第150話 いざ対決
森を進みながら突っ込んでくる小さい魔物を倒し歩いてます。私はディアの上だけど。
「もう少しで昨日発見した場所に着く。」
「りょーかい、一応警戒」
「「はーい」」
レイさんに続いてガイトさんが警戒するように言う。返事も雰囲気も軽いけど、実際はほんの少しの物音でも見逃さないくらい集中してる。すごいね。
〈この辺変な感じする?〉
〈あぁ。理由が分かったかもしれん〉
〈あら、ほんと?みんなに伝える?〉
〈伝えるべきだな。〉〈少し止まれ〉
ディアの言葉にみんな歩くのを止める。けど、ここま森のど真ん中なのでカルダさんが簡易的な結界を張ってくれた。
「なんだ?」
〈恐らく魔物の巣食う場所がある〉
「ゴブリンか何かか?それならこんな奥には出来ないはずだが。」
〈ダンジョンと言って伝わるか?〉
「あー、そっちか。伝わる、理解した。理解はしたがまじか」
「近くにあるのですか?」
〈魔力に違和感がある。間違いないだろう。〉
「うわぁ、どーすっかね。今日はとりあえずレッドベアだけ倒して、またしっかり準備して探索しなきゃだよなぁ」
「
ダンジョンってあのダンジョン?魔物が出て倒したら物が落ちるファンタジー要素満載のあれ?
「めんどくせぇな。ギルマスに丸投げするか」
「探索できるグループが他にいる?」
「いないよぁぁぁ」
楽しそうだと思うんだけど、みんなはとっても面倒くさそうな雰囲気。楽しい場所ではないのかな。
「ダンジョンは安定していたら、いい稼ぎ場所になります。ただし、出来た最初は不安定なので必ず探索が必要で、その際出てくる魔物の種類や数を確認しないといけないんです。」
「場所によって出てくる魔物は違うの?」
「違いますね、各ダンジョンがそもそも全く違う作りですので。地下にあるのに建物の中みたいだったり、遺跡風だったりします。ただの洞窟の場合もありますし。」
頭にハテナ浮かべてたらナリアルさんから解説が入った。土の洞窟みたいなやつだったり壁がちゃんと作られてる風のやつだったりするのかな。ファンタジー小説の定番だね。
「出てくる魔物がその辺のやつと一緒なら問題ないんだが、ダンジョンの中にでる魔物は魔法が使えるやつがいるんだ。」
「あれ、魔法使えるのってディアみたいな魔獣だけじゃなかったっけ。」
カルダさんが面倒くさそうに言うけど、魔獣が魔獣である理由が魔法じゃなかったっけ。
「外の世界はその通り。だがダンジョンは未知の世界だと思った方がいい。倒した魔物が消えて肉が出たり、道具が転がってたりするんじゃ普通じゃないだろ?」
「うん。確かに。」
言われてみたらそうだよね。倒したら物がドロップするってゲームじゃないんだから。
「その普通じゃない未知の世界にいる魔物は強さも未知数なんだ。だからランクの高い冒険者が捜索に指名される。基本は俺たちだな。」
「大変そう」
「大変です。とっても。」
ですよねぇ。ちなみにフランクさんは我関せずでみんなにお菓子を出したりしてる。マイペースなおじさまです。
「んじゃ、今日の予定はレッドベアの討伐とダンジョンがあるかの確認だな。あんまのんびりしてられないから、すぐ帰ることになる。すまんな。」
「んーん?わたしはお勉強のためにいるから気にしないで。ディアに乗ってるだけだし。」
と言うことで、小休憩ぽくなった作戦会議が終わったら即動きます。
〈ディアはダンジョン行かないの?〉
〈倒しても食えないし道具は人間が使うものだろう。私には不要、行く必要がない。〉
それもそっか。
〈もしかして、今回のレッドベアってダンジョンから出てきた魔物だったりする?〉
〈ダンジョンで生まれた魔物はダンジョンの外には出ない。ただ、魔力が不安定になるから外の魔物にも多少影響がでる。〉
てことは、魔法は使わないんだよね、とりあえず一安心。こっちの知識間に合ってないからまた今度誰かに教えてもらおう。
「左前、2体、その奥に2体」
「手前2体はレイとナル、カル、リン行けるか?奥2体は残りとフランク。」
「「「はい」」」
「いけます。ディアも一緒でいい?」
「もちろんだ。」
「奥のメンバーは右から回る。移動、合図はカフスから」
「承知」
みんな足音を消して歩く。私はディアと共にレイさんの後に着いていき、ガイトさんと奥に向かうメンバーは右奥に向かう。
お互い合図を出し合って準備完了
「(3、2、1…GO)」
カフスがカウントダウンが聞こえて、ゴーの合図で全員が動く。
前のメンバーはレイさんが1体の動きを止め、その間に近くの1体に攻撃をする。
奥のメンバーはガイトさんが突撃していって、それを弓でカバーしつつフランクさんが上手くターゲットをそらしてる。
みんなが戦う姿をちゃんと見たのは初めて。いつもとは別人ってくらいカッコいい。いつもカッコいいんだけど。
〈観察してないでフォローしてやれ。盾にかかる爪に土の重りでも着けてやればいい〉
〈そうだった〉
あまりにも素早くてぼーっと見ちゃってた。慌ててレイさんが止めてる1体の腕4本に土魔法で重りをつける。これなら毒も塞げて動きも遅くなる。はず?
重くなった腕をフル活用して盾をガンガン殴るクマ。これは逆効果だったかも?
「(出来るなら狙え)」
「(ええっ、レイさんに当たったらケガじゃ済まないよ)」
「(当たらない。合図したら撃て、俺は避ける)」
「(わかった、絶対よけてね)」
「(3、2、1、今)」
ディアの上から魔法を発動させ、赤いクマの頭を狙う。出したのは手のひらサイズの土の玉、ただしかなりの高速。
土魔法はまだ上手くないんだけど、ウィンドカッターで真っ二つにしちゃうより危険は少ないのでこっちを選択。
レイさんは思いっきりしゃがみ回避、その間に玉はクマの頭を横から殴った。驚いて動きが止まったクマに戻ってきたナリアルさんがトドメを刺しておわり。
気づけば奥の2体のもすでに倒されていて、残るはレイさんに襲いかかる1体だけだったみたい。
アルダさんが木の上から周りを見回して、残りがいないか確認中。いつの間に木に登ったの?
「助かった」
「レイさんに当たらなくてよかった。」
「いつもカルダの魔法を避けてるから大丈夫だ」
「それはそれでどうなの…?」
笑ってるから冗談なのか本気なのか分かりません。けど、参加させてもらえてよかった。ありがとうございます。
「近くにはもういないけど、ここから左に少し行くとダンジョンっぽいのがあったよ。」
「サンキュー、これ解体して向かう」
シュタッと木から降りてきたアルダさん。お疲れ様ーと頭を撫でてくれるんだけど、忍者なのかな?どうやって移動してきたの?木の上飛んできたの?猿なの?
思いっきり見てたら笑われた。
緊張してたしケガしたらどうしようとか、もう色々考えてたんだけど。
とんでもなく強い面々でした。
……カルダさんは何したの?
くまさんズタボロだよ?
魔法だよねこれ?
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