第173話 始動です!
今日はポーション屋さんがオープンの日。
私はナリアルさんとリューリーさん、グルガルさんとディアも一緒に2階のお部屋で待機中。みんな知ってるからディアは元のサイズで寝てます。
紅嵐メンバーはギルドから依頼が出てしまい、さすがに冒険者業を再開。森の点検に行きました。
「お客さんくるかな?」
「来ると思いますよ。宣伝もしていますし、物が物ですからね。」
危険物みたいな言い方をしないでください。
従業員さんとの顔合わせから1週間くらいポーション作り続けました。そこまで作る必要なかったんだけど、在庫確保のためにね。
前からお家にあったポーションは詰め替えて、新しいやつも箱に詰めてお店の倉庫に運びました。
お家の小屋の棚にもまだ大量にあるし、リューリーさんたちには王都と1回往復してもらったから証拠もばっちり。
すごくない?1週間で往復できちゃうんだよ。意味分かんないよね。馬に乗って飛ばして3日の距離だよ。それをただ走って同じ時間て。
「お、時間だ。」
「これぞ高みの見物。」
「小せえのにそんな難しい言葉よく知ってんな!」
「どうせ小さいですよーだ。」
グルガルさんとは言い合える仲になりました。2人ともお耳がぴくぴくしてて可愛いんだよ。
猫と虎だから移動が得意と言われて、猫科関係あるんだーって耳をまじまじ見ちゃったのは内緒。
そうそう、飲み終わった空の瓶はお店で回収するんだって。空き瓶回収をお店でやって、綺麗にしてまた使い回すらしい。
使い回すってどうなんだろう…と思ったんだけど、クリーン使えば綺麗になるしそれが普通と言われたので納得。魔法が便利だった。
回収した瓶の処理はお店でやって、リューリーさんたちが回収して王都まで運ぶと見せかけて小屋に届けてもらう。
じゃあリューリーさんたちは何を運ぶのかと言うと、瓶も多少あるんだけど。
「まさか食いもん運ぶ事になるとはな」
「見せかけのために動いてもらうなんてもったいないので。その分給金が出るんですから働いてくださいよ」
「わかってますよ。」
はい。仕送り的な物を王都のお屋敷から運んでもらってます。料理長のくまさんからお米とか、肉バルのジェレミーおじさんからソーセージとか。
もう週1の定期便みたいな扱いになってます。とってもありがたいし嬉しいし大感謝なんだけどね。
変わった調味料とか送ってもらう代わりに、私はみんなが好きそうなメニューのレシピをメモにして送ってる。Win-Winではあるとおもう。
「お、客入り始めたぞ」
「小さな子がいるので初級目当てでしょうか。」
「飲んだら他のポーションに戻れねぇんだよなぁこれが。危険すぎるやつだ。」
「だから危険物みたいに言わないの!」
「でも実際もう戻れないよ、僕も。」
「リューリーさんまで。」
実は2人、味付きポーション飲み放題。瓶はお店のじゃなくて作り始めた時に買ったやつなんだけどね。王都に行くときに渡したら飲んでくれたらしく、2人揃って危険だって言うんだよ。ひどいよね。
でも好きな味で作るよって言ったんだけど、飲みやすいだけで十分って小屋にある在庫を飲んでくれるんだ。だからメンバーの各好みの分をちょっとずつおすそ分けしてる。
「あ、冒険者パーティーだな。Cくらいか?」
「ほんとだ。グルガルさん知ってる人?」
「いや、知らん。知らんが持ってる武器は初心者でもないし、かと言って上級に上がれるほどの雰囲気もないからそう判断した。」
「彼らはC級で合ってますよ。」
「おぉ。グルガルさんすごい。」
グルガルさんがパーティー見ただけでランクを言い当てた。リューリーさんを見ると頷いてるから、分かったのかもしれない。獣人さんの能力?
「なんか勘違いしてそうな顔だな。種族特性じゃねーよ、ランクが上がると大体分かってくるんだ。」
「リューリーさんも?」
「自分より強いかどうかは分かるようになるかな。」
「ナリアルさんも?」
「分かりますね。何故か、何処を見て、と聞かれると困りますが。何となくは。」
「すごーい。」
「嬢ちゃんは分からんでいいんだよ。とんでもねぇ相棒がいんだろ。」
そういうグルガルさんはディアをちらっと見る。そしてディアはうっすら目を開けて睨むと興味なさげにフンッとして寝た。
これにはみんなで苦笑い。ディアさん何故かグルガルさんとリューリーさんには冷たいんだよね。わたしが襲われたこと気にしてるのかな。
「ちょっと見てきますね。客が多くなってきましたので」
「はーい、行ってらっしゃい。あ、お昼どうする?みんな休憩入れなそうだよね。」
「あった方がいいかもしれません。3人で買ってきてもらえますか?」
「わかった。ディアも行く?」
〈当たり前だ〉
〈だよねぇ〉
ってことで、グルガルさんとリューリーさんと一緒に屋台のご飯を買いに行きます。
「食いたいもんあるか?」
「特にないかな。2人は?」
「「肉かな(だな)」」
「うん。なんかもういろいろいっぱい買っていこう。」
肉食獣か育ち盛りの少年か。いや猫だけど。
心の中でツッコミ入れつついろんな屋台をまわってお買い物。お肉の串をいっぱいと、焼かれたソーセージの盛り合わせ、ケバブサンドにサラダボウル、あとはパン屋さんでパンを数種類。
スープがないけど許してもらおう。
荷物は2人がそれぞれ持ってくれてるんだけど、ディアの分もいっぱい買ったのでそれは自分のカバンに。
そしてルンルンお店に戻ると。
とんでもないことになってました。
「2人に残ってもらって正解でした、外で待ってる人の案内と整理お願いできますか?目に余る態度の者は追い返してください。」
「「行ってきます」」
裏口から入るとナリアルさんが待っていて、2人は警備員としてお仕事に行きました。もしものためにいてもらったんだ。
「リンさんお手伝いお願い出来ますか?」
「大丈夫だよ!何したらいい?」
「袋に入れる作業をお願いします。あと小さな子がいたら軽くフォローをお願いできればと」
「任せて。行ってくる」
〈ディア上に行ってる?〉
〈いや、ここにいる。何かあれば呼べ。〉
〈ありがとう!ご飯出しとくから食べててね〉
〈気をつけろ〉
〈大丈夫だよー〉
って事で従業員さんに混じってお仕事します。
レジバイトの経験もあるしお店の店員さんってお仕事は慣れっこだったりする。
急に登場した私に驚いた従業員さんたちだけどそんなこと気にする余裕もないくらいプチパニックになってた。
大量の人が入ってきちゃうのはグルガルさんたちがなんとかしてくれると信じて、私は台に乗ってひたすらポーションを袋に入れてお客さんに渡す。
下手にお金触るよりこっちの方がいいもんね。
お母さんに抱っこされてる小さい子が混雑に泣き出したりしたけど、ちびの私が話しかけると落ち着いてくれた。お子さまパワーすごい。
お昼を過ぎても人が多かったので、交代でご飯を食べてもらって休み少なく働いてもらうことになっちゃった。今日のお給料アップしてもらわなきゃ。
一定数が絶えず来て、冒険者やママさん、おばあちゃんおじいちゃんもいた。
途中棚の在庫が無くなりそうで補充したり、ポーションについて質問されたピートさんが固まったり、無駄にカッコいいクーディルさんに女性冒険者が群がったりしたけど。
このままならなんとかなりそうです!
初日だもんね、がんばろ。
問題が起きませんようにっ。
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