第142話 ごはんと今後
「これがこめか。」
「これがこめです。」
「別物だな」
〈うまい。いくらでも食える〉
〈ほんと?かつお節の方が好みかな。気に入ってもらえてよかった。〉
ガイトさんから何度も聞かれたけど、これが米です。他のみんなもびっくりしてるんだけどね。
お米と感動の再会を果たしたリンです。おにぎりは大好評でちょっとびっくり。無くなる前にお皿に取ったくらいはみんなの勢いがすごい。
そして本当に美味しいんだこれが。ふっくらもちもち、ほんのり甘くてお塩との相性ばっちり。かつお節は言わずもがなですよ。
「こめがこんなに美味いと思わなかった。これどこで買えるんだ?知ってる商人がいたら定期的に売ってもらえるように頼もうぜ」
「それ嬉しい。いっぱい食べたい。」
「それなら王都の料理長に詳細を聞くのが早いですね。明日連絡してみます」
「アーベントに来てくれなくても王都で買ってもらって届けてもらうんでもいい。」
「後でこめの調理方法を教えてください。あとこのナスビの炒め物も。それを交渉材料にします」
「いいけど、お米の炊き方は自己流だよ?」
「それでも美味しので。料理長なら基本を伝えれば自分でアレンジしますよ。」
「それもそっか。」
美味しいご飯は正義だよね。ディアにも好評だし、もっとお米食べれるならなんでもしちゃうよ。
麻婆茄子もピリッとトロトロで美味しい。久しぶりにガッツリ濃い味のご飯でパンも進む進む。
「明日から数日の予定な。俺とナルはギルドと領主と一緒にポーション屋の話をしなきゃならんから、明日と明後日はいない。」
「リンさんにはお店に置くポーションの味を決めていただきたいと思うのですが、できますか?」
「うん、わかった。明日ポーション作ろうと思ってたし、その前に書き出してみる。」
「ありがとうございます。」
「そうだ、レイが大量に瓶持ってるから作ったらそれに入れてくれ。さっきもらって来たんだった。」
「もう小屋に置いてきた。瓶は蓋の形が違うから気をつけて。違う種類のポーションを同じ瓶に入れないように」
レイさんいつの間に。おにぎりに夢中になってる間にか。お店専用の作るって言ってたけど、もうできたのかな?はやいな。
「はーい。どれにどれを入れるって決まってる?」
「それはない。自由に決めていいぞ。決めたらそれで固定」
「わかった。んー、全部タグつける?」
「そこを相談してくる。付けるなら従業員雇ってやらせる。」
いちいちメモ書くのめんどいよね。簡単な方法だと、紐だけで見分ける方法。紐って他にあるのかな?今は自分で作った草紐使ってるんだけど。
「はーい、質問です」
「なんでしょうか?」
「色のついた紐って簡単に作れますか?」
「紐の種類によりますが、簡単だと思いますよ。」
「ならポーションの種類ごとに色決めて、上級を濃い色、初級を薄い色、中級はその間の色の紐を巻くのってありですか?」
「ありだな」
「ありですね」
「すげーな(すごいね)リンちゃん」
「なら傷治すのはグリーンだな」
って事で採用されました!
レイさんの言葉で傷系ポーションはグリーン、解毒ポーションはブルー、MPはオレンジになった。手間は増えるけど間違える問題はなくなったね。
「問題が1つ解決したな。」
「さすがですね。」
「わたし明日から動き回ってもいいの?ギルドの皆さんに挨拶行きたい。」
「それなら一緒に行きましょうか。もうリンさんの活動は自由ですよ、森に行こうがギルドに行こうが買い物しようが、誰も止めません。」
「なら一緒に行って挨拶して、帰りに果物買って帰っていっぱいポーション作る!」
「それなら僕も行くよ。欲しいものあるし。」
ガイトさんとナリアルさん、フランクさんとギルドに行って、帰りにお買い物することになった。久しぶりのお店楽しみ。
「ご飯食べ終わったらポーション書き出しておこうかな。」
「それならレイとアルダがアドバイザーとして見ててください。」
「了解」
「わかったよー」
「俺とフランクさんは?」
「もちろん全員の部屋の準備ですよ」
「まじかぁ」
カルダさんはお部屋の準備係になりました。にっこりナリアルさんには逆らえません。ちょっと冷たい空気出るんだもん。ブルッ
ってことで食べ終えたら、今までの書き溜めたノートを出して種類ごとに味を決めていく。
これがまた問題ありで。
「なぜ解毒ポーションの種類が3つもある?味でなく効果の種類が。」
「たぶんミントの効果です。ミントにもちょっとした殺菌効果があって、水の量変えたら効果も変わったので面白いかなーと。」
「面白くて効果増やすな」
「だってぇー!」
早々にレイさんに突っ込まれました。しょうがないじゃないか。色々やってたらこうなったんだもん。飲みやすさ重視すると効果上がるんだもん。
「これ、MPも1種類じゃないよね。紐でポーションの種類分けても味があるからもっと細かく分けないといけない、ってか250回復は売っていいの?」
「250回復シカ、ツクレマセン。」
「うん、目をそらさない。別に怒ってないから。」
アルダさんに言われたのはMP回復ポーション。通常の作り方だと回復量は200なんだけど、私がメインで作るやつはもれなく250回復する。
どーせなら美味しいほうがいいじゃん。だって飲むしかないんでしょ。ちょっと安くノーマルも売るみたいだけど、でも美味しいの買って欲しいじゃん。
簡単に終わると思った味決定は、思った以上に時間がかかった。
そして最後に。
「これは絶対出さないよ?」
「駄目だ」
「ですよねぇ…」
ノートの最後に失敗?と書かれたポーション。その名はハイパー解毒ポーション。
飲んでも熱が出ないし、ある程度の傷を治して胃の治療もできちゃう優れもの。なんだけど、びっくり効果すぎて世に出せないと言われた。
もう1回作れるか微妙だからいいんだけど。しれーっと丸投げしようと思って失敗しました。こんなの使う場面ない方がいいし、あった時使ってくれる人の元にあったほうがいいのに。
〈すねるな。〉
〈すねてないよーだ〉
〈明日一緒にお店回ろうね。久しぶりに美味しいもの見つかるかも〉
〈楽しみにしてる〉
「こうやって見るとすごいあるね」
「あとは決めてもらえばいい」
「お任せしよう。そうしよう。」
なぜかアドバイザーさんのレイさんとアルダさんも丸投げ体勢に入りました。なぜだ。
「終わったらシャワー浴びて寝ちゃいな。疲れてるでしよ」
「んー、ちょっと疲れてるかも。」
「行っておいで、お部屋の準備は終わってるから」
「ありがとう」
フランクさんが呼びに来てくれた。書き出した紙はナリアルさんたちに渡して、ディアとお風呂に行きます。お外走ったからちょっと汚れてるんだよね。
〈軽くでいい〉
〈そうだけど。ちょっとは洗われてよ〉
パジャマの準備をしてお風呂に入り、小さいディアを洗う。大きい方がいいんだろうけど、今日は時間短縮バージョンで。
上がったらドライヤーで髪を乾かして、ディアもふかふか。ヘアオイルと化粧水をつけたらツルピカ幼女の爆誕です。
「おやすみなさい」
「おやすみー」
「おやすみなさい、良い夢を」
「よいゆめをー」
リビングのみんなに挨拶してお部屋に行く。思ってた以上に疲れてたみたいで、ディアを抱きながら一瞬で眠りについた。
おかえりリンちゃん。
ただいまアーベント。
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