第128話 再びの…
お庭に立ってドキドキのリンです。おはようございます。朝ご飯たべておじいちゃんに診てもらって、体調も魔力も問題なく回復してるとお墨付きをもらったので予定通り今日から魔法を使います。
久しぶりすぎてちょっと自身がない。リングと一緒にナイフワンドを持って補助を増やして使ってみて、問題なければワンドは使わなくする。
「できたー、ある程度なら崩れないから思いっきり使っていいよー!」
「はーい!ありがとう!」
双子が土壁を作ってくれました。キレイに咲いてるお花たちがぐちゃぐちゃになっちゃったらやだし、暴発はしないと信じたいけど念の為ね。それと一緒に的も作ってもらった。
〈何かあったらよろしくね〉
〈任せろ〉
ってことでサポート兼何かあった時の対応役のディアさんが元の大きさのまま隣りにいます。安心感がすごいです。
まずは体に魔力をまわしてみる。魔力が増える度に同じことやってるから慣れてるんだけど、久しぶりだからちょっとぎこちない動きになってる。
何度かぐるぐるとまわすとスムーズに流れるようになった。こういうことやってると、やっぱり基礎練習って大切だなって思う。
〈まずは水からね〉
〈わかった〉
手に魔力を集めてボールを作るイメージをして出すと、想像の3倍率大きくなった。嫌な予感しかしないのですが。
ふよふよと浮かばせたまま魔力を操作して、小さくできないか挑戦する。たぶんちょっとは小さくなってるんだけど、小さくするのってほとんどやったことないんだよ、難しい!
〈リン、そろそろ危ない〉
〈えっ〉
呼ばれた瞬間思わず気を抜いてしまって、水の玉が弾けた。と思ったらディアに首根っこを
でも弾けた水をディアが凍らせてくれて、とんでもなく綺麗な光景が広がってる。粉雪みたいなダイヤモンドダストみたいな。
「大丈夫ですか?濡れていませんか?」
「うん、わたしは全くなんともないです。びっくりしたけど。」
「これはディアさんの魔法ですよね」
〈濡れる前に凍らせた。〉
「すっごくきれい。一瞬でこんなこと出来ちゃうディアすごい」
ぷらーん状態でお喋りしてたらナリアルさんが来て地面におろされ、服の確認をされた。ディアが上手に噛んだおかげて特に破れることもなく、なんともなかった。
「続けますか?」
「もちろん」
ってことで水は一旦置いといて、土で遊びます。大暴走しない限り危険はないので。…たぶん。
ズモモモモ〜と地面から土を出して高さ調節。 いっぱい出して形を整えて、はい地獄の完成。尖った土の槍が地面から何本も出てるのって怖いよね。ダンジョンのトラップにありそうなやつ。
この世界にもダンジョンがあって色々と面白いものがドロップするらしい。いつか行ってみたいけど瞬殺されるレベルだったら怖すぎるので、もっと先になりそう。
土をこねこねして遊んで、ディアっぽい何かを作ったり犬っぽい何かを作ったりうさぎっぽい不思議な物体を作ったり。美術は苦手なので許して下さい。
「楽しんでるみたいだけど、お昼の時間だよ。集中しすぎ。」
「はーい。久しぶりで楽しくて。」
アルダさんがお迎えに来てくれた。抱き上げられてお風呂場に連れて行かれて、クリーンをかけつつちゃんと手を洗う。ダイニングに移動したらみんなでご飯を食べます。
お昼ご飯を食べたらちょっとお昼寝をして、また魔法を使って遊んだ。
風を出したらちっちゃい竜巻ができて、髪の毛ぐちゃぐちゃ。的にウィンドカッター当てたらキレイに真っ二つになって、威力がぶっ飛んでて驚いた。
さすがに疲れちゃったので2時間くらい遊んだら、日陰でのんびり読書。寝込んでたからここまで動けるだけですごいと褒めてもらえたけど、また体力作りをしようと決意。
お夕飯は両親と長男オリヴァーさんと、オリヴァーさんの奥さんのエリンさん。次男のジュードさんと妻のエレシアさん。三男のサイラスさんが勢揃いしてた。初めましての挨拶をしてお話を聞きながら食べる。
長男であるオリヴァーさんは成績トップで学院を卒業して、そのまま文官になったらしい。エリンさんも優秀で王城にある書庫の司書見習いとして働いてるんだって。
次男のジュードさんは騎士団員、その妻のエレシアさんは魔法騎士団の魔導師さん。魔法騎士団は普通の騎士団とは別組織で、討伐とは戦いに出ることもあるけど研究がメインらしい。
研究の内容は魔法の新しい使い方とか、魔物や魔獣に効果的な魔法を探したりとか、ポーション作ったり付与魔法で作った道具で騎士団をサポートしたり色々とやってるらしい。
いわゆるオタク集団。魔法大好き集団って言ってたしたぶん間違ってない。今回の味のあるポーションも、もしかしたらエレシアさんたちが研究してくれるかもしれないらしい。
成分とか効果が上がる理由とか、薬草の鮮度の関係とかお水のキレイさとか、分かればすごいと思う。ぜひ調べてみて欲しい。
三男サイラスさんは留学をしていて、普段はお隣の帝国にいるらしい。もしかしたら潜入捜査とかなのかな?と思ったけどそんなドラマ展開はないか、と思考を切り替えた。
実はみんなずっとお屋敷にいたらしいんだけど、忙しくて朝早く出たり夜遅くに帰ってきたり、食事もそれぞれバラバラに食べてたから会わなかったと教えてもらった。
お城に仕える面々は本当に忙しいらしい。ナリアルさんが冒険者になったのも、そんな兄弟を見て自分には無理だと思ったのと国に仕える気がなかったかららしい。喋り方はいちばん真面目に見えるんだけど、どうやら自由人みたいです。
兄弟と紅嵐メンバー、フランクさんは会ったこともあるしそこそこ仲良しさんらしい。王都に来る時はこのお屋敷を貸してもらうんだって。普段は長男夫婦しかいないから、人が多くて活気が増したとメイドさんが話してた。
〈すごい人たちのお家に来たみたい。〉
〈小僧どもだってその辺の冒険者レベルではないだろう。強い部類だと思うが〉
〈ディア、ガイトさんたちのこと好きだよね〉
〈奴らからは嫌な匂いがしない。元から嫌ってはおらんよ。〉
〈嫌な匂いって悪い人かどうかみたいな?〉
〈そんなとこだ。〉
ディアさんはみんなを私の保護者であり守り手として認めているらしい。強いディアに認められる冒険者ってとんでもない人たちなんじゃなかろうか。
美味しいご飯を食べながらお話を聞きつつ、不思議な気持ちになる。何も持たない私を保護してくれたみんなに感謝してるし、家族として受け入れてくれたアーベンティス家にも感謝してる。
それでも、家族という関係がどういうものなのか分からないから、どう接していいか分からない。距離感がつかめない。
仲良さそうに話す兄弟と両親を眺めながら考えるけど、分からないものは分からないと諦めるリンちゃんなのでした。
家族ってムズカシイ。
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