第131話 みんなと仲良しは難しい?
チョコレートとバニラアイスを作って食べた後も鑑定しまくった。
作業の途中でパウンドケーキが焼けたりクッキーを焼き始めたり、メレンゲを泡立ててもらってクッキーを作ったりしながらとっても楽しみました。
「エッグをこんな風に使うとは、思いもしませんでした。」
「お菓子作りが体力仕事になるとはね」
泡だて器は存在した。存在したけど、手動でメレンゲ作るのって疲れるんだよね。男3人衆にお任せして作ってもらいました。大変そうでした。
ハンドミキサー求む。
そして1つだけ問題が発生した。チョコを作る時のテンパリング作業。お湯につけたり氷水で冷やしたりするあれね。ちょうどいいタイミングを鑑定で見ながらやっちゃってたので、くまさんには難しいと判明。
「料理人の中に1人だけ鑑定持ちがいるのですが、そいつに作業をさせても良いでしょうか?」
「ゼストですか?」
「はい。菓子作りが得意ですし上手く作れるかと」
「彼ならいいですよ。」
「ありがとうございます。」
なんでわざわざ許可が必要なんだろう?鑑定あるならミスもないだろうし、料理人さんなら間違いないと思うんだけど。
「念の為ですよ。雇い入れた使用人とはいえ完全に信用してはいけないのです。外で同僚同士の世間話の中でポロッと情報を話してしまい、誰かに聞かれ悪用されてしまったら。そんな可能性がゼロではない限り、最悪を考えなければならないのですよ。」
「リンちゃんのことだからって訳じゃなくて、貴族は基本的に情報を渡す相手を選ぶものなんだよ。それが有益なものならなおさらね。」
信用して欲しいとか裏切らないとの意思表示のために、魔法での契約をすることもあるらしい。くまさんとゼストさんはお父さまとその契約をしているから安全なんだそうだ。
契約書の魔法使ったバージョンってことかな。どこまでの効力があるのかは教えてもらえなかったけど、もしかしたらそれを言うのも禁止なのかもしれない。深くは聞かないことにします。
「これから夕食の準備をしますので、他の面々を呼びます。リンちゃん達はお部屋に戻りますか?」
「何かまだ作りたいものある?」
「ディアにアイス作ろうと思ったんですけど。端っこにいたら邪魔ですか?」
「邪魔ではないですよ。そうですね…バニラを使わないレシピはありますか?」
「はい、オレンジとペッシュとビルネを使おうと思ってました。火は使わないし、ボウルを持ち出してもいいならベースを作ってお部屋に持っていきます。どうせディアに手伝ってもらうので。」
「それなら大丈夫ですよ。必要なものはお持ちください。料理人を呼んでまいりますので、どうぞ作業をしてください。」
お言葉に甘えて隅っこで作ります。簡単に3種類のシャーベットにするのでそこまで手間はない。
「早めに終わらせましょう。何をしたらいいですか?」
「これを全部小さく切って、半分はミルクと一緒に魔道具にぽい。あとはお砂糖とオレンジのこれで味を調整したら凍らせるだけ。」
「それじゃあ僕たちは切るから、細かいとこはリンちゃんね。」
「お願いします」
ザクザク切ってもらった物から魔道具にぽいぽい入れて回していく。終わったらボウルに移して味をみて、ちょっとだけレモン果汁とお砂糖を加えて混ぜる。
それを3種類やったらボウルを抱えて帰ります。ちなみに、オレンジとは言ってるけど中身はレモンです。柑橘類は全部オレンジだからややこしいけどね。
「カバンに入れちゃってもいい?」
「私たちは持っていきますので、リンさんは入れていいですよ。作ったものが全て消えてたら不自然ですからね。」
許可ももらったしお言葉に甘えてカバンに入れる。もうずっと持ち歩いてるから、当たり前のようにお家の中でも肌身はなさず持ち歩いてる。腰につける方はカバンのなかに入れてあるけどね。
「ただいま。あれ、ディアちょっと濡れてる?シャワーあびたの?」
〈おかえり。汚れたからと水をかけられた。一緒にいた奴全員びしょ濡れになった〉
「他の人達は?」
〈風呂に行った。〉
〈そっか。また凍らせて欲しいんだけどいい?〉
〈もちろん〉
〈その前に乾かそうね。〉
タオルで拭いてフランクさんに乾かしてもらった。私は魔法禁止なので使えませんでした。ありがとうございます。
かき混ぜながら冷やして、シャリシャリになったら完成。ちょっとずつお皿に盛ったら喜んで食べてた。いつでも作れるし多めに作って常備しておこうと決めました。
「僕たちもお風呂行ってくるね。」
「いってらっしゃい」
ってことでディアとラグの上でのんびらまったりもふもふ。ボウルはカバンに入れてあるんだけど、返さなきゃだから入れ物買わないとな。
みんながお風呂から上がって、お部屋に集まってまったりしてたらノーラさんが呼びに来た。お夕飯の時間です。
メニューは唐揚げだった。短時間でこの量作る料理人さんたちはすごいな。ショユにジンジャーがきいててとっても美味しかった。
デザートはみんなで焼いたパウンドケーキ。好きな方を選ぶ方式だったけど、お腹に余裕のある面々は2つとも食べてた。お口に合ったみたいです。
「体調はどうだ?」
「回復してきてます。よね?」
「してるね。今日1日動いても問題なかったし。」
フランクさんにお墨付きをいただきました。
「じいさんからの伝言だ。『ちゃんとお供連れて行くなら王都観光して良い、ただし朝の診察で体調が悪そうなら延期』だそうだ」
「やった!」
「よかったですね。」
「うん!」
にこにこで喜んでたらナリアルさんに頭を撫でられた。待ちに待った王都観光だよ!嬉しい!
「一緒に保護された子どもたちのことは覚えているかしら?」
「はい、覚えています。」
「手紙を送れるように手配をしてあるの。明日お出かけできるなら、好きな便箋と封筒を買っていらっしゃい。届けてもらうわ」
「ありがとうございます!」
私が寝てる間にみんなそれぞれのお家に帰ったらしい。心配してくれてたんだって。元気になったよってお手紙出すのが楽しみだ。
「あっ、ディアも一緒に歩いていいですか?」
「問題ない。きちんと首輪もしてるしガイト達が一緒にいれば何も言われない。ただ、小さい姿で居てくれると助かる」
「ガイトさんたちは予定ない?一緒に行ってくれるの?みんな?」
「もちろん全員一緒に行くぞ。約束してたからな」
みんなが頷いてくれてるから、問題ないみたい。
〈嬉しいね、楽しみだね〉
〈そうだな。〉
楽しみで嬉しくてルンルンしながらお食事を終えて、シャワーをあびてすぐにお布団に入る。
明日も元気でいれるように、早寝早起きします。
約束してた王都観光!買いたいものいっぱいあるんだよね。どんなのが売ってるんだろう?見たことないのがあったら鑑定使っていいかな。
とってもとーーっても
たのしみ。
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