第63話 すごいよ。

おはようございます。楽しみにしてた錬金用の作業小屋が完成して、大工さんたちもいなくなったので朝の日課が朝ごはんの後に戻ったリンです。


「おはようございます、サラダ盛ります。」

「おはよう、よろしくね。」


顔を洗って口をゆすいでスッキリしたら、キッチンに入ってフランクさんと朝ごはんの準備。今日はガイトさんと庭で暴れたいらしいディア。日によってリビングで寝てたり暴れたり自由なディアさん。


朝に弱いカルダさんは参加したりしなかったり。こちらも自由人。


「出来たから皆呼んできてくれる?」

「はーい。」


外に出て叫ぶと飛んでくる2人。腹ぺこコンビ、なんだかんだ仲良し。カルダさんはさっき起きてきてソファーで潰れてる。寒くなったら起きなくなりそう。そろったらいただきます。


「今日リンは1日作業小屋で良いんだよな?」

「うん。ポーション作る。」


「食べ終わったらすぐ行く?」

「行く。」

「りょーかい。」


「俺とカルは用事があって戻るのは夕方以降になる。遅かったら先に飯食っててくれ。」

「わかった。」

「わかりました。」


ごちそうさまでした。食べ終えたらカルダさんと小屋に向かいます。


小屋に設置されたのはお花のガラスがはまってる大きな1枚扉で、大きな取っ手が付いてる内開き仕様。取っ手は魔力を感知するためにも必要になものらしい。畑の扉にも取っ手があってそこに魔力登録をしたから、これもそうなんだと思う。


小屋が完成してから2日くらいはかかるって言ってたけど、完成が早かった。ありがとうカルダさん。


小屋の正面右下には水が出る魔道具が設置されてる。右側に畑があるから手を洗ったり薬草を洗ったりするのに便利。お洗濯にも使えそうな場所だし助かるやつです。


カルダさんに魔力の設定をしてもらったら、2人はお出かけ。いってらっしゃい。


中に入ると落ち着いた雰囲気の内装になってた。暗めのトーンだけど窓が多くて光が入るし、照明もちゃんとあるから明るい。机は地下で使ってたやつをそのまま入れてあって、椅子はスツールって言うのかな?背もたれのないやつが6つ。多い気がするけど気にしない。


正面と右側の壁は天井までの棚。下には移動式の階段があるから上まで届く。子どもサイズの私にはとってもありがたい。


左側は作業スペースでコンロと水の出る魔道具、錬金陣が設置されてる。高さは私に合わせてくれたのか低めでぴったり。


入ってすぐ右の床には扉があって、開けると地下に続くハシゴが出現。秘密基地って感じ、好きです。


〈ディア、ここ入れる?〉

〈あぁ、このくらいなら問題ない。〉


ストッと下に落ちるとジャンプで上がってくるディア。この身体能力おばけめ。


2人で地下に降りると部屋が全部棚で埋め尽くされてた。図書館みたいになってて、種類別に置いても余裕がありそう。上の小屋よりもちょっと広い気がする。


〈すごいね。〉

〈あぁ、そうだな。〉


〈この棚いっぱいに出来るくらい作る。〉

〈程々にな。〉


上に戻ったら棚と机の間にラグを敷いてクッションを置く。ディア用のお水皿を置いたら完璧空間の出来上がり。


〈カバンの中身出して整理したいんだけど、ちょっと怖い。〉

〈何がだ?〉


〈どのくらい入ってるのか確認してないんだよね。重さも容量も気にしなくていいから作ったらポンポン入れてたし、なにをどのくらい作ったかも覚えてないの。〉

〈そうだろうな。あれだけ作ってたら忘れもする。〉


〈だよねー。…やるか。〉


まずは薬草たちの仕分け。茹でたやつも森で採ったやつも全部使いきってるから、あるのは畑で採れたのとガイトさんが買ってきてくれた乾燥薬草2種類。


棚の真ん中が全部引き出しになってるから、そこに種類別に入れていく。特に縛る必要もないから葉っぱの向きだけ合わせてポンポン収納。


〈…減らない。〉

〈採れる量も増えてるからな。〉

〈そうなんだよねー。〉


薬草たちもそうだけど、ハーブたちもみんなわさっと元気に育ってる。採った分は次の日になれば元通りになってるし、なんならもっと増える。


ハーブもいっぱいあるからお茶と料理に使ってもらおう。そして私もお茶を作っていつでも飲めるようにここに置いておこう。せっかくコンロがあるんだし、薬草茹でるだけなんてもったいない。いっぱい使わなきゃね。


ディアとおしゃべりしながら薬草をしまったら、今度はポーション類。これまたすごい量があるけど種類ごとに置いていく。地下には味付きを置いて、上には味のないノーマルバージョンだけ置くことにした。今後は味の研究をしたいから、どんどん増えるだろうしね。


〈そろそろ昼だ、終わりそうか?〉

〈もうちょっとで終わるよ。ありがとう。〉


そういえば、ディアはなんで時間が分かるんだろう?時計持ってるわけでもないのに。


〈ディアはなんで時間が分かるの?〉

〈正確な時間は分からんが、朝からどのくらい経ったかは感覚で分かる。それに昼前になると調理をするだろう?匂いと音で分かるだけだ。〉


〈ここにいて匂いも音も分かるんだ。〉

〈音は多少聞こえなくなるが、匂いは中にいる時とさほど変わらん。〉


すごすぎた。猫の嗅覚が人の何万倍ってくらいだから、ディアもそうなのかな?魔獣特有とかあるのかも。優秀すぎてびっくり。


〈うるさいとか匂いがキツすぎるとかは無いの?〉

〈遠くまで分かるだけで、近くにいても不快にはならん。森にいれば臭い植物も魔物もいるからな。〉


不快にならないのはよかった。街で暮らすのが辛かったらイヤだもんね。


ディアのびっくり能力も分かってポーションの片付けも終わったので、2人でお家に戻る。


もう完成したみたいだぞ、とディアに言われてリビングに入ると、フランクさんがお昼ご飯をテーブルに並べていて笑ってしまった。


「おかえり。準備できたから食べよう」

「ただいまです。ありがとうございます。」


いただきますをしてディアのことをフランクさんに話したら、スノーケーニヒだからねって納得してた。どんだけ強いんだディアさんよ。


3人でのんびりお昼を食べたらちょっとゆっくりして、また小屋に戻ります。


カバンに入ってたハーブたちはほとんどフランクさんに渡して、料理や紅茶に使ってもらう。定期的に納品する約束にして問題解決。


ポーション作り楽しむぞ!

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