第52話 実験大会

「上級ポーションは超濃縮だったのに味が付いて濃縮になったと。上級解毒はサラサラになって飲みやすさ倍増。ただアポを入れただけでドロドロが無くなったと。」


「上級解毒ポーションはアポ入れたら水が足りないって出たんです。普通に作る時の倍くらいかな。」


「味無しで水分多くしたらどうなるんだ?」

「やってみます。」


ポーションのタグを見ながらノートにまとめて、気になることはやってみる。こういう実験みたいなの楽しいよね。


鍋の中に葉っぱを入れたらお水をいつもの倍入れてみる。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−

名前 上級解毒ポーション?

状態 全く魔力が足りない

−−−−−−−−−−−−−−−−−−


「全く魔力が足りないらしいです…?」

「薬草が足りないことはないんだな。魔力は足りるか?」


「大丈夫。やってみます。」

「キツかったら止めろ、いいな」


「はーい。」


とりあえず鑑定で抽出不足になるまで魔力を込めたら、ノーマルバージョンの3倍必要だった。レイさんに伝えてノートに書いといてもらいつつ、抽出していく。


じっくり抽出しながらどれだけ時間がかかってるか考える。今度は時間も計らないといけないかも。絶対いつもより長い。


やっと出来たポーションは色が薄い気がする。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−

名前 上級解毒ポーション

特徴 猛毒に効く。(効力発揮中は発熱する)

備考 (サラサラで飲みやすいビターチョコ風。)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−


特徴変わらず飲みやすさが増したチョコドリンクらしい。お砂糖入れたらココアみたいになりそうだよね。タグをつけてレイさんに渡す。


「魔力は大丈夫か?」

「うん。減ってはいるけどMPポーションと同じくらい。」


「ならいい。水を増やすと飲みやすくはなるが作成時に大量の魔力が必要になると。」

「ドロドロの方が簡単で不味くて、サラサラの方が難しいけど飲みやすい。わざわざ難しくする必要なかったんですよね、きっと。」


「そこまで使わないからな。常備してるのは俺等みたいなA級以上か上位貴族くらいだろ。」

「貴族も必要なの?」


「危ないこともあるんだ。王族ほどじゃないだろうがね。」

「1番危ないのは魔物より人ってことですね。」


「まぁ、そういうことだ。」

苦笑いで頭をポンポンされた。なにも魔物だけが毒を持ってる訳じゃない。人間の方が危ないことなんていっぱいあるよね。


「これ、普通でビターチョコじゃないですか。ただ甘み加えるだけで飲みやすくなりそうじゃないですか?」

「大人ならこれでも十分だが、少し甘みがあったほうが喉を通りやすいかもしれんな。」


「1番手に入りやすい甘味ってなんだろう?」


「はちみつじゃないかな?」

レイさんとうんうん悩んでたらフランクさん登場。はちみつか!


「はちみつならいつでもあるし、無ければ採りに行けばいいだけだから。砂糖よりは使いやすいんじゃないかな。」

「はちみつって誰でも採ってこれるんですか?」


「ハニービーって魔物がいるんだけど、そいつの腹にはちみつが詰まってるんだ。そこまで強くないし無限に湧くから、初級冒険者が練習に狩ったりするくらいだよ。」


勝手に養蜂場をイメージしてたけど、ここには魔物がいるんだった。ハニービーって名前は可愛い。


「普通に売ってるし余ってるから持って来るよ。」

来て早々キッチンに戻っていったフランクさん。ありがとうございます。


持ってきてもらったはちみつを入れて作ったら、想像通りのポーションが完成した。魔力量はさっきの水分多いバージョンと変わらずいっぱい必要だったけど、作ってる途中から甘い香りがしてきてびっくりした。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−

名前 上級解毒ポーション

特徴 猛毒に効く。(効力発揮中は発熱する)

備考 (ほんのり甘いチョコ風。苦みは全くない。)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−


「これならなんの抵抗もなく飲めそうだね。」

「これ常備する。リーダーに言っとく。」

フランクさんはニコニコと眺めて、レイさんは真剣に悩んでた。


そんな2人を横目にMPポーションの紅茶味を作ってみる。茹でてないから青臭さは残るとして、実験だし水分も増やしてみようかな。


魔力が心配だから水は1.5倍にしてみた。案の定、魔力が足りないらしい。ぐっと魔力を込めたらやっと安定。たぶん3倍。ノートにサッと書いて集中。


ノーマルの倍くらい時間がかかったけどなんとか完成。これ1日に数回作るのがギリギリかも。疲れるし魔力がごっそり持っていかれる。さすがにビックリした。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−

名前 MPポーション【紅茶】

特徴 魔力を200回復

備考 (紅茶風味だが若干青臭い。)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−


少しだけ青臭さが残ったけど、これなら飲みやすそう。いいねいいね、実験は成功じゃないですか。


「MPの紅茶風味か。後衛職には助かるね。」

「前衛の意見を出すとするなら、中級と上級ポーションは甘みが少ない方が助かる。」


「甘すぎると無駄に喉が乾いたりするし一瞬で飲める方がいいから、どっちかと言うと苦みとかドロっと感が無いと助かるかもね。」


うんうん、とレイさんが頷いてる。戦ってる最中に飲むことを考えるなら、少しでも喉を通る方がいいんだ。味よりのどごし。やっぱりアク抜きとかで改良するのが良さそう。


もう魔力も少ないし夕方近いから、リビングに戻ることにする。完成品はカバンに入れて上に戻ると、みんな戻ってきてた。


ご飯の前にシャワーを浴びさせてもらった。久しぶりに思いっきり魔力が減ってちょっと疲れてるけど、嫌な疲れじゃないんだよね。


実験しまくって楽しかったな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る