第140話 ただいまアーベント!
「見えてきたぞ」
「ほんと!」
馬車の中、魔法で作った水球お手玉で遊んでたリンです。魔法の操作を練習しようと思って始めたら、難しいのに楽しくてハマっちゃった。
たまに弾けて怒られるまでがワンセット。
それは置いといて、レイさんに言われて外を見ると、門が見えた。いつも使ってたのとは反対だけど見慣れた雰囲気の門!帰ってきましたアーベント!
「リンとディア、フランク、カルダとアルダはそのまま家、俺とリーダーとナルは馬車を屋敷に返してくるから別行動。」
「うん。お部屋掃除しなきゃね。」
「よろしく頼む」
「ディアもお手伝いよろしくね!」
〈あぁ。〉
門で身分確認をしたら門番さんにお帰りと言われた。反対の門で会ったことある人。確認してくれた人以外にも数人いて、みんなお帰りって言ってくれた。
ちゃんとここが私の帰る場所。ただいまです。
馬車から思いっきり手を振ってバイバイしたら、お家に向かいます。見慣れた通りに見慣れたお店、いつも話してた奥さまもいる。お久しぶりです。
お家に着いたらとりあえず荷物を置いてチェックする。そんなに汚れてる事もなく、軽く掃除するだけで良さそう。カルダさんの結界のおかげかな?
「こっちは先に掃除してるから、畑行っておいで。妖精が集まってきてる」
「わぁぁ、みんな久しぶりだね。ちょっと畑見てくるね」
「いってらっしゃーい」
フランクさんに言われて振り返ると、5人くらいの妖精さんがふよふよしてた。王都に来てくれた子たちかな?みんなのお皿買ったから渡しに行きます。
畑に入ると思ったほど荒れてることもなく、薬草に関してはキレイに摘み取られてた。
『お水欲しいの』
『ねーねー土混ぜて』
『おーみーずー』
最後の駄々っ子はお花の子です。王都で買ってきたお皿に魔法で水を出したら、一瞬にして集まる妖精さん。
キャッキャと遊び始めたので、急いでもう1枚出してお水で満たす。満足して離れる子もいれば、ずっと遊んでる子もいる。お皿2枚買って正解だった。
ついでにクッキーも出しておきます。しばらくお手入れ出来なかったお詫びと、お手入れしてくれてたお礼にいっぱい。
「ごめんね、土はもう少し待ってくれる?それまではお水で我慢してね。」
『大丈夫。リンがいたら空気きれい。』
『空気きれいなら僕たち元気』
「また毎日来るようにするよ。土も必ずいいの持ってくるからね。」
土の妖精さんはやっぱり恥ずかしがり屋だけど、畑の中でぴょんぴょんしてて可愛い。
いっぱい摘み取ってくれた薬草をわさっと出してもらって、カバンに入れていく。近い内に整理しないとだ。束になってないし、売るなら大きさとかそろえておいた方がいいはず。
「何かあれば呼びに来てね、お家にいるからね。」
『はーい』
『またねー』
『おかえりー』
『おかえりおかえりー』
『また遊ぼうねー』
「うん、ただいまです。」
〈お家戻ろう。〉
〈そうだな〉
お家の中に入ると窓が全部開けられて換気中でした。これは風回したほうがいいやつでは。
「おかえり、どうだった?」
「すごくキレイに保ってあった。妖精さんたちに感謝だよ。お水とクッキーいっぱい置いてきた。」
「それはよかった。疲れてない?出来たら風使ってほしいんだけど」
「できるよ!2階から?」
「ううん、1階だけ。2階は双子に任せてある。」
「はーい。ディア行こう」
〈元気だな〉
ってことで魔法で簡単換気作業です。そういえば、お家にいるの私とディアを含めてみんな風使える人達だ。意図的かな。
ディアと2人でお部屋をまわり、入口から風で空気を回して窓から出す。時間は3時くらいなんたけど、だいぶ涼しくなってきててやり過ぎるとちょっと寒い。
お風呂も換気したけど特に嫌な匂いとかもなく。どんな作りなんだろう、このお屋敷。1ヶ月弱人が居なかったのにキレイすぎる。
〈おわりー〉
〈窓閉めなくていいのか?〉
〈聞きに行こう〉
〈今聞けばいい。窓閉める必要はあるか?……まだ少し開けとくそうだ。〉
〈さっすがディア。ありがとう、戻ろう。〉
最近増えたディアさん通信。別の馬車との連絡はずっとこうだった。めちゃめちゃ助かる。
私とみんなを繋げるのは面倒くさい、大変、私に負担がかかるって理由でやらない。けど特に困ることもないしディアがいてくれたらそれでいいのです。
「ありがとう、あとは仕分け作業なんだけど。この辺の色々、鑑定しながら分けられる?」
「うん、できるよ。」
「助かる。僕が分かるやつはもう終わってて、あとは使い方分からないやつなんだ。料理長がくれたのとか、買ったやつね。」
「これ見るの楽しみにしてたの。」
まずはスパイスからです。
オレガノ、これはお肉料理によく合う。タイムはお魚に合うんだよね。ムニエルでもいいし、パン粉に混ぜて揚げても美味しいやつ。
うわ、ナツメグもあるじゃん。ハンバーグに入れると美味しいんだけど、その他の使い方知らないかも。お肉には合うと思うんだ。
サンショー?あ、山椒だ。乾燥した粒のままだからそのまま煮込んでも、炒め物に入れても使えそう。魔道具もあるし粉にしてもよさそう。
使い方をメモに書いて袋に付けて、フランクさんに見てもらう。メインで使うのはフランクさんだからね。
お次はたぶん調味料。ジャム瓶みたいなのに入ってるからたぶん調味料、そしてそっくりなのが2つ。
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名前 トーバンジャン
特徴 シャンテーナン原産の辛味のある調味料。
備考 (これでお料理の幅が広がるかしら?)
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名前 テンメンジャン
特徴 シャンテーナン原産の甘み味噌。
備考 (大昔の迷い人が作った調味料よ。)
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これで麻婆豆腐が作れ!…ない。お豆腐なかった。
でも麻婆茄子に似た料理なら作れる!
「フランクさん、今日の夜ご飯はこれ使おう!美味しいの知ってるんだー」
「いいねぇ、また新しい料理食べれるなんて。必要なのあれば先に用意しとくけど。」
「じゃあひき肉と、ズッキーニに似たお野菜ってある?」
「似た野菜ねぇ。前はダイコン使ったし、あとはナスビくらいかな」
「ナスビ?」
「使ったこと無かったか。ちょっとまってて、食料庫に少しだけ残ってたんだよね」
ナスビって茄子?なんでナスビ?
「これこれ。普通に売ってるから足りなきゃ買ってくるよ。双子が」
持ってきてくれたのは紫の茄子。エッグプラント系じゃなくて、ちゃんと日本に売ってるやつ。倍くらい大きいけど。
「これ使いたい!どのくらいある?」
「あと数個かな。買い出し行ってもらおうか」
「うん、できたらお願いします」
双子はみんなの部屋のシーツとかを干してくれてたみたい。ありがとうございます。
ってことで今日は麻婆茄子に決定だぁ!
残りの鑑定も終わらせて久しぶりに思いっきり料理しよう。そうしよう。
〈もしかしたら香りキツイかも。食べれなそうだったら言ってね〉
〈わかった。今のところは問題ない〉
〈よかったよー。〉
山椒を粉にしたいんだけど、ディアさんにはキツイかもしれないんだよね。粒のまま使おうか…。
悩む前に鑑定かんてい。
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