
夏澄
第1話
「あなたはあと一週間で亡くなります。これは神さまがお決めになったさだめですから、どうすることもできません。でもあなたは運が良い。普通の人はそんなことを告げられることもなく、その命を終わらせるから」
「…どうしてって、それを知りたいのですか。いや、それを知ってどうするのですか。この運命は変わらない。あなたは一週間後に死ぬ。だとしたら、そんな知ってもどうしようもないことではなく、もっと有意義に残りの人生を使った方が賢明だと思いますけど」
「はぁ、まあどうしても、と言うならば。…頼みました。だから私が、神さまに頼みました。残りの時間をあなたと一緒に過ごしたいと」
あなたはなにも覚えていない。というよりも何も意識していないのでしょうね。いじめっ子が大人になった時に、だれかをいじめたことを忘れるように。人を当たり前のように助ける人が、その当たり前のことをしたとしても。あなたにとってそれはただの日常だから。
だからこそ、あなたの最後の日常は非日常として、あなたに徹底的に伝えなければならないのです。あなたがどんなことをしてきたのか。ううん、あなたがどんなに素敵な人なのかを。私があなたにどんなに救われたのかを。
「なので、今日から私もこの家に住みますので。どうぞよろしくお願いしますね。…短い期間ですが。とても、とっても」
天使と過ごす甘い時間と、チョコレート 夏澄 @natsusumi_yuki
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