第49話 結果報告会

「お二人さん、そろそろ戻るよー。」

レイさんとあーだこーだお話しながらノートに書いてたら、アルダさんが近くに来た。後にガイトさんもいる。


「すっごい集中してたけど、もうご飯の時間になるしナリアルさんたちも帰ってきたよ。」

ほら、と言われて入口を見るとナリアルさんとフランクさんが立ってた。フランクさんいつ上に戻ったんだろう。


「おかえりなさい。」

「ただいま。随分と楽しそうなことしてますね、食事しながら聞かせてください。」

「準備出来てるからおいでー」


レイさんがパパっと机の上を整理してくれた。各瓶には紙と草紐で作った札をつけてあって、名前と効果、味を書いてある。カバンに入れてみんなでリビングに戻るとすぐに食事開始。


いただきますして食べ始めると、さっそくポーションの話題になった。瓶は机の上に並んでる。


「味を付けたんですか、確かに飲みたい味ではないですからね。」

「俺はMPの味付き欲しいー!必要なのは分かってるんだけど口に残るから嫌いなんだよ。」


カルダさんからオーダー入りました。やっぱり飲まなきゃいけない系は少しでも飲みやすくなったらいいみたい。


「成功率はどのくらいですか?」

「100%」

レイさんが即答。


「はい?」

「100% ミスなし」

ナリアルさんがバッとこっち向いたから、頷く。


「初回成功率ってどのくらいでしたっけ。」

「5%以外。」

「えっ??」

今度は私が驚くことになった。100回作って5回成功したら良い方ってこと?それは大変すぎる!


「鍋に材料ぶっ込んで、ずっと鑑定で確認しながらやってたみたいだぞ。」

「そうなのですか?」

ガイトさんが代わりに説明してくれたから、また頷く。そういえば鑑定って珍しいスキルなんだよね。確認しながら作業できるのってある意味チートなんじゃん。


「途中で薬草増やしたり魔力調整したりやってたよな?」

「鑑定に魔力不足とか出てたの。抽出不足ってなったらその状態キープしてぐるぐるしたら出来ました。」


「この味表記は見たままですか?」

「うん。鑑定結果に出たのでそのまま書きました。」


「私には味まで鑑定出来ません。リンさん固有の表記なのでしょうか。」


おっ?他の人には見えないらしい。そういえば神様のおちゃめ表記もカッコ書きされてたし、その部類に入るのかな。


「備考欄があって、そこにカッコで味とか前の世界でこれに該当するよ、みたいなのが書かれてて。」

「そもそも備考もそこまで無いんですよ。基本は名前と特徴だけです。マジックアイテムや特殊素材には何かしら書かれることもありますけどね。」


備考欄がないのか。やっぱり私特有の表記ってことで確定っぽい。神様ありがとう。


「畑の隣に作業小屋作ることにしたから。明日ギルドに報告行ってそのまま依頼かけて作ってもらうから、出来たらカルは結界よろしく。」

「りょーかい。また扉も登録制にしようか?」

「あぁ。そっちは頼んでいいか?」

「いいよー。」


「作業場に魔導コンロが必要だ。」

「コンロか?分かった。小さいのでいいか?」

「リン、どうだ?」

レイさんに呼ばれた。魔導コンロってキッチンのIHコンロみたいなやつだよね。


「小さくて大丈夫。」

「りょーかい、注文しとくよ。」


「中で料理でもするんですか?」

「茹でれば薬草の味を薄く出来るかもしれないらしい。」

「本当ですか?」


「料理でもえぐ味の強い食材は茹でると食べられるから、同じなら試してみたらいいかなって思って。」

「鍋や必要な道具も1式買いましょうか。レイは明日暇でしたよね?」


「1日予定はない。」

「なら、リンさんと買い物に行ってきてください。カードを渡すのでそれでお願いします。」


「わたし自分で払いますよ?」

「先行投資ですよ。研究のための必要経費だと思って下さい。」


「ありがとうございます。」

「ちなみに、私は紅茶がいいです。」

「はい!」


明日はお出かけすることになった。その後も必要な設備やら今後の予定やら相談。


薬草と完成したポーションは売るんだけど、どこにどのくらい売るかも決めなきゃいけないし商業ギルドもあるから両ギルドのバランスを考えるってことになった。


みんな薬草がちゃんと育つって確信してるっぽい。そして私は思いつくまま作れば良いって言われた。楽しいしそれでいいなら嬉しいね。


今回1回でコーラ瓶2本分の量になったけど、ポーション瓶だと10本分。初級1本600ケル、上級は2000ケル、MPポーションは750ケルで買えるらしい。味付きがどのくらいで売れるか分からないけど、材料費ゼロで楽しくお金稼ぎ出来ることになる。


〈働かずに生活できちゃいそうだよ、ディア。〉

〈リンにとってポーション作りは遊び感覚か。〉


〈だって楽しいんだもん。作業小屋にもディアのラグ買おうね。今度はどんなのがいい?〉

〈小さい姿で使うだろうから、リンと座れるくらいの大きさで十分だろう。〉


〈そっか、明日一緒に見てみようね!〉

〈そうだな。離れるなよ?〉


〈分かってるよー。〉


食べ終わって一緒にラグでまったりウトウト。楽しかったけどかなり疲れてたみたい。


みんなにお休みなさいの挨拶をして、シャワーあびてお部屋に戻った。


明日が楽しみです。

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