第137話 謝罪とお礼
「申し訳ありませんでした。」
「いや、あの、頭を上げてください!私はなんともなかったし、みんなも強かったし無事なので。ほんとに。なんともないので。」
会議室に入った途端、中にいた隊長さんに頭を下げられた。偉い人に頭を下げられる居心地の悪さと、危険だったのはみんなで私は守られてただけだから!という気持ちでいっぱい。
「まずは説明を。」
「はい。おかけください。」
「リンちゃんディアといる?聞いても聞かなくてもどっちでも良いよ。」
「わたし関連だと思うので聞きます。ディアは近くにいてね。」
〈わかってる。〉
会議用の大きな机といっぱいの椅子。みんなで座り、ディアは私の隣でお座りしてもらってる。いつもなら机の下にいたりするけど今日はここでお願いね。
「まず、先程捕らえられた者はダノリア元男爵の次男で、騎士団で訓練をしておりました。絶対にあってはならない最悪の状況となってしまったため、もし処分を望むのなら陛下に伝えていただきたく。」
「どうする?」
「へっ?わたし?」
よく分かんないけど大きなミスか不手際だったんだなーと思ってたら、お父さまに話をふられた。私が決めることなの?
「ダノリアは誘拐事件に関与していて罰せられた。その息子も罰が決まっていて、あと数日後には別の場所に移動する予定だった。ここまではいいか?」
「はい。」
「数日後にはいなくなると分かっていながらここに呼んだのは陛下であり、我が娘ではあるが陛下より立場は上の迷い人。その重要人物を危険にさらしたとなれば、陛下と対応していた騎士たちが罰を受けるのが妥当性。」
「うーん。」
ちょっと理解が追いつきません。だってただの小娘だよ、私。
「ただし、陛下を罰するのは難しく、同罪の騎士団を裁くのも不当。よってどうするか決める権利はリンにあるということになる。」
「私が決めないとどうなりますか?」
「規則通り陛下が決めることになる。」
「それじゃあそれで。」
「いいのか?」
「危険だったのは理解できます。けど実際はみんなの方が危なかったし、おじいちゃんにもらったアクセサリーで傷一つ付かなかったし、なんなら動作確認もできたし。意見を聞くなら他のみんなに聞いていただきたいです。」
そう言うと話し合いをする雰囲気になったのでディアとお話。頭の中で話してるから外の声は聞こえなくなるんだけど、今はそれでいいと思うんだ。
〈いいのか?〉
〈だって本当に守られてただけだよ?びっくりはしたけど、ディアたちが守ってくれたし。〉
〈欲のないやつだ〉
〈ディアはなんかほしい?〉
〈しいて言えば肉〉
「あの!ディア用のお肉いっぱい貰うことってできますか?それがあればわたしはなにもいらないので!」
「「「はぁ〜」」」
元気に挙手して声を上げれば、盛大にため息をつかれました。なぜだ。
「種類に希望はありますか?」
〈オーク以上のレベルなら何でもいい。〉
「オークより上のレベルのお肉ならなんでもいいそうです。」
「承知しました、手配いたします。お腹すきましたよね、もう少しお時間頂きたいので隣の部屋に食事をご用意させていただきます。」
「ありがとうございます!隣の部屋で待っててもいいですか?」
「それなら僕も一緒に行くよ。あとよろしくねー」
ってことで、お腹ぺこぺこ。ご飯来るまでフランクさんとクッキーかじろうと思います。
ディアはおっきいままでいないといけないから、ソファには座れず。私がソファの端っこに座ってもふもふすることで落ち着きました。
フランクさんとクッキーかじりながらのんびりお話してたら、メイドさんがご飯を持ってきてくれた。
テーブルに並べてくれてるのを見てたら視線を感じた。誰だろう?と見ようと思った瞬間。
〈今すぐそいつを捕まえろ。おい、集まれ〉
「ん?」
ディアが殺気立ってるし、フランクさんは入口近くにいたメイドさんを取り押さえてるし、別のお部屋で話し合いをしてたメンバーが駆け込んできた。
私は扉を背に座ってたのに、ディアに引っ張られて机の反対側に移動している。そしてもふもふが目の前に立って威嚇中。
もふもふが増しました。どーどー。
「どうした」
「僕もよく分かんないんだけど、ディアが危険だと判断したから一応取り押さえてみた。」
さっきの声はみんなに聞こえるようにしてたのか。隊長さんもびっくりしてるじゃん、どしたのほんとに。
〈無駄に魔力を練っていた。何かする気だったのは確かだ。〉
「なるほどね。こういう場合はどうしたらいいですか?」
「すまん、状況が理解できない。」
「あ、そっか。このメイドさんが無駄に魔力を練っていたそうです。攻撃したかったのか別の目的があったのかは分かりませんが。」
隊長さんにはディアの声は聞こえないもんね。騒ぎ出しそうだからってナリアルさんが眠らせた。魔法かな。
「引き取ってこちらで調べる事も出来ますが、どうしますか?」
「今は引き取ってください。あとはまたご相談させてください。」
「承知しました。お食事はどうされますか?」
〈ディア、ディア、鑑定では毒とかなにもないよ。そのまま食べれるよ。〉
〈鑑定で安全を確かめたそうだ。リンに見えないならわからんが、食事は安全だろ〉
「見たところ安全そうですので、このままいただきます。」
「あぁ、見ればわかりますよね、分かりました。続きはまた後日ということで、一度失礼いたします。君も念の為一緒に来ていただこう」
怯えちゃってるメイドさんも一緒に連れて行かれるらしい。巻き込んじゃって申し訳ないな。
「散々な1日だな。気分悪くないか?」
「わたしは全然なんともないよ。ディアに埋もれたいくらいで。」
「いつも通りで何よりだ。腹減ったし食おうぜ、王城の料理をしっかり味わえる機会なんてそうそう無いしな!」
「いただきます!」
軽食のサンドイッチとサラダ、スープと飲み物にローストビーフみたいなお肉の山。ディアには誰かが頼んだのか、お肉どっさり。しかもいろんな種類があるみたい。よかったね。
「結果は後日聞くとしてもう食べ終えたら帰ろう。帰りにスイーツ買ってからな。」
「はい!」
「よかったね。色々あるし選び放題だよ、きっと」
「楽しみ。ディアが食べれるのあるかな?」
「ディアならなんでも食べるでしょ。甘くない方が好きとかはあるかもしれないけど。」
食べ終えて王城を出て、スイーツのお店に向かう。アルダさんが言ってたのはここだったのかな?選び放題のドーナツ屋さん!
高級と言われてたチョコのとか、一口サイズのとかしょっぱい系、ハープ系とかいっぱい。
お父さまとみんながあれもこれも選んで、大量に購入しました。店員さんびっくりしてた。
帰っておやつに食べよう!
なんかいろいろあったけど、さすがリンちゃん。
前向きと言うか、気にしなさすぎというか、肝がすわってるというか。
楽しけりゃ全て良しかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます