第148話 緊急任務が入りました
お昼を食べてからは、採った薬草とハーブの処理をした。1番最初に植えたヒシュウバナはほんのちょっと伸びたくらいで全然成長してない。
枯れてはないからお世話してるけど、育つのに何十年とかかかりそうでちょっと心配。食べたかったらディアに採ってきてもらうことにします。
「(リンちゃん、今いい?)」
「(どしたのー?)」
「(レイたちが帰ってきたんだけど、ちょっとお話があるみたいなんだよね)」
「(何かあったのかな?わかった、もどる)」
小屋で下茹でしたりまとめなおしたり、いろいろやってたらフランクさんに呼ばれた。遅くなるかもって言ってたのに、どしたんだろ。
〈戻って来てって。お家行こ〉
〈あぁ。〉
ちらっと森の方を見てから動き出すディア。何か気づいてる?
「ごめんね、急に戻ってきてもらっちゃって。作業中とかじゃない?大丈夫?」
「そんな重要なことやってたわけじゃいし、問題ないよ。なにがあったの?」
お出迎えしてくれたフランクさんとリビングに入ると、会議に行ってた2人もいた。全員集合です。
「店の話は後回しになった。森の浅いところでレッドベアが見つかった。数は3〜5体、複数体の討伐はBランク以上しか出来ない高ランクの魔物だ。」
「これから行くの?」
「いや、明日の早朝に出発する。リンはどうする?行くか?恐らく1日で終わるが、野営の可能性もある。」
「行っていいの?」
「ディアがいるからな。見つけたのがレイたちだったから、紅嵐の盾に緊急依頼が出てる。ギルマス達に言えばリンも行けるはずだ。」
「んー。邪魔にならない?」
「問題ない。行くなら作戦を立てるからこのまま会議に参加してくれ。リンが行くならフランクも連れてく。行かないなら2人とも留守番。」
〈行ってもいい?〉
〈好きにしたらいい。レッドベアの肉は美味いぞ〉
まさかの食べ物判定でした。ディアが怖い魔物なんていないか。
「連れて行ってください。」
「よし、んじゃ作戦会議といきますか」
地図でだいたいの位置を確認、大人の速めの徒歩で3時間ほどの距離。私はディアに乗っての移動になります。いつもありがとう。
「位置が分かってるレイ先頭、間にリンを挟んでフランクは後ろ、あとはその都度いい位置で」
「レッドベアは毒の爪を持っているので、リンさんの解毒ポーションをいただきますね。」
「作りすぎなくらいあるから好きなだけ。出番がない方がいいんだけど。」
「念の為です。」
「リンちゃんも攻撃していいからね、土で足止めもあり。魔法特化2人は心強いなー。あ、でも味方切っちゃだめだよ。」
「切らないよ!」
絶対にオークの時のこと言ってるガルダさん。さすがに味方巻き込む魔法は使いません。1人での戦いなら好き勝手にやるけど、連携必要なら大人しくしてます。
「アル、ギルド行って報告して来てくれ。フランクとリンは明日の食事の準備お願いできるか?干し肉買ってもいいが、さすがにあれだけじゃ苦しい。」
「はーい」
「りょーかい。リンちゃん行こう」
〈ディアそこにいる?〉
〈あぁ。〉
ディアは定位置でくつろぐことにしたみたい。私はフランクさんとキッチンに入って、片手でも食べれるような軽食作り。
今回はケバブ作ってみることにした。ピタパンを半分に切って、真ん中に切れ込み入れたらサラダと味付きのお肉をはさむ。
これだけで色んな具材食べれるし、片手でも汚れず食べれるし、なにより美味しい。
お肉にしっかり味つけるから、ソースは少なめで汁が垂れないようにちょっとした工夫をする。ピリ辛もあるよ。
味を変え肉を変え、野菜多めもあれば肉多めもある。これだけあればたぶん足りる。たぶん。
「すごい数作ったね」
「フランクさんもね。ピクニック?」
「体動かすと甘いもの食べたくなるから、あるといいんだよ、こういうの。普通のクッキーだと口の水分持っていかれるからこっちにした。」
フランクさんが作ってたのはソフトクッキー。パクっと一口で食べれるからあると便利。そう言えば飴ちゃん食べたい。今度作ろう。
「このまま夕飯の準備するから、お手伝いよろしくねー」
「はーい。」
明日はいっぱい動く予定なので、お肉いっぱいのボリューミーな夕飯です。数種類のステーキとサラダ、温野菜にスープ。ステーキソースはお好みで選べるように5種類くらい出そう。
紫ポテ(さつまいも)を縦半分に切って、バターとチーズを乗せて焼くだけの簡単メニューも追加。美味しいけどいっぱいは食べれないんだよね、重すぎて。
「はやめに寝ろよ。」
「今日詰めてもらった薬草は、明日王都に送ります。お店の話の時に箱についても相談させてくださいね。」
「わかった。ちゃんと寝るよー!」
「おやすみない」
「おやすみー」
ご飯を食べたらシャワーを浴びて、はやめにお布団に入る。いつもより早起きしなきゃだし、体力を完全回復させたい。体が小さいので体力少ないんです。
〈レッドベアってどんな魔物?〉
〈大きさは私の2倍から3倍、全身は赤く腕が4本ある。その4本の腕についてる爪に毒があるから、人間には危険な魔物だろう〉
〈ディアには毒効かないの?〉
〈効きはするが、その前に攻撃が当たる前に倒す〉
〈うん、そりゃそっか。…ん?腕4本?〉
〈4本だな。立って腕をブンブン振り回す〉
ここにきて魔物っぽい魔物のだな。クマなのかグリズリー系なのか。ディアの倍以上ってかなりデカそうなんだけど、そんなのが5体もいるの?
〈でも美味しいんだよね?〉
〈私はよく食べていた。〉
〈森の奥で?〉
〈あぁ、だが寒くなる前は比較的大人しいはずなんだ。狂暴化するのは雪が融けた後くらい、今の時期に森の浅い位置にいるのも違和感がある〉
〈んー。なんでだろう?森に異変があったのかな〉
〈何かは分からんが、異変が起きてる予感がする〉
〈危険な感じ?〉
〈分からん。だが明日は気をつけろ〉
〈わかった。〉
小屋にいた時に森を見たのは異変に気づいてたからなのか、ただ違和感があったからなのか。
森に詳しいだろうディアが言うなら、何かあるのかもしれない。
明日はポーションいっぱい持っていこう。何があってもいいように、みんながもし怪我してもすぐに治せるように。
こんだけ魔力があるんだから、治癒魔法とか使えたらよかったのに。そしたら距離があっても遠くからみんなを治せるかもしれないのにね。
異世界小説の聖女様にはなれないの、残念。
私は私の力でみんなをサポートできたらいいな。
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