第29話 美味しいご飯とその後
お家に着いてドアをあけたらいい匂いがしてきた。奥からフランクさんが出てきて、すぐに食事の支度をするとキッチンに戻っていく。
私は荷物を持ってくれているアルダさんと一緒にお部屋に戻る。
買ってきたお洋服をしまい、カバンやナイフを置く位置を決め、カーテンやシーツたちを交換。最後にラグをお部屋の真ん中に敷いて完成。
セットの毛布は椅子にかけておく。
「ありがとうございます。すてきなお部屋になりました。」
「これでリンちゃんの部屋になったね。ご飯出来てるだろうから、リビングに戻ろう。お金持ってくの忘れずに。」
そう、お金の勉強をしなきゃいけないの。肩からカバンをかけてお部屋を出る。1階に降りると全員リビングに集合していた。
「おかえり。」
「ただいま…です。」
フランクさんからのおかえりに、どう答えていいか一瞬迷ってしまった。おかえり、なんて言われたこと無かった。温かい気持ちになる言葉だ。
「お疲れさん、揃ったし食うぞ。」
ガイトさんが言うとみんな一斉に食べだす。私もお腹ペコペコなので、いただきますをして食べる。
今日は豪華にしてくれたんだって。
サラダにスープ、ステーキにはグリル野菜がいっぱい乗ってる。パンはフランスパン風とテーブルパンの2種類が山盛り。
そしてデザートはディアが取ってくれたプラモと、他のフルーツの盛り合わせ。お肉を渡す時に一緒に出してもらえるようにお願いしたんだ。
そのディアは入口近くに敷かれたラグの上で大きなお肉に齧りついてる。ちゃんと生と焼いたのが2種類、それにお野菜も乗ってる。健康的だね。
今日あったことや買ったものなどフランクさんに話しつつ、楽しく食事をする。大人たちはお酒を飲んでいるみたいで、ガイトさんと双子たちがワイワイ楽しそうにお話してる。
8才になった私の体。お皿に乗った料理の半分ほど食べたところで、お腹がいっぱいになってしまった。それでも残すのはダメだと思い、小さく切っては口に運ぶ。
「もうお腹いっぱいでしょ?食べれるならフルーツどうぞ。残してもディアかリーダーが食べるから大丈夫だよ。」
「言うの忘れてたね。食べれる量が分からないから、一応盛ってるだけなんだ。お腹いっぱいなら気にせず残してね。」
隣のアルダさんに気づかれ、反対隣のフランクさんにも残していいと言われた。いいのかな?
「普段は大皿にドーンと盛って、好きなだけ取るスタイルなんだ。今日はリンちゃんが仲間になったお祝いって事でキレイに盛り付けてるけど、普段はもっと雑なんだよ。」
全員男だとそんなもんなんだよ!と笑うフランクさん。そうそう、とみんな頷いてる。それならいいのかな、とお言葉に甘えることにした。
「ありがとうございます。お腹いっぱいだったので、フルーツいただきます。」
せっかくだから一緒に盛られたフルーツを鑑定。
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名前 ピーニャ
特徴 芯まで食べれる甘酸っぱいフルーツ。
備考 (皮剥くの大変だけど美味しいよ)
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食べたらパイナップルだった。鑑定通り、剥かれてるけど芯はそのまま。でも甘酸っぱくて美味しい。
小さく切られたフルーツはパクパクと口に運べてしまう。無事に食べきって満腹。
食べるスピードの早いみなさん、私とほぼ変らないタイミングで完食。見てて気持ちよかった。
食器を片すのはフランクさんに任せ、ソファーに移動。ディアは満足げにラグの上で毛づくろい中。
「よし。まずリンの持ってる金の確認だな。全部出せるか?」
そうガイさんから言われたので、机に出していく。100万の袋2つと、減って69万になった袋1つ、お釣りでもらった硬貨をジャラジャラと。
白の麻袋に入ってるのは全部硬貨で、重すぎてびっくりした。
袋を開けて中を見て、固まる大人たち。
……しばし待つ。
「なるほどなー。こう入ってたか。」
動き出したのはガイトさん。
「この金額。神からの贈り物とかですか?それにしては微妙な金額ですが。」
ナリアルさんの言う通り、もらったとしたら微妙すぎる。
「前の世界で自分で働いて貯めたお金です。それを神様がそのまま持たせてくれたらしいです。」
「ちょっと待って、リンちゃん8才だよね?いつから働いてたの?」
アルダさんの言葉にハッとする。年齢が変わったこと言ってなかったっけ。
「実は、こっちに来るまでは17才でした。16才からちょっとずつ働いて、1年半くらいで貯めました。今8才なのは…よくわからないです。なぜかこうなってました。」
「妙に大人びてる原因は分かったな。」
カルダさんが納得したように頷くと、それにつられるようにみんな頷き始める。
そんなに違和感あったのかな?
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