第97話 ムカつく!!
妖精さんと遊んでお家に戻ってきたリンです。みんなはまだリビングで真剣にお話中なので、先に夕食の準備をしようと思います。何作ろうかな。
フランクさんも話し合いに参加してるから私とディアだけでキッチンに入る。お肉を見るとコカトリスの尻尾のお肉が少しだけ残ってた。この量だと全員分にはならないし、サラダにまぜてもいいかな?
お湯を沸かしたら少しだけお砂糖を入れて茹でる。火が通ったらお湯から取り出して細かく
終わったらレタスと生バジルと和える。味付けはオイルとハーブと塩コショウ、ほんの少しだけはちみつ。あとはチーズをゴロッとちぎって盛り付けたら完成!簡単ボリューミーなサラダの出来上がり。
〈早くお外行きたいね〉
〈奴らを捕まえるまでの
お買い物も行けないし、ギルドにも行けてない。妖精さんたちのお皿とか買いたいし、お店いろいろ見て面白いの探したいし、サリアさんたちに会いたいし森の空気を吸いたい。
〈なんで狙われてる私がコソコソしなきゃいけないんだろう。いや、分かるんだよ?分かるけどさ、ものすごく理不尽じゃん。悪いのはあっちなのに〉
〈そうだな。自由が好きだからな。〉
〈そうだよ。せっかくこっちに来て体調もよくて好きなことしてお金も稼げて、ディアやみんなに会えて。とっても楽しいんだよ?妖精もいるけど。〉
〈そうだな。〉
なんか考えてたらイライラしてきた。それに気づいたのかディアがそばに来てくれる。もふもふさせてください。
走っても苦しくない体、動物…魔獣に触れても大丈夫な体。周りにも恵まれてやりたいことを邪魔されることもないし、尊重してくれる。見つけてくれたのが紅嵐の人たちでよかった。見つかったのが他の貴族や国の重要人物だったら、どうなってたか考えると強すぎる。
今はそのクソッタレに狙われてるんだけど。
イライラしてきたぞ?
〈どうにかならないかな。いつになったら動くんだろう?私がここにいたらずっとこのままなのかな〉
〈リン、落ち着け〉
「だってムカつくじゃん。なんでわたしが不自由な生活しなきゃいけないの?我慢するのもあれこれ諦めるのも全部こっちなんておかしいんだよ!もういつでも狙えるように
〈リン、リン!落ち着け、待て!〉
ディアが慌ててるけど今はスルーしてリビングにダッシュ。今は全員集まってるからチャンス。
「おとりになるから捕まえて下さい!」
「……はい???」
机にダンッと手をついて訴えると、全員が驚きすぎて目が点になってた。面白いね。
〈暴走するな落ち着けバカモノ。〉
〈あっごめん、冷静なつもりだったんだけど。ありがとう〉
ディアが背中にタックルしてきた。珍しく強めの力で驚いたけど、暴走してた自覚はあるので素直に受ける。心配してくれてるんだよね、ありがとう。
「えっと、どういうことだ?」
「ずっと家にいたってどうにもならないでしょ?もう我慢するのも嫌になってきたしムカつくから、堂々と外に出てわたしを捕まえさせて狂った人たちを捕まえてもらおうと思って。」
〈危険だ〉
「ディアの言う通り危険だ。何をされるか分からないんだぞ?怖くないのか?」
「少しは怖い。でもわたしを狙う理由は迷い人が欲しいか力が欲しいか、あとはどっかに売るかくらいでしょ?なら殺されることはないだろうし、多少傷つけられてもポーションがあるからすぐ治せる。それに助けに来てくれるでしょ?」
「それはそうだが…」
ものすごく険しい顔のガイトさん。みんなも眉間にシワが寄ってるよ、老けるよ。
ディアにジーッと見られたから見つめ返す。私は冷静だよ、これが1番いい案だと思ってるし現行犯逮捕なら証拠うんぬん関係ないでしょ?一石二鳥で安全な暮らしが得られるんだよ。
〈はぁ〜。反対しても無駄なようだぞ、どうするか決めた方がいい〉
〈ディアわかってるー!〉
〈やかましいわ。〉
ものすごく深いため息が聞こえたけど、私は頑固なのよ。絶対に捕まえてもらって自由になるんだから!捕まえるのはお任せなんだけどね!
「囮ってなにをするのですか?」
「ただ街を歩いたり森に行ったりギルドに行ったり、普通の生活をするだけ。だって向こうは自分たちの存在がバレてないと思ってるでしょ?刺客2人はともかく、貴族はバカなんだし。」
「まぁそうだな。しばらく家にこもってたから勘付かれたかもしれないが。」
「体調が悪くなってたって言って回るよ。知らない人と暮らして疲れちゃって、心配したみんなに家から出してもらえなかったのーって。」
「あははっそれはいいね、説得力ある。」
アルダさんは気に入ったらしい。アルダさんの笑い声でみんなの雰囲気がやわらかくなった。ありがとうアルダさん!
空気が変わったところでフランクさんが夕食の準備をすると言うので、話の続きはご飯を食べ終わったらすることになった。
メインの料理は焼くだけで完成らしく、すぐに出てきた。照り焼きチキンにササミサラダは相性抜群で美味しい。お米欲しいな。
「そうだ、リンちゃんピアス開いてる?」
「開いてないと思う。なんで?」
「鑑定を阻害する物を作るんだけど、みんなピアスにするんだ。リンちゃんはどうしようって話になってさ」
「わたしもピアスにしたい。子どもが開いてたらおかしい?」
ここの全員とおそろいなんて嬉しい。ピアスしたかったんだよね、校則があって出来なかったけど。
「子どもでも普通に開いてるよ。親が魔法付与してあるピアスを送ることがあるから。邪魔にならず常に着けてられるし、防御系はピアスが多いんだ」
「なら開けたい。」
「明日作ってくるから、明日の夜開けようか。道具も持ってくるねー。」
「専用の道具もあるの?」
「あるよー、ピアス用の痛みが軽減される専用の針。小さい頃に開ける人が多いからね。」
ピアッサーの上位互換みたいなのがあるのか。魔法があると便利だね。
小さい石が付けられるそうなので、みんな好きな色を指定してた。私は緑。目が青で髪がホワイトベージュなら似合うと思うんだ。
話し合いがんばるぞ。
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