第32話 魔法の才能あり?

お家に着いたらカバンを置きにお部屋に戻り、すれ違ったフランクさんに挨拶をして庭にでる。


お家の左側には学校のグラウンドみたいな土がむき出しのスペースがある。広さはたぶんテニスコートくらい。端っこに椅子が3脚置いてあって、すでに2人が座ってる。


「お待たせしました。」

走って駆け寄るとお茶をもらった。椅子に座って落ち着いたら授業開始です。


「まずは魔力の存在を感じてもらいます。私が少しずつ魔力を通すので、何か変化があったら教えてください。」


ナリアルさんが私の両手を軽く握る。集中する為に目を閉じてうつむく。


しばらく集中していると、鳩尾みぞおちがモヤモヤと変な感じがしてきた。それをそのまま伝えると順調だからもう少し我慢するように言われる。


モヤモヤを我慢していると、急に全身を温かい物が通る感覚があった。それを伝えると、十分だと手が離される。目を開けると何故か大量に汗をかいていた。


アルダさんがタオルをくれたので、汗を拭いてお茶を飲む。


「今感じた温かい物がリンさんの体に流れる魔力です。モヤモヤと感じた場所は魔力壺があると言われる場所です。」


魔力壺とは、魔力を作って溜める事ができる器官のことらしい。それが分からないと魔法の発動は難しいんだって。


「今度は自分の体にある魔力を手に集めて、水を出すイメージをしてみてください。」


楽な体勢でやっていいと言われたので、座ったまま両手を前に出してお皿を作るようにする。2人は念のため少し離れて待機。


手を見つめて温かい物を手に集めるように意識する。鳩尾みぞおちから肩を通って腕、肘、手首から手のひらへ。さらに顔を洗う時みたいに、手のひらに水があるイメージ。


お水、お水…とずーっと考える。


突然ジャーッと手から水が吹き出した。思っきり噴水みたいに、大量に。髪も服もびしょ濡れでなんだかダルい。ぼーっと手を見つめてると2人が駆け寄ってきた。


タオルで拭いて乾かしつつ毛布出くるんでくれる。


「大丈夫ですか?ダルかったり気持ち悪かったりしませんか?」

ちょっと焦った様子のナリアルさん。アルダさんも少し心配そう。


「水、でました。…ちょっとダルい気がします。」

喜びと驚きと疲れで絶賛混乱中。


えへへーと笑っているとお姫様抱っこでリビングに運ばれた。何だろう?と思ってると、そのままステータスを確認するように言われる。


大人しくステータスを開いてびっくり。魔力が残り17しかない。そう伝えると少し休めと言われた。


子どもは魔力暴走を起こさないかぎり、魔力切れになることは滅多にないらしい。1度に大量の魔力を使うことが難しいんだって。


でも私はそれをやってしまった。暴走じゃないけど集中して集めすぎた結果だそうだ。予想できず申し訳ないと謝られたが、それは違うと伝えた。ちゃんと教えてもらったし、しょうがないと思う。


横になっていたら眠たくなってしまった。寝た方がいいと言われたので、大人しく目を閉じるとすぐに眠ってしまった。


……

目が覚めて一瞬どこにいるか分からないリンです。


周りをみてリビングのソファーで寝たことを思い出す。体を起こすとダルさは無くて、ステータスを確認すると魔力が260まで回復していた。


「体調どう?まだ辛い?」


アルダさんが気付いて来てくれた。近くにナリアルさんとフランクさんもいて、ダイニングテーブルには全員分集合してる。心配して集まっでくれたらしい。ディアはすぐ近くにいた。


「もう大丈夫です。魔力も260まで増えてます。」


回復したことを伝えると、不思議そうに首をかしげるナリアルさん。

「回復が早いですね。まだ2時間ほどしか寝ていないのですが。」


〈私から少し魔力を分けた。リンから急に減ったのが解ったからな。〉


だそうです。契約しているとそんな事もできるらしい。あとは私の回復速度が人よりちょっと早いことも分かった。


「お昼ご飯は食べられそう?」


フランクさんに聞かれて気付く。時計を見ると12時少し前。お腹はグーグー鳴りそうなくらい減ってる。いつもならこんなことないんだけど、なんでだろう?


いつも以上にお腹が空いたことを話すと、そういう体質なんだろうと言われた。人によっては魔力が減るとお腹も減るらしい。この中ではレイさんとアルダさんがその体質で、依頼の後はものすごく食べるんだって。


「すぐに準備するからちょっとまっててね。」


フランクさんが急いでお昼ご飯の用意をしてくれる。テーブルにはパンとサラダ、それにたぶんブラウンシチュー、果実水も出してくれた。


いつも通りの量を取っていただきます。


食べながらガイトさんたちに、さっきのことを報告する。手から大量の水が出たことを話すと、イメージはそのままで魔力をしぼって出す練習をすることになった。


お皿にある分を食べ終えて、まだ食べられそうなので追加でちょっと盛る。やっぱり食べる量が増えてるみたいだ。


いつもより1.5倍くらい食べてごちそうさま。


食後の紅茶をもらってちょっと休憩。

髪も服もアルダさんがちゃんと乾かしてくれてた。ありがとうございます。


午後も魔法の練習がんばるよ!

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