第55話 じゃんじゃん作ろう
お昼寝から起きて、またディアと地下室にこもる。午前中はノーマルで作ったから、まずは茹で薬草の水倍量バージョンの作成です。おしゃべりしながらの作業もかなり慣れた。
〈もう少しで冒険者活動出来るようになるんだけど、やっぱり薬草採取から始めるべきだよね。〉
〈森の外周あたりは弱い魔物がいた。薬草を集めてついでに小物を狩れば良い。〉
ディアに比べたら殆どが小物になると思うんだけど?
〈ホーンラビあたりならリンでも狩れるはずだ。魔法が使えるんだから遠距離から攻撃したらいい。〉
〈動く生き物相手に当てないとダメだね。〉
〈練習したらすぐに出来るようになるさ。〉
〈ありがとう。ディアはいつも魔法で倒すの?〉
〈小物なら爪で切り裂くか、齧りつく。図体のでかいやつには足止めに魔法を使うな。巨大な氷の塊を落とすこともあるが、だいたいは足を凍らせる程度だ。〉
〈足を凍らせるってかなり強いよね。動けない獲物を遠くから安全に狩れるんだから。〉
〈上手くやればリンの土魔法でも同じことが出来るはずだぞ。〉
〈あ、確かに。明日は魔法の練習しようかな。〉
〈私相手に練習したらいい。最大火力じゃ無ければ死ぬこともない。〉
〈怖いこと言わないでよ。でもありがとう、足止めの魔法は使えるようになりたい。〉
〈魔物を倒すことに抵抗はないか?〉
〈んー。全くないと言えば嘘になるけど、危険があれば倒すべきだし食べる為にも必要だと思うの。ここに来る途中でガイトさんたちがブルやボアを狩ってきたでしょ?解体してるのも流れてる血も見てたけど、抵抗感は無かったよ。解体難しそうだなぁとは思ったけど。〉
〈子供には刺激の強い光景ではあっただろうが、リンは普通に作業をしていたからな。〉
〈精神年齢は少し上だし、耐性もあるからかな。あとはこっちの世界に馴染んだとか?〉
〈それもあるだろうな。〉
〈今度誰かに解体の仕方教えてもらお。〉
〈喜んで教えてくれると思うぞ。〉
〈みんな優しいもんね。〉
話しながら水倍量バージョン4種類が完成。茹でたおかげで時間が短縮されて、それぞれポーション瓶15本分が出来た。これが1番効率がいいね。
休憩にクッキーをかじって紅茶を飲む。今日は果実水じゃなくて冷たい紅茶。疲れた体にしみる。
〈ナイフ持ってるけどさ、戦ったことなんてないじゃん。咄嗟に出せるかな。〉
〈無理だろうな。危険な状態で慣れないことをすると絶対に怪我をする。〉
〈やっぱりそうだよね。練習しても使いこなせる気がしない。〉
〈魔物相手なら魔法だけでいいが、人間相手だとナイフも必要になる。リンも持ってるだろ?防御装備。〉
〈…。人と戦うことがないように気をつける。魔物は倒せても人にナイフを向けるのは抵抗がある。〉
〈それでいいさ。〉
〈その為にも足止めの魔法は必須だね。〉
〈そうなるな。〉
休憩を終えてからはレモンティー風MPポーションを作った。甘さゼロの方は、レモンの皮の渋みと青臭さが紅茶と上手く混ざって大人用のスッキリした味になった。ちょっとだけはちみつを入れた方は、ほんのり甘くて飲みやすい味。私は甘い方が好き。
それぞれ30本ずつ作ったら今日はおしまい。薬草も無くなるしちょっと疲れてるからリビングに戻ります。
〈今日のご飯なんだろね。〉
〈肉だな。血の匂いがしてる。〉
〈すごい、全くわからないよ?〉
〈魔獣や魔物は血の匂いに敏感なんだ。個体差はかなりあるがな。〉
さすがディア様。
リビングに入るとディアは定位置に行ったので、私はキッチンに入る。中ではフランクさんがお肉の下処理をしていた。クッキーと紅茶を戻して、私もサラダの準備をお手伝い。
そろそろご飯の時間って頃にお肉を焼き始めるフランクさん。シンプルに焼いただけのお肉に醤油のソースが添えられてて、とっても美味しそう。
ガイトさんたちが帰ってきて、みんなでご飯をいただきます。今日のポーションを出したら、改良して飲みやすくなった味の無い物が欲しいと言われたのでそのままお渡し。味付きのはまたカバンに保管。
私が作った物って分かるように草紐を結んである。自分たちはこっちを使って、もし誰かにあげる事があれば市販のを渡すんだって。同じ瓶だから見分ける用の草紐だいじ。
カルダさんがどうしてもレモンティーMPポーションを欲しいってゴネてゴネて、結局5本だけ持つ許可がおりた。ガイトさんが負けました。
明日は魔法の練習をしたいからまた地下にこもることを伝えると、ディアと一緒なら問題ないと言われた。私は集中すると時間を忘れるから、監視役が必要らしい。なんでだ。
ちょっとブーたれてたら笑われた。完全に子ども扱いされてます。子どもだけども。
わーわー食事をして、お腹が落ち着いたらお風呂に入ってのんびりタイム。最初ほどの汗はかかなくなったけど、集中して作業するとどうしても汗をかくからシャワーでスッキリサッパリ。
リビングに戻ったらディアをもふもふしつつみんなとお話して、眠くなったらお部屋に戻っておやすみなさい。
とっても充実した1日でした。
日本にいた頃の私、よくがんばってた。こっちの生活が幸せすぎて1日がはやすぎる。
明日も楽しむよ。
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