第166話 見守る者

武器屋のおじいちゃんにナイフのメンテナンスをお願いして、アマンダさんのところで冬用の服とパジャマを追加で購入。


魔道具店のおばあちゃんのところに行って大きめのヒーターを買って、魔石を交換してもらった。魔石の魔力は使い切ったら終わり、魔力を入れ直すとかは出来ないらしい。


魔石についてはちょっと裏がありそうな言い方してたから、もしかしたら何かあるのかもしれないけど。秘密っぽかったから深く聞かなかった。



お買い物を終わらせたら、また武器屋に戻る。


「特に問題は無かった。ワンドとして使う方が多いのか?」

「うん、戦う時は魔法使う方が多いし近距離戦は怖いからやらないの。もっとつかった方がかいい?」


「いや、使えるなら魔法の方がいいだろ。ミスリルに魔力が馴染んでたが、肌見放さず持ち歩いてるのか?」

「さすがにお家では部屋に置いとくかカバンに入れてるけど、冒険に行く時も、お買い物の時も腰に着けてるよ。」


そう答えるとじーっと見つめられる。もしかしてバレたかな?と思ってると、思いっきり頭をわしゃわしゃされた。


「何かあればいつでも来い。そこの従魔さんも、ここの場所覚えておいて損はないと思うぞ」


入口近くで座ってたディアが頷く。


やっぱバレたかぁと思ってフランクさんを見ると、優しく微笑んでいました。もしかしたら一緒に住んでる皆にはバレバレだったかな。


ナイフを持ち歩くようになったのは狙われてると知ってから。お買い物に行く時も必ず持つようになった。もしもの時に使うというより、武器を持ち歩いてると印象付けたかったから。


必ず腰にナイフをつけてれば、狙う時そこに注意するようになる。そして私をちゃんと知らない人なら、まずナイフが護身用で、何かあればそれを使うんだと思うはず。


実際はナイフの使い方なんてよく分かんないし、魔法の方が強いんたけど。


狙われようが攫われようが気にしてない、なるべくどっしり構えている雰囲気を出していたと思ったんだけどなぁ。


「困ったことがあればここに駆け込むね。ディアにお願いするかもしれないけど。」

「あぁ、全く問題ない。なーんもなくても来ていいんだぞ?話し相手はいつでも歓迎だ。」


「うん、ありがと。たまにお茶しにくるね。」

「じじいの楽しみが増えるってもんだ!」


ニカッと笑うおじいちゃんは思いっきり笑った後に優しく微笑んでまた頭をぽふっとした。


優しい目に見られてくすぐったくて直視できなくて。うつむいちゃったけど心はぽかぽか。


「んじゃありがとね、じーさん」

「お前はもっと武器を丁寧に扱え!」


復活して、一緒に短剣数本をメンテナンスに出してたフランクさんがお礼を言うと吠えられた。あまりの勢いと変化に驚いたけど面白くて笑っちゃった。


態度が違いすぎるよおじいちゃん。


「また来るね!」


声をかけてお店を出ると、人通りが増えていた。はぐれないようにフランクさんと手を繋ぎ、ディアはぴったり足元をついてくる。


「パイが食べたい。」

「じゃあ帰ったら生地仕込んで、明日のメニューにしようか。」


思ってた事が声に出てたらしい。でもパイを食べたいのは本当。


「何入れようか?」

「しっかりした食事系とスイーツ系が欲しいな。何がいいと思う?」


「んーー。ちょっと寄り道して果物見に行く?」

「うん、いいね。また面白いのあるかもしれないし買い物して帰ろうか。」


お家に帰ろうと歩いてた道をUターン。食品のお店が並ぶエリアに向かった。


材料を見ながら作りたいパイ料理を考えて、あれやこれやと買っていく。


ベーコンポテトパイって美味しいよね。あの有名チェーンののやつ。味の濃いベーコンは無かったからお肉をカリカリに焼くことにした。


あとはチキンクリームパイとピザパイも好き。チキンじゃなくてロック鳥使うけど、クリームは小麦粉多めでぽってり濃厚に作ろう。


甘い系はかぼちゃクリームパイとマロンのデザートパイ、紫ポテとスイートポテトパイでいいんじゃないかな。秋といえばの芋栗カボチャセットです。


あとはガッツリ食べれるチーズとひき肉のピリ辛パイを作る予定。ひき肉はまた大量に作ってストックしとこうと思います。


「よくそんなほいほい色んな種類思いつくねえ?」

「色んな種類を食べたことあるからね。買うより作る方が多かったし。」


アレルギーや材料費を考えると作った方が安くて安全だった。パイ生地はいっぱい作って冷凍しとけるし、中身はパイに乗っけて焼いても冷凍しても、普通に食べてもいいようなのしかないし。


「リンちゃんが料理上手で助かってるよ、ほんと。あいつらに任せると黒焦げか生煮えが普通だったし。」

「でもみんな焚き火で上手に料理してたよ?」

「さすがに教えたよ、外で食べる時の注意やらいろいろね。魔物には余裕で勝てるのに食べ物で腹壊して死にかけるとか、笑えないでしょ。」


それはさすがに笑えない。そしてお腹壊して死にかけないでいただきたいです、何してるのさ。


「高ランクになってからは無いけどね」

「ふふっ」


それは昔はよくあったってことではないですかね?

死ななくてほんとによかったよ。食中毒とか毒キノコとかでも亡くなることはあるんだもん。気をつけて欲しい。


「パイ生地と一緒にピザ生地とひき肉の作り置きしたいんだけど、いい?」

「もちろん!ひき肉は任せて。」


「じゃあぼくは捏ねるの頑張るよ」

「まかせた!」


話はあっちこっち行くけど、手を繋ぎながらお家に帰るのは楽しかった。




家に着いたら小屋にヒーターを設置して、それぞれに魔石をセットした。交換の方法も教えてもらいました。


キッチンに入ったらパイの中身用の食材は一旦食糧庫にしまって、パイ生地とピザ生地、ひき肉作りをする。


〈ディアはどれいっぱい食べたい?〉

〈ひき肉入りのがいいな〉


〈辛いと思うよ?〉

〈問題ない。〉


〈そっか。ならいっぱい作るね!〉


フランクさんとお話しながら、リビングでくつろぐディアとは頭の中でお話。


たまにディアに話す内容を口に出しちゃったり、逆にフランクさんに話しかけようとして頭の中で喋ってたりで1人プチパニックだった。


結局声に出しててもディアには聞こえるから、大きめの声でディアに話しかけることになった。


みんなが帰ってきてフランクさんがおじいちゃんに怒られた話をして、昔の話を聞いてみんなが苦笑いして。


今は問題ないと力強く言われていっぱい笑った。

ディアも楽しそうで、アホか?って時折ツッコミいれてた。皆に聞こえてるか分かんないけどそれがまたおもしろかった。



今日も1日思いっきり楽しみました。

それに明日はパイ料理作りが待ってる。


心地よい疲れにぐっすり爆睡のリンなのでした。




芋栗カボチャ、好きだよね?

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