第132話 やったぁ観光!
待ってました王都観光!の前に、おじいちゃん先生に診てもらってるリンです。おはようございます。
「うん、体は問題なさそうだね。体調はどう?だるいとか魔力が不安定とかって感じはするかな?」
「体調はとっても良いです。魔力も特に問題ないです。」
「順調だね。今日は観光とお買い物に行くんだよね。少しでも疲れたと思ったら休憩すること。寒いと体力も消耗するから暖かくして行くんだよ。」
「はい。」
「楽しんでおいで、いってらっしゃい。」
「いってきます!」
今日はお出かけ用のワンピース。ちょっとお嬢様風でフリフリついてるけど、軽くて動きやすくて可愛いの。お屋敷に用意してもらってたやつです。
髪の毛は三つ編みのハーフアップ。お出かけすると知ってノーラさんが結んでくれました。
るんるんで朝ご飯をたべて、出発です!
「気をつけていってらっしゃい。あなた達、しっかり守りなさい」
「勿論です」
用意してもらった馬車に乗って出発。フランクさんとカルダさんは御者台にいて、残りは馬車の中。そして私はナリアルさんの膝の上。
「まずは服を買いに行く。数枚長袖はあるが本格的に寒くなると足りないし王都なら選び放題だ。気に入ったのがあれば言えよ」
「どのくらいあればいいの?」
「普段着で7〜8着だろ。冒険者続けるならそれも必要だし、ローブやら防寒対策は必須だ。もちろん寝間着もな」
「またいっぱい」
「貴族の娘にしては少ない方だぞ。」
「貴族の娘だけど元は一般庶民だもん。」
ガイトさんにぶーぶー言いながら馬車の移動を楽しむ。ガタガタするけど酔うほどじゃないし、思ったよりも広い。大人4人が乗っててもそこまで窮屈に感じないもんね。
「着いたけど、ナリアルに抱えられとけ」
「なんで?」
「行きゃあ分かる。」
馬車から降りて見えたのは大きなガラスドアのお店で、建物はシンプル。装飾とはも最小限だけどそれがなぜかおしゃれに見える。
「アウグスいるかー」
「今行くからちょっと待っててー!」
「だってさ。見てようぜ」
置いてあるのはシンプルなワンピースとかブラウス、スカート、靴とローブ。大人用も子ども用もあるんだけど、どれも全部派手さはないのにとっても可愛い。
店主さんのセンスがいいのか作る人がいるのか分からないけど、雰囲気が統一されててステキ空間。
「お待たせ…って連れてきてくれたのね!まぁ本当に可愛い子だわ、始めましてアウグストよ。素敵な髪色ねぇ。ちょっと待って、奥に行きましょう。双子とレイは手伝いなさい」
「だって。店見たい?たぶんここにあるやつと奥にしわまれてるやつ全部持ってくると思うよ。」
「全部…。どれも可愛いから店主さんのセンスに任せる。」
「んじゃ行って待ってるか」
勢いに負けました。自己紹介も出来なかったよ?ちなみにディアは小さくなって足元にいます。日本の感覚だとペットが服屋さんてダメな気がするけど、従魔は別らしい。
奥のお部屋は広かった。ソファもあるし机もあるけど部屋の半分は何もない。ここに服が並ぶってことかな。
「持ってきたわよー、ほらほらこっちおいで、生地感とか触って確かめてみて。」
「リンが怖がるだろ」
「そ〜お?この子全くそんな雰囲気ないけど。」
「あれ?リンこいつ怖くないのか?」
「怖いことはないよ?見覚えある感じがするんだけど分からなくてモヤモヤはしてる。」
「あぁ、アマンダじゃないか?兄妹だし。」
「アマンダさんだ!始めまして、リンです。アマンダさんにはお世話になってます。」
「ご丁寧にありがとう。アマンダの兄のアウグストです。こんな格好してるけど心は男だし、恋愛対象はカッコイイ女性よ。」
「お洋服、すてきだと思います。商品も統一感があっておしゃれです。」
「ありがとう。とても聡明な子ね、お会いできて嬉しいわ。こちらにどうぞ」
「行ってきていい?」
「もちろん。いってらっしゃい」
ナリアルさんから許可が出たのでお洋服の方に向かう。ディアは大人しく机の下で丸まってます。
アウグストさんはスラッとした長身で、パンツスタイルがよく似合ういわゆるオネエ様。髪の毛はブロンドっていうのかな、アマンダさんほどの金髪じゃないけど、オレンジっぽいきれいな色。
男性特有の手足の長さがさらに美しく見えるから、モデルさんかじっとしてたらマネキンみたいにキレイです。
「さて、どんなのがお好みかしら。生地もそうだし、見た目や機能なんかで欲しいのがあればどんどん言ってね、あれば出してくるから」
「1人で着やすくて、重くないのが好きです。派手なのはあんまり得意じゃないです。」
お話しながらどのくらいのレースなら着れるのか、長さはどこまでなら動きやすいかを丁寧に聞いてくれた。お仕事のできる人ってかっこいいよね。
そこから選ばないだろう物を下げて、私が好きそうなデザインと素材、着やすい物と冬に必要なものを出してくれた。
欲しいワンピースを3着選んでホクホクの私をよそに、あれやこれやと選び始めた大人組のみなさん。
「これは先にお預かりするわよ。あれはしばらく落ち着かないだろうから、おちゃでも飲んでくつろいでてね。」
「ありがとうございます。アウグスさんて呼ばれてるんですか?」
「そうそう。アウグストだと男性名でアウグスティンだと女性名になるんだけど、名前は変えたくないじゃない?だからアウグスで呼ぶようにお願いしてるの」
「ならわたしもアウグスさんと呼びます。」
「嬉しいわ。愛称だとオーグとかになるんだけど、オークみたいじゃない?あんなのと一所にされたくないし嫌なのよねー」
オークと一緒は嫌だと思う。スラッとしたアウグスさんとは真逆の存在すぎるし。
結局私が選んだのにプラスで5枚のワンピースが選ばれた。さすがに多すぎると思ったんだけど、冬は乾きにくかったり薄手のと厚手のがあったりして減らせなかった。
ローブやブーツもあったかいのを選んでもらって大満足です。下着類はアマンダさんの方が多く扱ってるから、そっちで買ってくれって言われた。お世話になります。
アウグスさんとバイバイして馬車に乗り、向かうのは文房具屋さん。お手紙書くのに必要なのと、減ったメモ用の紙が欲しい。
「アウグスさんが暴走しなくてよかったですね」
「リンちゃん見たら大興奮すると思ってた。」
「俺達が買いに行った時も誰の服なのか聞かれて、そのあと髪色やら肌のトーンやら瞳の色やら質問攻めされたよな。」
双子がガウンを買ってくれたのもここらしい。
「優しかったよ?」
「自制心が芽生えたか、リンに負けたか」
「負けるってなんですか。レイさん。」
「そのままでいてくれ。」
謎に頭をぽふぽふされたけど、なんなんだ。
いいもーんとすねてるけど、今はナリアルさんの膝の上。動けません。
もっともっとお買い物楽しむんだもん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます