第96話 増えた悩みと味方

___ナリアル視点___


「さて、リンさんがいなくなったところで本音をどうぞ。」


「まじかーーーっっ!」

「規格外にまた付属品が増えたね。」

「俺達にもな」

「まぁリンちゃんだからね。」

「僕まで祝福もらえたよ、リンちゃん効果すごいねー。さすが規格外。」


さすがに本人がいる前では大人の対応をしましたが、全員の本音が一致していてよかったです。ここからは大人の話をしなければいけないのですが、ひとまず発散させましょう。


妖精がそばにいることですら現実味がないのに、その祝福を受け、さらには見ることも話すことも可能になるとは。スノーケーニヒといい妖精といい、どうしてそう変なのに好かれるんですかね、彼女は。変なのは失礼ですけれど心の中なので許して下さいね。


「これであいつの価値が爆上がりしたわけだ。」

「何としてでも隠さなければなりませんし、守らなければなりませんね。特に貴族と帝国には。」


「国へはどうする?」


「報告しない。」

「俺もレイさんと同感。報告しても良いことないと思うけど。」

「僕もしないほうが良いと思う。どこから話が漏れるか分からないし、不安要素が多すぎる。」

「そうですね、隠し通しましょう。可能性があるとしたらギルマスたちと両親でしょうか?」


リンさんについては機密事項になり、詳細は隠されているはずなのですが。刺客が来ている時点で情報は漏れています。さて国王の側近か近衛か、はたまたバカな貴族か。敵は誰でしょうね。


フランクがお茶を淹れてくれていますが、大量のお菓子が出てきました。疲れた脳に甘いものですか、いいですね。


「ナルの両親には説明が必要かもしれないな。もしものことがあった時に守ってもらわなきゃならん。ポーションや薬草も悩みの種なんだがなぁ」


「ちなみにですが、もしリンさんになにかあって傷1つでもついた場合には我がアーベンティス家が王宮に殴り込みに行く予定になっています。その際はぜひご一緒にどうぞ。」

「それは全員行くだろ。」

「「「もちろん。」」」


さすがリンさん大好きな人たちですね、即答なのですから。


こちらから流している高級な魔物肉や薬草類の価格を上げるとも言っていましたが、どうなるのでしょうかね。狙われていることを心配しつつかなり怒っていますから、かなりふっかける予定みたいですし楽しみです。


現実逃避ではありませんが、雑談をしつつお菓子をいただきます。これまでに色々な仕事をしてきましたが、ここまで全員で頭を抱えることは珍しい。リンさんが来てから全く退屈しませんね。


ポーションや薬草は一度流通させてしまえば流れを変えることは難しくなります。商業ギルドに頼むにしても情報が漏れる可能性がありますし、冒険者ギルドは専門外。どこかの店に卸すとしても安全な人とは限らないなんて、もう専用の店を建てるしかないのでしょうかね。


建てるにしても雇う人物の選定もやらなければならない。どうせなら奴隷を買って裏切れないように契約をしてしまいましょうか。リンさんが奴隷をどう思うかが問題にもなりますが…。


おや、もう戻ってきたのですね。キッチンに入ったということは、今日の夕飯の支度をするのでしょうか。リンさんのご飯を食べれるのならばもう少し頭を働かせましょう。


「カルダ、鑑定を阻害するような物は作れますか?」

「作れるよ。そんなに難しくないから明日にでもじいさんの所で作ってくるけど、何がいい?ギルドプレートと一緒に着けるなら似たようなのにするし、リングやピアスとかも出来るよ。」


「俺はピアスが良いな、リングはもうあるし。」

「僕もピアスかな。着けっぱなしでも邪魔にならないから。」

「私もピアスで。」

「俺も」

「僕もピアスがいいなー、他のは邪魔になりそう」


「全員ピアスでいいなら簡単だ。リンのどうする?ピアス開いてたっけ?」


こちらの世界では幼い時にピアスを開けることもありますが、わかりませんね。


「あればピアス、無ければカフス型かネックレスにするのが妥当でしょう。後で確かめないといけませんね。」

「みんなおそろいなら嬉しいのになー」

「無ければ開けてもらう?」


双子はリンさんが来てから良い方に成長しました。自分より幼い子がいると落ち着くものなのでしょうね、まだまだ喧嘩もしますが雰囲気が大人しくなりました。


全員おそろいのピアスもいいですね。


「あいつらとっとと捕まえて安心させてやりてぇな。」

膠着状態こうちゃくじょうたいですからね、難しい問題で「おとりになるから捕まえて下さい!」」


「……はい???」

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