第94話 どうしようね

おはようございます、絶賛困惑中のリンです。

朝起きて畑に水やりをしに来たのですが。なんじゃこりゃ??


〈妖精に気に入られたか。〉


ディアさーん、なんで冷静なんですかー?

妖精ってなんですかー??

これなんですかー???

どうしたらいいですかー!???


とりあえずみんなを召喚。ジャジャーンと見てもらったら、はいフリーズ、からの現実逃避。とりあえず朝ごはんを食べることにした。お水だけ先にあげます。


あ、このお水おいしい?よかったね。

土も栄養満点?早く育つのはそれが原因かな。

お花少ない?チャマイルくらいしかないんだ、ごめんね。


「で?なんでああなった?」

ご飯を食べ始めて少し経った頃にガイトさんが復活。他の人は逃避中もしくはガイトさん任せ。


「わかんない。いつも通り朝起きてお水あげに行ったらああなってた。ディアさんいわく妖精さんらしいよ。可愛いかったね。」


畑には20人?20体?くらいの小さい子がいた。ふよふよ飛んでるお花のドレスを着た女の子、土に潜ったり遊んだりしてたとんがり帽子をかぶった茶色い服の男の子。水色の髪のちょっと大人しそうな子はお水が美味しいと言いつつ葉っぱの上でくつろいでた。


大きさは子どもの私の手のひらより小さいくらい。どうしてこうなったのでしょうね。ただ薬草とハーブ育ててただけなのに。


「あれ、どうするんだ?」

「どうしたらいいのでしょう?」

「結界の中にいたってことはあの結界は効かないんだね知れてよかったのか悔しがるべきなのかわからないううぅ……」


1人結界が効かなかったことにショックを受けてちゃんと頭を抱えるカルダさん。なんかごめんなさい。


〈妖精に魔法は効かん。それにリンなら話ができるんだから直接聞いたら良い。〉


「「「「「えっ?」」」」」

「…やっぱり?」


「やっぱりってなんだ。」

「さっきお水をあげた時に気づいたの。なんとなく気持ちが分かるというか、言いたいことが伝わるというか、ディアとは違う不思議な感じだけど理解はできたよ。」


「んじゃ食い終わったらもっかい行って聞いてみるか。もしかしたら幻だったかもしれねーし。」

〈幻なわけがなかろう。〉

「冗談だよ。幻の方が助かるけど」


ディアの呆れ気味なツッコミが入ったけど、気にしない。カルダさんは魔法が効かないのが気になるみたいで、なにやらブツブツ言ってる。壊れた。


ご飯をちゃんと食べて、みんなで畑に集合。入ってみたらやっぱりいた、妖精さん。幻じゃないよねーそうだよねー。


『あのねあのね、きれいな空気に引き寄せられて』

『入ってみたら畑だったの!』

『こんなにいい葉っぱがあるなんて』

『ここは精霊の国みたいだよ!』

『水もキレイ』

『土も養分があって快適だよ』

『『『ここ最高』』』


「だそうです。」


見てたら飛んでる子たちがワラワラ集まってきて、言いたい事を言ったらわーっと散った。自由ですね。そのままみんなに伝えるたら…うん、なんとも言えない顔してる。一気に集まったと思ったらサーっと散ったもん、びっくりだよ。


「本当に会話が出来ているんですね。」

「聞いてもいないのに答えられちゃった。」


〈ある程度リンの心を読む。〉

〈ちゃんと聞いても答えてくれる?〉

〈平気だろ。リンは好かれてる。〉


うん、よく分からん。


「何聞けばいい?」

「他のやつにも見えるのかだな。もし見えるとなるとバレたら大変なことになる。」


「ねぇねぇ、お話してくれる子いる?」

『なーに?』

『どうしたのー?』

『わーいあったかいー』


わーお、普通に寄ってきた。お花の子は人懐っこいね、周りをぴゅんぴゅん飛んだり手に乗ったり肩に乗ったり。お水好きの青い子は物静かだし、土の子は恥ずかしがり屋さんみたいで、薬草に隠れてこっちをのぞいてるだけ。怖くないよー


「あなた達は誰にでも見えるの?」

『リンの近くにいる人だけー』

『普通は見えないよー?』

『見えてたら大変だもん』

『『ねー』』


「それは今だけ?それともずっと?」

『ずーっと』

『変わらないと思うよ?』

『リンがここを出なければずーっと』


おっと、独立反対派がいるぞ。厳しい親か。


「なにか必要な物とかはある?」

『お水!』

『お水と栄養いっぱいの土があればいいよー』

『リンがいればキレイな空気になるの』

『リンが来てくれたらそれでいいのー』


「…だそうです。」


聞いたことを伝えたらホッと安心した大人たち。カルダさんは気になるのかお花の子をジーッと見てる。手に乗せてあげたら感動してた。お花の子も特に気にせずのんびりしてる、のほほん空間の出来上がり。


「リンがここにいない間は俺たちにも見えないのか?」

『見えないよー』

『見えるようにする?』

『出来るよー?』


「見えないけど、見えるようにも出来るって。してもらう?」

「その方がありがたい。リンに何かあった時に教えてもらえるかもしれない。」


『教えるよー』

『ここの人たちだけでいいの?』

「うん、ここの人だけ。お願いできる?」


『『『まかせてー!』』』


光の粒をふりまきながらみんなの周りを飛び回るお花の子たち。妖精の粉だ、本当に存在するんだこれ、物語の世界みたい。


『できたよー』

『お話もできるようにしといたよ!』

『リンお水だしてー!』


「お話できるようになったらしいんだけど、聞こえる?」


「聞こえますね」

「不思議な感覚だね、これ」

「こんなに喋ってたのか」

「やかましい。」

「…」


ディア用に持ってた木のお皿に魔法でお水を出すと、いろんな子が集まってきた。足りなそうだったので予備のお皿にもお水を入れるとさらに集まってくる。青い子も土の子も楽しそうに飲んだり遊んだりしてるんだけど、これからも必要ならお皿準備したほうがいいよねこれ。


〈1番やかましいのが花の妖精、青い静かなのは水の妖精、土にもぐってる茶色いのは土の妖精だ。〉

〈ディアにも声聞こえてる?〉


〈聞こえる。魔獣の上位種なら会話ができる。〉

〈さっすがディア。〉


いろいろ決めなきゃいけないことがあるから、リビングに戻って会議です。


一難…ではないけど、問題発生。落ち着ける日は来るのかな?

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