第147話 お手入れは必要

おはようございます、いっぱい寝てスッキリ起きれたリンです。


今日は畑仕事なので、動きやすい冒険用の服を着ます。作業用のつなぎみたいな服があったらいいのになと思う今日このごろ。


「おはようございます。」

「おはようー。グリル野菜出来てるから盛り付けてくれる?」

「はーい」


昨日採ってきた新鮮な野菜が美味しそうに焼けてます。お皿に盛り付けたらドレッシングの作成。お野菜はシンプルなんだけど、朝だから軽めのしっかり味がいいかな。


レモンと塩コショウ、バジルにほんの少しロマリーを入れて風味づけしたら、とろっとオイルでまとめてドレッシングの完成。


好き勝手に作ってると思われるだろうから、一応説明しておくと。ドレッシングは作り置きしてあるから、いつもはそのどれかを使ってる。


けどたまに新しいのを作りたくなったり、物によっては少しだけアレンジしたりしてるのです。ここはフランクさんから好きにしていいと言われてるので、かなり自由にやってます。


「今日の予定は?」

「畑の整備しようかなって思ってるの。余ってる区画もあるし、もったいないからそこに薬草増やそうかなって。」


「1日家にいるならフランクと魔道具使え。」

「はい。ちゃんと使います。」


昨日は帰りのお知らせくらいしかできなかったし、今日は細かい会話もできたらいいな。忘れないようにします。


「株分けしていただいた薬草を入れるための箱を用意しましたので、そちらを使ってください。ポーションを運ぶために使う箱の試作品なので、気付いたことがあれば教えて欲しいです。」


「わかった。ありがとう」

「後ほど畑に運びますので、詰め終わったらフランクに運んでもらってください。」


「だってフランクさん、よろしくね」

「お任せあれー」


朝ごはんを食べたら、フランクさんと私以外のメンバーはみんな外出。アルダさんとナリアルさんはギルマスさんたちとお父さまと会議らしい。よろしくです。


レイさんと双子たちは昨日と同じように森の調査。今日は少し奥まで行くから、帰りが遅くなるかもしれないって。おやつをいっぱい渡しました。


「それじゃあ何かあったらすぐに呼んでね」

「ありがとうー!」


目の前を妖精さんがビュンビュン飛んでおります。木箱を運んでもらって今は畑の中。


〈さて、どうしようか。〉

〈計画はあるのか?〉


〈んー。出来ることなら区画を減らして6つだけにしたいんだけど。出来なければ増やすだけかな〉

〈土や草なら妖精の魔法が効くだろう。頼めば手伝ってくれるはずだ〉


〈うん、もう少し考える。まずは株分けしよう〉


『みずー』

『つちーー』


うん。何よりも先にまずは満足してもらおう。水をさっとまいたら、持ってきた土をあいてるスペースに混ぜる。枯れ草が混ざってればいずれ栄養になってくれるんだけど、時間はかかる。普通はね。


ここには妖精さんがいるから、ちょうど良い具合に調整してくれる。便利すぎるしすごい魔法だよね。


〈とりあえず満足してもらったし。育ちの良さそうな薬草を選ぼう〉

〈そのまま入れるのか?〉

〈あ、土入れたほうがいいか〉


木箱に畑の土をいれて、土魔法で軽く仕切りを作る。 6つに分けたらそれぞれ穴を開けておく。


『これがいいよー』

『これはちょっと弱いよ』

『これはまだ若いからだめー』


土の上でぴょこぴょこしてる土の子もいれば、飛んでるお花の子もいる。さすが植物には詳しい妖精さん、どの株なら分けても大丈夫か把握している。


みんなに聞きながら全部2株ずつ箱に詰める。モクの木は低木だけどしっかりしてるなら、これは1本だけ。


〈どうした〉

〈この深さだとポーション2段で入れるのかなーと思って。結構高さあるから。〉


〈それがどうした?〉

〈その分重くなって運ぶの大変にならないかな?〉


〈ここのやつらなら軽く持ち上げると思うが〉

〈お店に届いた商品開けるのがみんな力持ちだとは限らないじゃん。〉


〈気になるなら伝えればいい。朝言われてただろ〉

〈んー。そうしようかな。〉


「(フランクさーん)」

「(はーい、もう終わったの?)」

「(うん、運んでほしいです)」

「(了解。まってて)」


カフスから声をかけたんだけど、未だにこの感覚には慣れない。ディアとの会話とも違うし、妖精さんもの会話とも違う、不思議な感覚。楽しいからいいんだけどね。


「おまたせ。そんじゃ預かるよー」

「これどーするの?」

「今回は完全に閉じるんだよ、釘打ち付けて。ポーション用のは魔力感知で開けるようにするんじゃないかな?」


箱が完成したら全部に人を覚えさせるか、魔力でつながるカギみたいなのを作るのが一般的らしい。カギはタッチ式なんだって。便利だよね、魔法。


「あとはお願いします」

「任された!なんかあったら呼んでねー」


土が入って絶対に重いはずの箱を、ひょいっと持ち上げてスタスタと歩いていくフランクさん。


〈もしかして重さの心配いらない?軽いのかな、あれ。私でも持てそうなくらい普通に運んでるんだけど。〉

〈あやつらとリンを一緒に考えるな。〉


呆れ顔で言われた。なぜだ。


気持ちを切り替えて、畑の整備をしましょうか!


「この畑作り変えたいんだけど、協力してくれる?」

『何するのー?』


やっぱり人懐っこいお花の子。一晩に飛んでくる。


「みんなの魔法でこれ全部引っこ抜くことできるかな?」

『えーぬくのー?』

『なんでなんでー』


「あとできれいに植えなおすの。そのために1回全部どかして、はじめから作ろうと思うんだ」

『それならいいよ』

『お任せあれー』


お花の子と土の子がわっせわっせと抜いていく。それを水の子がきれいに整えて、わたしがカバンに入れていく。完璧な連携プレーです。


抜き終わったら魔法で作った土の仕切りを土に戻して、土の子と一緒に土遊び。土ざんまい。


土魔法でかき混ぜて、程よく空気を入れる。微調整と判断は土の子ノームさんがしっかりやってくれました。頼もしい。


土が整ったら今度は仕切り作り。横3×縦2の6マス、下の3マスの幅を上より少し広めにとって、ここは主要3種類を植える。作製頻度の高い薬草は多くても困らないし。


「みんなまた手伝ってくれる?」

『いいよー』

『植えるの?』

『やるやるー』


植える場所の近くに薬草を出していけば、妖精さんたちがいい感じに植えてくれる。区画の中で他の薬草が混ざる、なんてこともなくすぐに終わった。


「みんなありがとー!」


お礼に水をまき散らかして終了。今度いっぱいクッキー作って食べてもらおうと心に決めた。


「(ごはん出来るから戻っておいで)」

「(ちょうど終わったからもどる!)」

「(はーい)」


時計を見るとお昼ちょっと前だった。お腹ぺこぺこです。そんな大量に魔力使ったわけじゃないけど、たまに腹減り体質が顔を出す。


〈もどってご飯食べよ〉

〈あぁ。〉


畑の端っこで日向ぼっこしてたディアは、太陽にあたってたせいかぽかぽかしてる。肌寒くなってきたこの季節にふわもこの温もりは助かる。


〈ディア。もふもふ増した?〉

〈さぁな〉


魔獣にも冬毛ってあるのかな?ともふもふしまくるリンでした。




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更新遅れて申し訳ありません!

今日からまた復活します。8/6

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