第151話 ダンジョンとは

「カルで決まりだろ、どう見ても」

「トップはこれかな?」

「決まりだろうねー」


「レイさんとナリアルさんのおかげだね。…カルダさんは、ねっ」

〈否定のしようがないな〉


リンちゃんとディアにまで言われたぁとしょんぼりカルダさん。一目瞭然だとスルーの他のメンバー。


今は魔石を取り出し中。4体いるから、どれが1番損傷少なく倒せてるかの勝負?になったらしい。


1番傷が少なく倒せたのはレイさんが盾で相手してたやつ。次に奥の2体で、それはどっちも同じくらいだった。矢が刺さってたり細かい傷があったり。


んで、とんでもなくズタボロの1体はカルダさんさんが魔法で倒したやつ。


レッドベアの毛皮は高く売れるし人気なんだって。特に貴族に。赤いし目立つもんね。


この場で全部解体すると思ってたんだけど、そこはプロに任せた方がいいらしい。ギルドにちゃんとした解体専門の人がいる。いつもウサギの解体とかお願いする人たち。


そしてなぜ魔石を取り出しているのかと言うと、外の魔物かダンジョンの魔物かの判断のため。


「しっかり魔石あるな、でけえのが」

「こっちもありますね。」

「こっちは少し小さい」

「解体お願いしたら、この肉だけもらわなきゃね」


我らが主夫さんだけちょっと違うこと言ってるけど、ガイトさんとナリアルさん、レイさんでしっかり確認中。


カルダさんはしょぼくれつつ、襲われないように結界を張ってくれてます。アルダさんは警戒+見回り中?木の上から索敵してます。ほんと忍者。


「ダンジョンの魔物について、人間視点でのお話をしますね。」

〈その方が良い〉


ディアはダンジョンの魔物は外に出てこないって言ってた、けどみんなはここにいるのがダンジョンの魔物かを調べてる。絶賛矛盾発生中。


「基本はディアさんのおっしゃる通り、安定したダンジョンの中から魔物が出てくることはありません。ただし、不安定な場所に関しては別です。」


「今回のような出来立てのダンジョンからは、魔物が出てくることがあります。内部が安定すればそれも無くなりますが、おおよそ半年から1年は警戒が必要とされています。」


あれかな、ダンジョンの中の魔力量みたいなものが不安定で魔物を出すのに制御しきれない、みたいな。ダンジョンマスターとかいるのかな?悪魔とかだったりして。


「いいですか?続けますよ?」

「はい。すみません。お願いします。」


思考が飛びました。


「ダンジョンはいつか崩壊します。理由はまだしっかり分かっていませんが、内部の老朽化や魔力の流れの問題、ぶっ飛んだものだと神の御業みわざと考える人もいます。」


神様そんなことするの?まぁ聞いてもわかんないんだけど。


「ダンジョンが崩壊する時、中にいる魔物が溢れ出てきます。それをスタンピード、と呼んでいます。」

「スタンピード」


想像するのはとんでもない魔物の大群。弱い小さいのから、でかくて強いのまでが一斉に出てきて人を襲う風景を想像してしまった。


「怖がらせてしまいました、申しありません。スタンピードは40〜50年に一度起こると言われています。最近では十数年前に起こったので、あと30年は安心ですよ。」


「どこで起きたの?この国?」

「いえ、別の国です。ヴァクスタルムという都市国家があり、そこのダンジョンの1つですね。あの国は複数のダンジョンをまとめて管理しており、迷宮都市とも呼ばれます。」


「この国には何個あるの?」

「分かってるのが2つ。今回発見されたら3つ目になります。安定して間もないのて、向こう40年は安定しているかと思いますよ。」


よかった、魔物の大群に押し寄せられたら街の人達が危ない。…あれ、ここ冒険者の街だからみんな強いのかな?


心配やら安堵やらでプチパニックになってると、くまさんの検分が終わった。容量の大きいカバンを持ってるアルダさんとカルダさん、私で分担して持っていく。


地面をきれいにして結界を解いたら、アルダさんの案内に続いて進む。


見えてきたのはこんもりと土が盛り上がっていて、真ん中にぽっかり穴が空いてる見るからにダンジョンの入口ってやつ。


「少しだけ入るが、リンどうする?」

「行ってもいい?邪魔はしないようにがんばる」


「邪魔にはならんから問題ない。ナルとレイと俺が先頭を行く、残りはリンの後ろから後方確認」

「「「了解」」」


ってことでまたディアにのって進む。面白いのでメモ帳を手に持ち、見たものを軽く描いていく。言葉も添えながら簡単な絵を書くだけだけど。


入口はレイさんやディアに乗った私でも普通に入れるくらい高さも幅も十分ある。


「洞窟系ですね」

「まぁ入口からしてもそうだろうな。」


土をまっすぐくり抜いた様な洞窟がずーっと続く。ほんの少しだけ、何かの違和感を感じた。その方向を見ると矢印がでる。ホーンラビを見た初日と同じ、ここに何かあるよって合図。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−

罠 落とし穴

特徴 特定の壁を触ると発動、数階下に落とされる

備考 (ショートカットになったりならなかったり)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−


〈罠の鑑定が出たんだけど、伝えるべき?〉

〈べきだろうな〉


「ガイトさん、その右の壁の1箇所に触ると床ぬける。数階分落ちるって。」

「はっ? あ、鑑定か、規格外だな。助かる。どこか分かるか?」


「ガイトさんさんの腕1本分先にある、ちょっと出っ張ってるとこだと思う。」

「サンキュー、とりあえず離れてくれ。んでナル、あれ押して」


押してってナリアルさん落とす気か?と思ったんだけど、その辺に落ちてる石ころをぶつけて発動させた。あれだ、投擲とうてきスキル的なやつ。ナイフ投げたりするのに絶対持ってるもんね。


落とし穴は1メートル四方くらいで、スイッチの真隣にあいた。触った人だけ、もしくは近くの数人なら一緒に落ちる。


「罠ありのダンジョンか…」

「これは面倒くさいですね。」


「ちなみにそれ、ショートカットになったりならなかったり、らしいです。」

「なんだそれ?」

「さぁ?」


鑑定結果をそのまま伝えてるので、私にも分かりません。ならなかった場合はどうなるんだろうね?高すぎて怪我するだけならいいけど。良くはないか。


「リン、気になる箇所があればはやめに教えてくれ。そしてお前少し前に来い」

「はぁい」


ガイトさんを先頭に、ナリアルさんとディアに乗った私が周りを観察しながら進む。


「前方1メートル、足元にスイッチ」

「んとね、しゃがめば回避できるくらいの針が上から出てくるよ」


ナリアルさんが気付いたら私が詳細鑑定、離れたら発動させてどんな罠か見る。連携プレイです。私が毎回最初に見つけられるわけじゃないしね。


カチッと足元のスイッチを押して飛んで戻ってくるフランクさん。身軽だね。


すぐさま上から剣山みたいな針が数十本でてきた。長さは洞窟の高さの半分。立ってたら間違いなく串刺しだけど、しゃがめば回避できるのは間違いないみたい。


面白いので罠を見つけたら報告、終わったら絵に描いてた。


とりあえず何個か罠を試して早々にギルドに戻り、くまさんの解体をお願いしてギルマスさんたちにダンジョンの報告。


自分用にしてたメモをナリアルさんに出せと言われ出しました。お兄ちゃんこわい。


そして探索チームに私が強制参加となりました。

なぜだ!簡単にやられちゃうよ!?


って言ったらんなわけないとみんなに言われた。

どしてかな。あ、ディアか。強いもんね。


ってことで、荷物を整理したら数日後にダンジョンの探索捜査に入ります。今回はユシリスさんも一緒だよ!


楽しみにだね。ご飯何持っていこうか。

行くまでは料理三昧になります!

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