第141話 会いたかったよ!!

「んなぁぁぁーー!!!」


〈どうした!?〉

「どしたの!!」


びっくりしすぎて叫んじゃいました。スパイスや調味料に混ざって入ってた大きめの袋、何気なく開いたら。


もう会いたかったよーーー!


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名前 こめ

特徴 煮込んで食べられる。認知度は低い

備考 公国の一般的な主食。(動物の飼料ではないよ、でも人気もない。煮込んじゃうからね。)

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転生モノの小説で見つかるお米って家畜の飼料って設定多いよね。よかった、こっちではちゃんと食べ物として認識されてて。


煮込むなら、おかゆみたいにして食べてるのかな。公国ってどこのことなんだろう。土鍋無いけど炊けるかな。


麻婆茄子にお米なんて最高すぎるけど、そこまで量ないんだよね。みんな食べるかな。お茶碗1杯ずつくらいならあるかな。


どうしたものか。


〈どうした〉

「大丈夫?変なのあった?」


考え込んでたらディアに突進されました。ごめん、完全に自分の世界だった。


「これね、これね、前の世界での主食だったの。パンも食べてたんだけどこれも食べたくて、いつか見つかったらいいなーって思ってて。普通に混じってあったからびっくりしちゃって。」


〈何もないならよかった。驚いたぞ〉

「ごめんってー。アーベントには売ってなかったし無いんだと思ってて。感激しちゃったのー」


「あぁ、これボヌルのこめだね。白いドロドロのやつ。」

「やっぱりドロドロに煮込むんだ。わたしは違う食べ方の方が好きなの。少しだけ食べていい?」


「もちろん。僕も気になるから多めによろしく」

「はーい。」


鑑定終わらせてお米炊こう。


瓶に入ってたのはごま油だった。名前はごまオイルだけどね。これはもう麻婆豆腐セットだったんじゃなかろうか。ここまであるなら完璧じゃん。


そして最後の食材。見た目、木。知ってるやつなら美味しい食材。


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名前 ぶし

特徴 薄く削って食べる。猫獣人が好む

備考 レーベシュタの特産品(削る道具がないと難しいかも。)

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んーーーー。やっぱりかつお節だよね、これ。シャーコシャーコやって削るんだと思うんだけど、その道具は一緒じゃないのかな。ナイフ上手な人に頼んでみようかな。


とりあえず鑑定したやつにメモを付けて片付けて、お米を炊こうと思います。


これは研いだほうがいいのかな?軽く水で洗うだけでいいのかな?初めての種類は毎回悩む。


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状態 軽く数回洗う必要がある

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まーじかぁ。え、鑑定さん便利になりすぎてない?こんな見えていいものなのか。傷の鑑定みたいだけどこれでいいのか神様よ。


まぁ便利だからいいんだけど。カップ3杯分をボウルに入れて軽くすすいだら、お鍋に入れてお水を同量より少し多めに入れて、30分くらい置いておく。


それを2つ!感覚では6合分くらい。ただ計量カップが無いから正確な量はわかんない。そしてちゃんと炊けるかも分からない。頑張れ鑑定さん。


「フランクさんかディア手伝って欲しいー」

「なに?」

〈なんだ〉


「これ、薄く削れる?結構硬いんだけど。」

「ナイフでいけるかな、やってみるよ。でもこれ、食べ物なんだ?」


「うん、削って食べるの。ディアできそう?」

〈この屋敷ごと真っ二つにしていいなら。〉


「お家真っ二つはだめだね。ありがと。この香り好きだったりする?」

〈あぁ、なんとも言えないが好きではある〉


「猫獣人さんの好物なんだって。前の世界でも猫が好きだったからディアも気に入るかも。料理に混ぜてみるね!」

〈私を猫と扱うのはリンくらいだな〉


〈んー?何か言ったー?〉

〈なんでもない。楽しみにしてる〉


さて。お米に程よくお水が吸われたところで炊きましょう。上手く炊けるといいなぁ。お米がいっぱい買えるなら土鍋欲しい、土鍋。あるのか分かんないけど。


まずは中火から強火くらいで沸騰させる。沸騰したら2〜3分グツグツさせて、弱火に落としてから10分待つ。


このお米の炊ける匂いってお腹が空くのよね、ほんとに。久しぶり過ぎて感動する。


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状態 もう充分

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なーんか面白い鑑定さんだけど、スルー。たぶんちゃんと炊けてるってことだから、このまま強火にして1分くらい水分飛ばす。あとは火を止めて10分蒸らす。


「なんかとんでもなくいい匂いしてるんだけど、何作ってんの?」

「あ、おかえりーありがとう」


「ねえねえ、それ何?」

「お米だよ。」


「こめってあの米?白くてドロドロの?こんな匂いしなかったと思うけど」

「みんな食べたことあるんだ。それとは違う食べ方だから楽しみにしてて!あと、お鍋の蓋開けちゃだめだからね!カルダさん!!」


「あけねーよ!」

「リンちゃんにまで言われてやんの」

「うるせーアホッ」


双子は仲良しです。お茄子買ってきてくれたから、フランクさんと一緒に麻婆茄子を作ります。


ひき肉と山椒は準備してもらってるから、焼いて調味料で味付けするだけ。ごま油でお肉とキャロを焼いたら、トーバンジャンと山椒、くまさんにもらったチリペッパーで味付け。


お茄子を入れてなじませたら、水溶き片栗粉ならぬ水溶きスターチでとろみをだしてはい完成。お皿に盛り付けたら、パラパラとラオ(万能ねぎ)を散らして彩りもバッチリ。


「とんでもなく食欲をそそる香りだな、それ。」

「ごまオイルだと思う。パンでもお米でも美味しいんだよねー。」


「はやく帰ってこねえかな、リーダーたち」

「そんなカルダさんにお仕事です!おにぎり作るの手伝って。」


「おっしゃ任せろ!んで、おにぎりってなんだ?」

「このお米をにぎるんだけど…熱いから気をつけてね、作ってみるよ。」


しゃもじがないからヘラで混ぜてみると、ふっくら炊けてた。我ながら完璧。


手にお水とお塩をつけたら握れるくらいのお米をとって、軽く握る。かるーくかるーく。


「思いっきりぎゅーってしないで、崩れないギリギリくらいで握るの。三角じゃなくても丸でも長細くてもなんでもいいよー」


「あっちぃし難しいぞこれ、なんでそんな簡単そうにやってたんだ!」

「だって慣れてたもん。」


塩おにぎりは任せて、もう1つのお鍋はかつお節とショーユ、ちょっとだけごま油で簡単混ぜご飯。こっちは握りにくいんだけど、フランクさんが上手に三角にしてた。器用すぎる。


おにぎりを3人に任せてサラダのドレッシング作りをしちゃいます。と言っても簡単で、ごまとかつお節、ショーユとコショウとほんの少しだけジンジャーのすりおろし。


わいわいしてたらガイトさんたちも帰ってきたので、ご飯の時間です!


待ちに待ったお米だお米!いっぱい食べるよ!

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