第152話 ダン!ジョン!たん!さく!

おはようございます。やる気満々のリンです。


ダンジョンを見つけてから3日経ち、今日から調査探索に入ります。今日までの時間は料理と畑の手入れ、ポーション作りとダンジョンに潜るための準備で忙しかった。


「きーつけろよ」

「「お気をつけて」」

「行ってきます!」


今は早朝のギルドの前。人の少ない時間に集まって出発の挨拶をしてました。見送りに出てきてくれたのはサリアさんとロレンさんに、ギルマスさん。


みんないつもより持ってるカバンが1つ2つ多いんだけど、大きなリュックみたいなのはなくてウエストポーチみたいなやつ。


ここは地球よりも便利だよね。重さも感じないいっぱい入るカバンたち。



「今回は例外的措置ですからね。普段から森の奥に入ってはいけませんよ?」

「はい。1人の時は入らないですよ。」


「それに今回はそこまで奥深くでもないぞ?こいつが湧いた場所に比べれば。」

「人を魔物みたいに言わないでよっ」


隣を歩くユシリスさんは、最後まで私の参加に否定的だった。ギルドの決まりでは、子どもは森の奥には入っちゃダメってことになってるし、単純にとっても心配してくれてた。


そしてガイトさんはひどい。人を魔物か虫みたいに言わないでいただきたい。


ユシリスさんにはお家の訓練場で魔法を見てもらって、ある程度は戦えることとディアがいること、最強防御アイテムたちがあることを伝えて許可をもらった。


移動はディアに乗るように約束させられちゃったけどね。


「ダンジョンまで休憩無しで行く予定だから、何かあればすぐ言え」

「はーい」


レッドベアを倒しに行った時とは道が違う。ダンジョンまでの最短距離かな。


おしゃべりしながら進んだのですぐに着いた。ディアに乗ってるだけだから楽ちんでした。


ちなみに今回はディアに乗る時間が多いと決定してるので、小さいクッションに座ってます。ディアも直に座るよりは痛くないかな?と思って。


ほら、いくらふわもこでも長時間背骨ぐりぐりされたら、さすがに痛そうでしょ。


「んじゃ、進むのはレイとナルと俺が前、リンはその後ろでできる範囲の鑑定な。後ろはフランクとサブマス、双子は真ん中で地図頑張れ」

「「うへーい」」


新しいダンジョンだから、ザックリとした地図を作らないといけないんだって。あまりやったことない双子が担当。ちょっとは手伝うよ。


ダンジョンに入ると、外に向けて立ち入り禁止の看板と、調査中の看板を置いて入口を入れないように軽く塞ぐ。見つけた冒険者が興味本位で入っちゃわないように対策です。


「そんじゃ進むぞ」

「わーい!」

「元気だな」

「えへへ」


どんな魔物が出るのか楽しみです。だって前回入った時は罠しか見なかったし。せっかくなら魔物見たいじゃん、魔物。


「そこの落とし穴はそのままだね。あ、あっちは上から斧降ってくるやつ、今日も発動させてみる?」

「前回見たからいい。鑑定使いすぎて疲れないようしろ、そして落ち着け。」


「はーい。」


見つけた罠をポンポン鑑定してあっちもこっちもって伝えたら、興奮しすぎだと苦笑いされた。後ろでは双子がメモに必死。私も書いとこ。


いろんな罠があって面白いけど、魔物は出てこなかった。気付いたら下に降りる階段がありました。洞窟だけどさすが不思議ダンジョン、階段はキレイに舗装されてます。


「こっから未知だから気をつけろ」

「「「了解」」」

「はーい」


「1人緩いのがいるんだよなぁ」

「警戒してないわけじゃないですし、いいんじゃないですか。」


無駄に元気な返事で返したら苦笑いされました。楽しみなんだからしょーがない。



階段を降りるとまた同じ様な洞窟。なんだけど、前には狼っぽいのがいる。カッコいいな、狼。


「早速おでましだ。リンは倒しきる前にあいつら鑑定しとけ。倒されたら消える」

「えっがんばる、はやっ!?」


ディアに前に出てもらったら突進してくガイトさん。待って待って、鑑定したい追いつかない!なんで先に突っ込むのかな!?


−−−−−−−−−−−−−−−−−−

名前 グレーウルフ

特徴 ダンジョンの低級な魔物。魔法も使わない。

備考 (最下級の魔物だよ。)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−


倒される寸前に鑑定できた。もうギリギリだったよほんとに。


「ウルフなのに弱いの?」

「グレーはゴブリン程度と思えば良いかと。ブラックやホワイトになると魔法を使うので、少し強くなるんですけどね。」


ナリアルさんの補足。ってことはブラックウルフとホワイトウルフもいるのか。ぜひ見たい。


「あの瞬間に鑑定できたか、すごいな」

「がんばったよ!無茶振りがすぎる。待ってくれてもいいのに。」


「サクサク進みたいからな。」

「そーだけど!」


ガイトさんにぶーぶー文句言いながらさらに進む。ちなみにグレーウルフからはなにもドロップしなかった。ほんとなんの恩恵もないんだね、あの子。


次に出てきたのはゴブリンの群れ。特に鑑定する必要もないのでサクッと倒してはい次。


この階はグレーウルフとゴブリンしか出なかった。


また下に降りると今度は罠ゾーンでした。鑑定の出番なので見つけたら報告、鑑定して絵を描いてアルダさんたちに渡してを繰り返す。


ここでみんなの予想。魔物の出る階と罠の階が交互になってるんじゃないか、との考え。そんな気がするよね。


そして階段と階段前の数メートルは魔物が襲ってこないセーフティゾーンなんだって。


たまに階段じゃなくてもセーフティゾーンになってる場所があるけど、そこは近づけば分かるらしい。


ってことで階段前でちょっとしたお昼休憩。出したのはサンドイッチと唐揚げと照り焼き味のミートボール。おにぎりはないけど、お弁当って言ったらこの組み合わせでしょ。


「普通の冒険者は基本ダンジョンに入る時はこの干し肉を持ってくる。性能のいいマジックバッグなんて高いし、持ってる人の方が少ないんだ。」

「食べてもいい?」


「歯折れるからちょっとずつ噛んで柔らかくして食えよ」

「ありがとう」


ガイトさんから長細く切った干し肉をもらって食べてみる。とんでもなく固くて味の薄い脂も少ないジャーキー、って感じ。


〈たべてみる?〉

〈いらん。肉の香りがしない〉


ディアに食べるか聞いたら、嫌な顔された。残念。

唐揚げ大盛りで準備してるしね。


食べたらどんどん進もー。

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