第40話 頭がパンクしちゃう。
「大丈夫か?何か聞きたいことは?」
放心状態から復活したらガイトさんに聞かれた。待っててくれてありがとうございます。
「家族関係登録って何ですか?」
ナリアルさんのことは、ひとまず置いとく。頭が追いつかないからね。
ガイトさんの説明では、家族関係登録は未成年後見人みたいなことだと思う。詳しい訳じゃないけど、たぶんそんな感じ。
「私がナリアルさんのお家の養子になったとしたら、どこに住むのでしょうか。ここにはいられないですよね?」
すぐにお引越しするのは寂しい。
「そんなことはないですよ。我がアーベンティス家の養子として迎えて、我々全員と家族関係登録ができます。そうすればどちらもリンさんの家であり、どこに住もうと自由です。」
全員家族っていうのは嬉しいかも。でも、みなさんの生活もある。なにが最善なんだろうと考えつつディアを撫でる。
「ちなみに、ギルマスとサブマスにも伝えてある。どっちも家族関係登録には賛成だってよ。ギルマスには奥さんと子ども2人いて、サブマスは独身。子どもってリンより下だっけか?」
「上が10才と下が6才だな。どっちも男だ。」
ガイトさんの問になぜかレイさんが答えた。仲良しさん?
「レイさんはギルマスの弟だよ。」
隣にいたアルダさんが教えてくれた。情報量多すぎないかな。似てるとは思ったけどね!
「家族関係登録に人数上限はないから、誰か1人をトップとして決めて、複数人が入るとかは良くあるんだ。基本は孤児で身寄りがないけど、能力が高いって子を守る方法だな。お前らも複数ついてるだろ?」
今度は双子に話をふるガイトさん。2人とも登録してるの?
「俺たちはギルマスとサブマス、あとナリアルさんの両親だな。」
「僕たちは元々孤児院にいたんだ。カルダが魔法を使えるから冒険者になってお金を稼ごうって、森に入って暴れてたらこうなってた。」
何でだろうねえ、とゆるいアルダさん。
「あん時はカルが片っ端から魔物狩って来やがるから、ギルドで有名になったんだよ。さすがに危ねえよってことでギルマスが対処したんだ。」
カルダさんは暴れん坊だったらしい。そんな感じするけど。
「どうですか?嫌だとか考えたいとかでも大丈夫です。なにかありますか?」
ナリアルさんが優しく声をかけてくれる。1つだけ気になることがある。
「どうしてここまで良くしてくれるのでしょうか。森で会って数日です。もしわたしが…」
「ただリンちゃんを守りたいから。何がそう思わせるのかは分からないけど、全員が同じ気持ちだからここで保護した。それだけじゃ、納得できない?」
迷い人だからなのだとしたら、って聞こうとしたらアルダさんがそれを遮った。真剣に見つめてくる目は、何ひとつ嘘をついてないと分かる。
「ナリアルさんのご両親は、もう知ってるんですか?」
「今日中に手紙が届いてるはずです。すぐにでも動けるように、養子制度の書類を調えておいて欲しいと書いたので1週間以内で城に提出にいけると思いますよ。」
養子に入るには時間がかかる。どうなるか分からない状況なのにもう動いてくれてる。信じるのはまだ怖い、でもここはもう日本じゃない。
「ナリアルさんのお家の養子にしてほしいです。家族関係登録はどうしたらいいですか?」
「よっしゃ決定だ!家族関係だけなら2、3日で出来る。明日ギルドに行って2人の名前貰ってくるわ。あとはここの全員でいいか?あ、もちろんフランクも入るぞ。」
「よろしくお願いします。」
ペコッと頭をさげると、グリグリなでられた。ちょっと力の強いガイトさんはたまにこうなる。これも嬉しいんだけどね。
みんながよろしくねーと頭をポンポンしていく。たまにほっぺをプニッとされるんだけど、なんでだ。
「落ち着いたから、次はこっちの話ね。これ魔法の制御用リング。リンちゃんの成長スピードにも負けないくらい高性能だし、基本はずっと身につけてて欲しい。」
カルダさんに渡されたのは太めのシルバーリング。真ん中には青い石がはまっててすごくキレイ。
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名前 シルバーリング(特殊性能)
特徴 魔法制御に特化した特別製リング。
備考 追跡機能付き。本人以外着脱不可
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なんかすごい機能付いてる。魔法使うの左手だし、左に着けようとしたらカルダさんに止められた。
「それ追跡機能が付いてるんだけど、もし危険を感じたらその石に魔力を思いっきり込めて。そしたら対になってる魔道具に、そのリングの位置情報が反映されるから。触るのは1回でいいんだけど、左利きでしょ?右にあった方が咄嗟にやりやすい。」
だから右に着けといて、と言われた。右手中指にはめると、サイズが指に合わせて変わった。
「なんで左利きって分かったんですか?」
「微調整が必要だから魔法は基本利き手で発動させる。それにフォークを持つのは右だけど、置いてある物を取るのも咄嗟に出すのもいつも左だから。フランクさんとナリアルさんが左利きだし、3人とも動きが似てるんだよね。」
みんなが頷いてる。
小さい頃に左利きは不気味だから近寄るなと親に言われてから、箸もペンも右で使ってきた。でも、ここはもう日本じゃないし親もいない。左利きとして生活しても怒られない。それがすごく嬉しい。
話し合いはまた明日以降と言うことで、解散。
ディアとお部屋に戻ってベッドに入ったら、すぐに眠気に襲われた。
また明日もがんばろう。
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