第127話 先生はすごい

お昼寝から起きたリンです。午後は先生の作業の見学に行きます。


「こんにちは。また見学させてください」

「どうぞどうぞ、今日は味のあるポーションを作ろうと思っててね。色々と集めてみましたよ。知らないのもあるかな?見てみてよ。」


いろんなフルーツがカゴに入ってる。今まで見たことなかったのもあるので、鑑定させてもらいます。


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名前 ビルネ

特徴 さっぱりした甘みの瑞々しいフルーツ。

備考 大人に人気。(見た目はりんご、味和梨)

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青りんごだと思ったら梨だった。よく見ると表面ザラザラしててりんごではないんだけど、色は青りんごそのもの。地球にもあって名前が違うだけのもあるけど、たまにこうやって見た目が違うのもある。これはこれで楽しい。


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名前 ポアール

特徴 柔らかく食べやすいフルーツ。

備考 傷みやすいため、流通しにくい。(いわゆる洋梨。ちょっと高級品)

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和梨と洋梨ってちゃんと別に存在するんだね。見た目マンゴーだけど。この洋梨。


「ありがとうございます。どれとどれを合わせるんですか?」

「MPポーションにこのビルネを合わせようと思っててね。理由は僕の好み。自分の好きな味を作れるのが錬金魔法使いの特権だよねぇ」


ニコニコです。とんでもなく楽しそうでルンルンのおじいちゃんは可愛いです。でも確かに自分の好きにカスタマイズできるのは特権だと思う。欲しいなら材料買うなり採るなりして作ればいいだけだし。


またイスに座って観察。お水の量はノーマルで作るみたい。それだとちょっとした青臭さが残るんだけど、いい感じにフルーツ緑茶みたいになったらそれもまた良き。


材料を入れてかき混ぜてるんだけど、抽出にかなり時間がかかってる。最初はずっと安定してた魔力がちょっとずつブレはじめて、鑑定で見てると多い・少ないを繰り返してる感じ。


「ふぅ~、これは難しいね。ただでさえ安定しにくいのに時間がかかる。味も一応付いてるけどあまり美味しくはなさそうだね。」


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名前 MPポーション【ビルネ風味】

特徴 魔力を200回復

備考 (青臭いビルネ風味。)

   (時間がかかりすぎて味が落ちた。)

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「もう少し短時間で出来ると味も落ち着くみたいですね。魔力増やしてもできるのかな?」

「あれ?そっか、リンちゃんは詳しい鑑定ができるんだったね。時間がかかりすぎってなってる?」


「はい。それで味が落ちたってなってます。魔力を増やして抽出ってできるんですか?」

「それができないんだよね。入れすぎると失敗しちゃうんだよ。」


体調を見てもらったり見学させてもらったりで仲良くなったので、リンちゃんと呼ばれるようになった。私はおじいちゃんとかおじいちゃん先生って呼んでる。仲良しになれて嬉しいです。


それはさておき、最大限の良さを引き出すためには完璧な魔力操作で狂いなく抽出する必要があるってことらしい。


「思ったより難しいね。うーん、水分量を増やしてみようか。でも余計時間かかりそうだからなぁ。ポーションあるしやってみるか。」


よし、と意気込んで今できたポーションを飲むと作業を始める。もしかしたらすんなり出来るかもしれないし、見てるのも楽しいし鑑定を使いまくっても疲れないから思いっきり見てる。


水を倍量でまたビルネで挑戦するみたいです。最初から魔力多めで、それに合わせて薬草も増やしていってる。


さっきより余裕がありそうに見えるのは気のせいかな。魔力のブレもなくてずっと一定になってるし、メモをとる余裕もあるみたい。


「これはびっくりだよ、水増やした方が作りやすいとは思わなかったなぁ。」


作り終わったのか、ニコニコで瓶に入れ替えてるおじいちゃん。ポーションは完成したみたい。


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名前 MPポーション【ビルネ】

特徴 魔力を230回復

備考 (スッキリとしたビルネ風味。サラサラとして飲みやすい。)

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「回復量がちがう…」

「ん?…わっ回復量が増えてるね。これは何の効果なんだろう。水分量多いと回復量増えるのかなぁ。リンちゃんのはどのくらいだったっけ?」


「250です。減らす方法が分からないのでいつもそのまま作ってました。回復量が多いのって問題ありますか?」

「僕のは20少ないのね。これも何で変わるか調べる必要があるなぁ。回復量は多くても問題ないよ、自分の魔力量を把握して見て飲む量を調節するのが普通だからね。」


「値段が変わりますよね?」

「そうだね。ぼくも250のポーションが作れればいいんだけど、作れなかったら王都とアーベントの品物が変わっちゃうんだよね。まぁ冒険者の街なんだから良い品があって問題ないんだけどね。価格がどうなるかは相談しないとなぁ」


私も回復の量を調節して作れるようになれば便利なんたけど、特に困ることもなかったし考えたこと無かった。復活したらやってみよ。


「ポーション瓶ってどうしてるの?」

「最初にいっぱい買ったのがあって、ある程度はそれに入れてます。あとは調味料とかの瓶をもらってそこにまとめて入れちゃってます。小分けにすると場所とるし、瓶も足りなくなるのでタグだけつけてそのまま棚に。」


「瓶も作ってもらう方がいいかな。」

「買うものじゃないんですか?」


「買ってもいいけど伯爵家印のお店だよ?どうせなら専用の瓶を作ってもらった方がカッコいいでしょ。それもあとで話し合いしなきゃね。」


かっこいいけど。無駄にお金かかっちゃうんじゃないかな…大丈夫なのだろうか。


〈大人の事情だろ。〉

〈ディアはどこからそんな知識を拾ってくるのかな。〉


魔獣に人間の大人の事情と言われると苦笑いしか出ないです。王都のお店は貴族用もあるみたいだし、瓶にもこだわるのかもしれないね。たぶんね。


見学が終わったらお風呂に入って夜ご飯を食べました。このお屋敷にはナリアルさんのお兄さんと奥さまが暮らしてるらしいんだけど、忙しくて帰りが遅いらしい。いつか挨拶できるといいな。


お部屋に戻ったらフランクさんが買ってくれた本を読む。元々好きだった読書をこっちでもできるのがとっても嬉しくて夜ふかししそうになるんだけど、頼もしいディアさんが強制終了させにくるのでちゃんと寝てます。


体力も戻りつつあるし、明日からはお庭で動いたりちょっと魔法を使うのもいいよって言われてるの。


久しぶりで心配もあるけどいつも通りの生活に早く戻りたい。そしてお買い物行きたいし王都観光したい。


目標があればやる気もりもり出てくるよね。


明日も楽しみです。

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