第46話 ポーション作り初体験
お昼ご飯を食べ終えて地下に行く。
〈思ってもなかった展開になっちゃったね。〉
〈あいつらもリンに何が出来るか気になるんだろう。私も興味がある。〉
あら。ディアまで興味津々だった。
〈うまく出来なくても許してね。〉
〈誰もそんな事考えてはおらんだろう。遊び感覚でやればいいさ。〉
お遊びでいいらしいので私も気楽にチャレンジすることに。内心わくわくが止まらないもんね。
訓練場に着くともう準備は完璧らしく、机の周りで大人たちがわいわいしてた。
「おっ、こっちこっち!」
私とディアに気がついたガイトさんが手招きする。机の上には模様の描かれた丸い石板と鍋とキレイな細長い棒。棒は白っぽく真っ直ぐで中に模様が刻まれてる。
「まず錬金魔法の勉強な。」
ちゃんと人数分の椅子も用意されてるし私用の踏み台もある。そして今日の先生はレイさんです。
「まず、錬金陣は誰でも使える。錬金陣でいろいろ作りまくれば錬金魔法がスキルに出る。」
錬金魔法は誰でも取得可能な無属性魔法らしい。ガイトさんから補足が飛んできた。
「かなり難しいのが問題なんだ。ポーション作成と魔法付与に使われるが、魔力操作が完璧に出来ないと失敗する。付与であれポーション作成であれ、性能を高めようとすれば大量の魔力も必要になる。だから誰でも使えるのに錬金魔法所持者は少ない。」
使おうと思えば使えるけど、成功もしないし大変だからあまり人気がないってこと?
「ちなみに、今売られてるポーションは6種類。傷に効くポーションが初級、中級、上級と解毒がノーマルと上級、あとMPポーションっていう魔力回復ポーションが1種類。リンの身に付けてるナイフやアクセサリー、リングも錬金魔法で効果を付与した物だな。」
ガイトさんから補足の説明。初級と上級ポーション、上級解毒、MPは育ててるから作れるかな。中級とノーマル解毒は薬草を探さないとだね。生産系の人は錬金魔法が使えるみたい。
「ポーション作成の手順は全部同じ。対応する薬草とクリーンかけた水をこの鍋に入れて魔力を込めながら混ぜたら出来る。付与は得意なやつに聞くほうがいいだろ。」
ギルドに付与が得意な人がいるから、そっちはまた今度って言われた。
「量や状態って関係しますか?」
「量はだいたい決まってるからこれを見てくれ。状態ってなんだ?」
「乾燥させたほうがいいとか、採取したすぐがいいとか?」
レイさんからメモをもらいながら聞く。メモにはそれぞれ必要な水の量と薬草の枚数が書かれてる。ありがとうございます。
「採取したての方が作成しやすいと聞いたことがある。品質に差が出るかは分からん。」
これを使え、と紐でまとめられたノートと羽ペンをもらった。
「だいたいの量は決まってるが、作りやすい分量は個々に違う。それで整理するといい。」
「ありがとうございます。」
「もしリンが定期的にこれ使うなら、裏にちっちゃい小屋建てようぜ。」
今日の結果次第だけどな、と笑顔のガイトさん。
「いいの?」
「何も問題ないだろ。な?」
ちょうどフランクさんが来た。グッドタイミング。
「問題ないよ。せっかく作るなら水場作りたいんだけど。外に洗い場があれば何かと便利だからね。」
紅茶を用意しながらノリノリなフランクさん。ちゃっかり椅子も持ってきたみたい。
「んじゃ、そっちはカルとも相談だな。んじゃ、爆発するようなもんじゃないしパパっとやってみ。魔力量はこまめに確認しろよ。」
壁側に椅子を並べて座る大人たち。ちなみにディアは机の下で寝てる。
やってみなきゃ分からない!ってことでまずは初級ポーションに挑戦。カバンから入れ物と薬草を取り出してメモを確認。
魔法で水を出したらクリーン。あとはメモ通り薬草5枚を入れて棒でくるくるかき混ぜながら弱く魔力を流す。どのくらい必要なんだよーと思いながら鍋を凝視してたら答えが見えた。
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名前 初級ポーション?
状態 薬草も魔力も少ない
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鑑定したらいいのか!ってことで薬草を1枚追加して魔力を増やしつつぐるぐる。
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名前 初級ポーション(未完成)
状態 抽出不足。
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魔力もここでストップして、一定に保つだけ。たぶんあとは時間の問題。鑑定しつつ魔力を流すと、湯気が出てきて葉っぱが溶けてきた。何だこれ、楽しい。
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名前 初級ポーション
特徴 風邪や軽い傷に効く
備考 (薬草の渋みが残るお味ね。)
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完成したっぽいけど、味はまずい?失敗?
「ポーションってマズイですか?」
見ていた大人たちに聞く。
「あまり飲みやすくはないかな。」
「冒険者やってれば慣れるけど、子供の頃は絶対飲みたくなかったな。」
「出来たのか?鍋の下にある取手をひねれば瓶に入れられる。」
アルダさん、ガイトさんは味の感想。レイさんは瓶に入れる方法を教えてくれた。ありがとうございます。便利鍋さんでよかった。
「出来たと思います。ただ味が気になって…」
コーラ瓶に入った緑の液体。鑑定ではちゃんとポーションになってる。ただ味が気になる。飲みにくいのって嫌じゃん?
「フルーツ入れたら味付きにならないかな?」
ぼそっとつぶやいたらフランクさんが動いた。
「なんかいろいろ持ってくるからちょっと待ってて!」
走って上に行ってしまった。
「難しくなかったのか?」
「途中で鑑定出来ることに気づいて、そこからは鑑定しながら混ぜてました。魔力は…20使ったみたい。」
レイさんに鑑定で分かった事を説明してたらフランクさんが帰ってきた。
「フルーツ何種類かと、フレーバーティーも持ってきたよ。使って使って。」
アポやオレンジ類、ピーニャとお花の香りがするお茶っ葉もある。瓶も追加でいっぱい持ってきてくれた。これならいろいろ出来そう。
「ありがとうございます!」
受け取ったらさっそく作り始める。
楽しいぞ錬金!
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