第45話 畑作業

畑を作ってから数日後、水挿しで増やしてたハーブたちがすくすくと育ち、容器が窮屈きゅうくつになってきたので植え替えをします。


昨日カルダさんが扉を付けてくれたの。木製で可愛い模様が付いてて、両開きになってるやつ。個人の魔力に反応する仕様で、登録してない人が開けようとすると防犯機能が作動するらしい。どんな機能かは教えてもらえなかった。怖い。


増えた薬草たちは畑に、ハーブはプランターに植える予定。心配していたモクの木もしっかりと根が張って葉っぱも出てきたから、畑の真ん中に植えようと思ってる。採取しやすいように畑の間に小道を作って快適仕様にした。


水挿し容器に入ったままのハーブたちをカバンに入れて、ディアとお外に出る。プランターは畑の中に全部入れてあるから他に必要なものもなし。


〈今日は魔法使うのか?〉

〈ううん、使わないよ。…あ!お水まくのにちょっとだけ使うかも。〉


〈少しならいい。〉

〈ありがとう。〉

小さいディアの頭を撫でる。これもいつもの流れになりつつあるね。


〈この扉すごいよね。とっても可愛くて安全。〉

〈あいつの結界魔法は良く出来ている。〉

ディアがカルダさんの結界を褒めた。


〈そんなにすごいの?〉

〈私でも侵入は不可能ではないが、かなり時間がかかるだろうな。〉


〈そんなになんだ。〉

〈ここなら盗まれる心配も襲われる心配もないだろう。困ったら逃げ込むのもいいかもしれない。〉

かなり強力らしい。これだけやってもらったんだもん、ちゃんと育てよう。


まずはハーブたちをプランターに。土は前から入れてあったから、ただ植え替えてお水をまいたら壁側に並べて完了。お次は薬草たち。


〈どこに植えるんだ?〉

〈この大きいのを真ん中で、あとは左に並べようかな。育ってきたらハーブたちは右に植える予定。〉


まずは大きく育ったモクの木を畑の真ん中に植え替える。葉っぱを使うから育ちすぎることもないと思うけど、ちょっと不安。もうすでに私の腰くらいの高さになってるから、これ以上育ったらまた考えないといけないかな。


〈育てたらどうするんだ?売るのか?〉

〈一応ギルドに売ろうかと思ってるんだけど、定期的に採取出来るようになったら考える。失敗するかもしれないから。〉


それに売るとしてもみんなに相談しないとね。頼り過ぎな気もするけど、必要なことだと思う。


〈しばらくは採ったらバッグに入れておけばいい。まだ色々と入ってるんだろう?〉

〈うん。ハーブもあるしヒシュウバナの種がまだいっぱいある。これも植えられたらいいんだけど。〉


〈植えないのか?〉

〈育たないと思ってたけど…やってみようかな。〉


予定変更してヒシュウバナもプランターに植えることにした。夏のイメージが強いから勝手に育たないと思ってたけど、肌寒い森で育ってたんだから成長するかもしれない。


〈芽が出たらいいなあ。〉

〈育たなくても森に取りに行けば良い。私が採ってくることも出来るだろ。〉


〈森の手前には無さそうだったから、お願いするかも。その時はよろしくね。〉

〈任せろ。〉

ふふんっと得意気なディアがかわいい。


そこからまた薬草類の植え替えをして、全体に水をまいて終了。それぞれ畑の4分の1くらいしか使ってないから、もさっと育っても大丈夫だと思う。


〈終わった!〉

〈お疲れ様。メシの時間だ、戻るぞ。〉


お腹がすいたと思ったらもうお昼になってた。午前中いっぱい作業してたみたい。


〈午後は何するんだ?〉

〈んー。どうせならポーション作ってみたいんだけど、分かる人いるかな?〉


〈聞いてみればいいさ。〉

〈そうだね。〉


お家の中に入ったら手を洗ってリビングに行く。もうお昼ご飯の準備はされてて、ナリアルさんとカルダさん以外の人がいた。


いただきますをして、食べ始めたらポーションについて聞いてみる。


「錬金陣があれば作れるらしいけど、詳しい方法は分からんな。サブマスなら知ってるはずだ。」


ユシリスさんが知ってるらしいけど、今は忙しいだろうからまた今度にする。今日は地下で魔法の練習しようかな。


「興味あるのか?」

「薬草育ててるので、せっかくなら作ってみたいなーと思って。」


レイさんがちょっと考え込んでる。


「錬金陣なら持ってるから、それをやる。」

後で部屋に来いと言われた。レイさんポーション作れるの?


「錬金使えたのか?」

「無理だった。細かい魔力操作は俺には向いてない。」


「なら作る方法は知ってるんだな?」

「だいたいは知ってる。」


「よし、なら午後やってみようじゃないか!」

「なぜそうなる。」


「リンのポーションだぜ?気にならねーか?」

「…。」


よっしゃ決まりだ!と盛り上がるガイトさん。レイさんが押し切られた感じだけど大丈夫?


「地下に机と道具用意する。」

食べ終わったレイさんがそう言って出て行ってしまった。


「食い終わったら地下集合な。ディアも来るか?」

〈あぁ、もちろんだ。〉


んじゃ!とガイトさんも出ていく。トントン拍子とはまさにこの事。展開が早すぎる。


「ゆっくり食べてからでいいよ。新しいおもちゃをもらった子供みたいなもんだから。」

苦笑いのアルダさんに頭をポンポンされた。そうそう、とフランクさんも頷いてる。


「ポーション用の瓶はないから、これ使ってね。」

フランクさんからコーラの瓶みたいな入れ物をもらった。ちゃんとコルクの蓋がついてる。調味料とかお酒が入ってた入れ物らしい。


「作れるようになったらちゃんとした瓶を買いに行こうね。専用のお店もあるし、ギルドでも扱ってたはずだから。」

アルダさんもノリノリらしい。



ポーション作りが決定しちゃいました。

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