第59話 美味しい味噌漬けお肉

午後の魔法練習を終えてリビングに戻ると全員集合していた。フランクさんも含め大人3人ソファーでお話してるみたい。


「すみません、遅くなりました。」

「お疲れさまー。夕飯が楽しみで早く帰ってきただけだから大丈夫だよー。」


カルダさんが言うと、みんなうんうん頷いてテーブルに移動し始めた。フランクさんが準備のためにキッチンへ行ったので、追いかけてお手伝い。全部調理は終わってて、出すだけの状態で倉庫に置かれてた。時間停止機能ついてるからね。さすがです。


いただきますをしていたら大皿のお肉の山が一瞬でちっちゃくなった。出遅れた。


こっちの人たちは食事の挨拶やお祈りはしない。作った人か、その中で1番偉い人が『どうぞ』と言ったら食べ始めるスタイル。日本にいた頃はしっかりやってたけど、最近は胸の下で軽く手を合わせて小さくつぶやく程度で終わらせるようになった。


ちなみにどうぞの声はフランクさんが担当。


「うんめぇ!これ美味いな!」

「平パンとも野菜とも合う。これは美味しい。」

「…。」


「お口にあってよかったです。」


大興奮のガイトさんはすごい速さでパクパクとお肉を口に運んでる。動きは丁寧なのにすごいスピードです。フランクさんはマイペースにいろんな食べ方をして、カルダさんは終始無言。


本当はお米があればよかったんだけどね。いつか絶対見つける。


フランクさんの言う平パンとは、最初に食べさせてもらったタコスやトルティーヤみたいな丸い平らなパンのこと。テーブルパンみたいなやつは丸パン、フランスパン風のはそのままバゲットって呼ばれてる。見た目のまんまで分かりやすい。


濃い目の味付けだから、野菜と硬めの平パンが合いそうって話をしたら出してくれた。これは照り焼きも美味しそう。今度作ってもらおうかな。


鶏むね肉は1センチくらいの厚さに切ってあるから大人なら一口で食べられちゃう。私は切るけどね。


お肉がプリッとしててしっとり柔らかいからとっても美味しい。お味噌と平パン合うねー。


〈ディア、お肉どう?〉

〈うまいぞ。これは生と調理した物を交互に食べるのが最高だ。〉


〈それはよかった。〉


ディアもガツガツ食べてるし、気に入ってくれたみたい。生肉ってプリッとしてるのかな。


〈その生のお肉ってどんな食感なの?〉

〈これはかなり歯切れが良い。脂は少ないが程よく水分もあって私は嫌いじゃないな。〉


火を通すと硬くなるだけで、生だとジューシーなのかもしれない。濃い味のお肉とツルッとした生肉は相性がいいみたいて、喋りながらもずっと食べてる。頭の中で話してるから口は関係ないんだけどね。


「コカトリスの肉も美味くなるもんなんだな。討伐したら持って帰って来るか。他にもなんか作れないのか?」


「尻尾のお肉はチーズを挟んでパン粉を付けて揚げると美味しいです。胴体のお肉は甘じょっぱいショユのタレに漬けて焼くのもあります。」


「パン粉って何?平パンとかのパン?」

フランクさんがパン粉で釣れた。調理方法として揚げるってことが無かったから、トンカツとかもないんだよね。


「パンを細かく砕いた物です。いつもは古くなったパンを細かくして作ってたんですけど、普通の丸パンで作れます。お肉にまぶして揚げるとガリッとした食感になってガッツリ系のごはんになります。」


お肉には小麦粉と卵でコーティングしてからパン粉を付けること、尻尾肉にはチーズが合うし、オーク肉やミノタウロス肉なら塩コショウだけで美味しくなることを説明。


ご飯も食べ終わって満足したので、照り焼きのタレとパン粉を使ったメニューもろもろをメモにしてフランクさんに渡した。今度作ってみると良い笑顔をいただきました。


気になることとかやりたいことをすぐ書けるように、カバンにメモとペンを入れてある。メモ魔と言われていた私には必須なんだけど、こういう時に便利なんだよね。


「この食べ方、マーサに教えてもいいか?」

「マーサさんって誰?」


「あれ、マーサんとこで買ったんだよな?」

「そうだけど名前は知らないでしょ。リンちゃん、肉屋の店主のことだよ。今日いた豪快な女性、あの人がマーサ。」


フランクさんがマーサさんについて教えてくれた。元冒険者で強くて、フランクさんたちは一緒に仕事をしたこともあるんだって。カルダさん、アルダさん兄弟は知ってる程度らしい。


「もちろん大丈夫です。今日のも、フランクさんにお渡ししたメモの調理方法もお伝え下さい。色んなところで食べれるようになったら嬉しいですね。」


「じゃあ俺明日も用事あるから、ついでに渡してくるわ。フランク、メモ増やしといてー。」


「りょーかい。」


フランクさんと私はキッチンで後片付け中。ガイトさんはカルダさんとソファーでワインを飲みつつこっちに振り返って声をかけてた。


「ありがとう、これで終わり。戻って紅茶飲もうか。」

「はーい。ディアのところ行ってます。」


紅茶はフランクさんにお任せ。なぜか味が違うんだよね。いれ方にこだわってるのか自分でやってもあまり美味しくならない。


〈ただいまー〉

〈おかえり。〉


ディアのお腹にダイブすると難なく受け止めてくれる。おっきいもふもふは正義だと思います。


フランクさんがいれてくれた紅茶を飲みながら雑談をして、眠くなったらお風呂に入っておやすみなさい。だいたい21時〜22時には寝てる。


健康的な生活だいじ。睡眠だいじ。


ちっちゃいディアを抱いてお布団に入とすぐに寝れるリンでした。


明日は何しようね。

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