第129話 ですよねぇ
おはようございます、楽しみでルンルンのリンです。さっき朝ご飯を食べてたんだけど、昨日はいっぱい魔法を使ったから休もうと言われてしょぼくれてました。
そしたらキッチンに入る許可をもらえました!お料理久しぶりで楽しみ。まさかの料理長さんがぜひどうぞって言ってくれたので、フランクさんとお料理三昧したいと思います。
「材料いろいろ出してもらったよ、好きに使っていいって。」
「なんて贅沢なっ」
これは美味しいもの作らないとね。出してもらった食材や道具を見てると、パウンド型が6つあった。そしてちゃんと膨らまし粉もありました。これでパウンドケーキは決定。
色々と鑑定しまくって見つけたのは布の袋に入ったスパイスの山。クミンにコリアンダー、ターメリックにカルダモン、チリペッパーもちゃんとある。粒状だったり唐辛子のままだったりするから、粉にしたほうがいいかな。
これだけ揃ってればカレーが作れる!
「フランクさん、香りの強い料理とか辛い料理って食べる?」
「この国には少ないけど冒険者なら他国で食べることもあるよ。貴族だと珍しい料理がステータスになることもあるみたいで、たまにびっくりするくらい辛い料理が出るって聞いたことがあるね。」
「ここにあるスパイスで料理作りたいんだけど、いいかな?」
「いいと思うよ。僕は辛いの好きだしガイトたちもクロードたちもスパイスのきいた料理は普通に食べてたと思う。屋台にもたまにあるし。」
よし、ハーブで作るカレーは確定です。お昼に食べたいから早速作ろう。
「なにするの?」
「このスパイスを粉状にしたほうが使いやすいんだけど、魔法って使っちゃだめかな」
「魔道具じゃだめ?一応あったと思うけど。あぁ、これこれ、うちにあるやつより高性能でいっぱい入るやつ。肉でもなんでも切れるよ」
「回してみてもいい?」
「どうぞどうぞ」
フランクさんが持ってきてくれたのは、フードプロセッサーみたいなやつ。ボタンを押すと中でプレートが高速回転する。ちゃんとした文明機器です。
前に使ったことはあるんだけど、家にあるのは小さくて容量が足りないし魔法の方が楽しいから使ってなかった。そっちのの方が大きくて回転も速そう。
「すごい。いっぱい入るし便利だ」
「リンちゃんはそれ使って。切るものあるならやるよ?」
「お願いします。」
お肉はロック鳥、トマにポテ、キャロとオニヨンを切ってもらう。ジンジャーとニンニクは魔道具でペースト状にしたいからこっちでやります。
ターメリックとチリペッパーだけ少ない分量で、あとは同じくらいになるように粉砕。これだけでもうカレーっぽい香りが漂う。
〈外で暴れてくる〉
〈うん、行ってらっしゃい。ごめんね、スパイスの香りキツかったね〉
〈リンが食べたい物を作るべきだ。外に遊び相手がいっぱいいるから楽しんでくる〉
お仕事がお休みのジュードさんがガイトさんたちと訓練?遊び?で打ち合ってる。さすが騎士団員さん、ちょっと見てたけど強かった。
「野菜切れたよ。」
「そしたら、お肉にヨーグルトとちょっとだけスパイスを揉み込んでちょっと置いて味を馴染ませます。トマの半分だけとって、あとの野菜はオーブンで焼く予定。」
「りょーかーい、オーブン温めてくる」
「うん、お願いします」
作るのはバターチキンカレー風。10分くらい置いたらたっぷりのバターでお肉を焼いて、スパイス3種とトマ、ジンジャーとニンニクを入れて潰しながら馴染ませる。
火が通ったら追加で少しヨーグルト入れて、ミルクを入れたらグツグツ煮込む。生クリームはないからミルクで代用です。
香りが強くても辛くてもミルキーだと食べやすいんだよね。本格的な作り方とは違うかもしれないけどいい香り。
「すごくいい香りがする。食欲をそそるね、これ」
「スパイスってお腹減るんだよね。」
「野菜いい感じに焼けたよ。入れる?」
「うん、お願いします」
具材を入れたら少しコトコト煮込む。ターメリックとチリパウダーを入れたら一気にカレーになった。
「フランクさん、味見です」
「うぅぅまっ。…リンさんや。」
「はい?」
「たぶんこれじゃ足りない。」
「えっ」
お試しなのに寸胴鍋1つ分作ったんだけど、それでも足りないって。本気ですか?
「僕たちももちろん食べるけど、使用人の分がないでしょ?絶対食べたいと思うよ、これ。」
「メイドさんたちの分も作ったつもりだったんだけど…」
「同じ量もう1つ作ろうか。」
「はい。」
フランクさんと大量に作ってお昼の時間、まさかのお屋敷にいる全員が集まっての食事になりました。
作ってる途中から香りが広がってたらしく、メイドさんもソワソワしちゃってたのでせっかくならとお兄さまたちが誘ったらしい。
パンは平パンと丸パン、どっちも大量に用意してもらった。カレーライスも食べたいけど、平パンがナンみたいでぴったりだった。
食べ始めた瞬間料理長さんに詰め寄られ困っていたら、ジュードさんが助けてくれた。料理長さん大っきくて熊さんみたいだから見下されると怖いんだけど、話しかけるタイミングが分からず暴走したらいし。可愛いのでオールオッケー。
くまさん(料理長さん)は気になる物は知らなくても買ってきちゃうらしくて、スパイスもそのうちのひとつなんだそうだ。
「使い方が分かればそれだけでいいのです。教えてほしい。お願いします」
「えっあのっわたしが出来ることならいくらでもしますよ!」
「本当ですか!」
ガバっと頭を下げたと思ったらすごい勢いで見られてびっくりした。ナリアルさんが間に入ってくれてその後の予定を決めてくれました。私は食べるのが遅いのでもくもくと口に入れてます。
「午後に作ろうと思ってた物はありますか?」
「パウンドケーキとバタークッキーを作ろうと思ってた。」
「俺も一緒に作業しても良いでしょうか…」
「わたしは大丈夫です。」
「作り終わったら料理長が買いだめた物を出したもらうので、一緒に鑑定しながら分かる範囲で使い方を教えてあげてください。私も行きますからね。」
「ナリアルさんも?いいの?」
「フランクと私はメモ要員です。」
「あ。」
ってことで午後の予定が決まりました。カレーの作り方はパウンドケーキたちを焼いてる間にメモを書くことになった。今すぐにでも走り出しそうなくまさんがおもしろい。
あまり体力も減ってないし疲れも感じてないので、お昼寝はせずこのままキッチンに行くことにしました。
ディアは午後もみんなと遊ぶんだって。ガイトさんたちヘロヘロだったけど、大丈夫かな?ディアが楽しそうだからスルーしたけど。
久しぶりのお料理day、午後の部開幕です。
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