第47話 予想通りの予想外

___ガイト視点___


「どう思う?」


「まぁ、予想通りではある。」

「一発成功なんてありえないし時間も短いし鑑定同時発動とかやっちゃってるけど出来るって事だけは予想通りかな。」


リンの作業を眺めつつレイは観察、アルは頭の後ろで手を組んでお手上げ状態で一気に答えた。性格でるなーこいつら。


「完成した状態を鑑定するなら理解できるんだがなぁ。完成前の物体を鑑定出来るとか知らねーぞ。」

「同時だし常時だろ。」


レイの言う通りなんだが、普通に言うな。ぶっ飛びすぎなんだよ。


「普通ってどうやって作るの?」

「師に弟子入りしてひたすら作りまくってコツを掴むのみだな。品質は試して確認だったか?」


「そうだな。」

レイは一言返事したらまた観察。それほど気になるのかこいつ。


アルは錬金魔法についてほぼ知らないからこれがいい経験になったらいいと思ったが、初見がぶっ飛びは感覚がおかしくなりそうだ。


「ポーションって不味いのが普通だよね?味付きってあるの?」

「存在しねーだろうな。完成させるだけで一苦労なんだから他のこと気にする余裕ないだろ。」


「そっかー。美味しかったら買うのになぁ。」

アルは味が気になるみたいだが、どうするか。


「完成したらギルドに相談、それまではメンバー内のみ使用可能で制限するからな。」

「了解だよー。」

アル、気のない返事をするなアホ。


「ギルドにいる魔法付与が得意な職員をリンに紹介する予定だったはずだ。養子申請が通ったらすぐにでも行かなきゃな。」

「商業ギルドにはいいの?」


「冒険者ギルドの方に話通してからだな。薬草も育ててるし、どっちになにを登録して売るかリンとも相談して決めなきゃならん。」


「薬草類は増える可能性あるからそれも伝えてくれよ。この調子ならたぶんポーション用の薬草類を全部揃えるだろ。」

フランクの言う通りだろうな。めっちゃ楽しそうに作ってるし。


「育つと思うか?」

「思う。知識もあるし、たぶん経験もある。前の世界でやってたんたじゃないのかな。」

一緒に作業してたやつが言うなら、そうなんだろう。


「しばらくは自前の薬草で遊べるだろうし、使えそうなフルーツやら何やら買ってやってくれ。」

「了解だよ、明日にでも買ってくる。作業小屋どうする?畑の隣がいいかな?」


「そうだな。必要なのは作業台と保存棚、素材棚、大量の瓶か?」

「地下室と水場が必要だと思う。」

フランクと相談してたらレイが入ってきた。なんだこいつ、聞いてたのか。


「もう依頼出しちゃっていいだろうな。小屋が出来たらカルに結界張ってもらって、扉も登録制のにする。それでいいか?」


頷くとまた観察するレイ。お前も参加してきたら?まぁ棚だけじゃ足りないのはその通りかもな。


「時間停止付与が必要だろ?ギルドのやつ連れてきて紹介がてら作ってもらうのもいいかもな。」

「それこそ依頼だしたら食いつくんじゃない?彼らギルマスに絞られて仕事三昧って言ってたし。」


アルはどっからそんなこと聞いてくるんだ?


「明日もやりそうだな。お前ら明日は付き添えるか?俺はギルマスに軽く話して小屋の依頼とポーション瓶集めてくる。」


「僕は大丈夫。」

「俺も。」

「僕は買い物ともろもろ終わったら来るよ。」

アルとレイは残れるしフランクもいれば大丈夫だろう。


「今ある薬草分かるか?」

「初級、上級、上級解毒、MPの4種類だったと思うよ。」


「瓶と一緒に中級とノーマル解毒薬草もよろしく」

レイがフランクに聞いてすぐ俺に話をふってきた。


「了解だが、お前楽しそうだな。」

「見てるだけで楽しい。」


「何か手伝って来たらどうだ?材料切るなりメモ取るなり人いたら楽になるんじゃないか?」


少し考えてリンの元に行ったレイ。めっちゃ楽しそうじゃん。


「珍しく喋るし元気だね、レイさん。」

「無属性で何が出来るか試しまくったやつだ。元々好奇心旺盛なんだよ。」


「納得。はやく養子申請通るといいね。」

「今日のことナルに話して、急いでもらう。」


「ナリアルさんも忙しそうだけどこれはね…。」

俺らだけじゃどうにもならんだろうな。


「美味しいポーション楽しみだね。夕食の準備してくるよ。」

「よろしくー。」

フランクは出ていったがリンは気づかず作業に没頭してる。相変わらずとんでもない集中力だな。


「リンちゃんの魔力大丈夫かな?」

〈私も確認してる。まだ余裕ありそうだ。〉


「ディアにポーションは効くの?」

〈強力なやつなら効く。〉

「なるほど。」


ディア含め3人で話しつつ見守る。

めっちゃ喜んでるけど、また完成したな?

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