第27話 大切な心得

アマンダさんのお店を出たら、今度は近くの別のお店に入る。店内はごちゃっと剣や防具がたくさん置いてある。


「よっ生きてるか?」

「死にかけのじじいに何のようだ。」

筋肉ムキムキのおじいさんが出てきた。死にかけと言いつつとっても笑顔。


「メンバーの紹介と買い物だ。今日から俺らのホームで一緒に暮らすリン、こっちがスノーケーニヒのディア。」


「リンです、よろしくお願いします。」

ディアはしゃべる気がないのか、ぺこっとして終わり。


「誰の隠し子だ?誰にも似てねえな。」

「なんでそうなるんだよ、保護したんだ。似てるわけねーだろ。」


楽しい人なのは分かった。ニコニコとガイトさんをからかってるもん。


「リンが使える刃物が欲しい。見せてくれ。」

「なんだ、戦闘用か?」

「いや、メインは薬草採取だし魔法も練習する。念のための護身用だ。」


ちょっと待っとれ、と引き出しをゴソゴソするおじいさん。すぐに3本のナイフが出てきた。刃の形も長さも少しずつ違う。


「自分で握って確かめてみなさい。」


レイさんに降ろしてもらって、それぞれのナイフを握ってみる。

1本目は握ると違和感があった。

2本目はさっきよりフィットする。けど何か違う。

3本目を握った時、なぜかこれだと思った。


他との違いがよくわからないので鑑定。


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名前 ミスリルナイフ(鉄に偽装)

特徴 魔法の伝導率がよくワンドとしても使える

備考 魔石により風、土属性付与。

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「ミスリル…ワンド……?」


これ子ども私が握ってて良い物じゃない気がする。そっとカウンターに戻して後ずさる。


そっと助けを求めてナリアルさんを見る。ぜひ鑑定してほしいです。


「なんだ、気に入らんかったか?」

笑顔のおじいさん。そうじゃないので首をぶんぶん横に降る。


「なんでミスリルナイフ兼ワンドをリンさんに出したんですか。」

「ありゃ、バレたか。上手く鉄製に見せられたと思ったんだがなぁ。」


さすがに隠せねえかーと元気に笑うおじいさん。

本当に、なんでですか?


「子供用の兼用ナイフを作ってたらこれが出来た。ただ誰に握らせても違和感があるって貰い手がいねーんだよ。なんで属性が2種類もついたのかは不明だ。気づいたらそうなってた。」


こんな仕様になったのは謎らしい。


「リンさん、これが手に馴染みましたか?」

うん、と頷く。


「嬢ちゃんのために残ってたんだろ。ミスリルは魔法の通りが良くて慣れたら最高の武器になる。使ってやってくれねぇか?」


いいのかな?と思っておじいさんを見て、ナリアルさんたちを見る。みんなが頷いてくれてるから大丈夫なんだと思う。


おじいさんがしゃがんで私と目線を合わせた。


「いいか、メンテナンスを怠るな。どれだけいい物を使ってても、調子の出ない物は自分だけじゃなく周りも傷つける。分からなければ大人に聞け、出来なければ持って来い。いいな?」


うん。ちゃんとします。と強く頷く。


「いい顔だ。………ちょっと待っとれ。」


ジーッと見られたと思ったら、どこかに行ってしまうおじいさん。なんだ?


「これをプレートと一緒に首からかけておけ。魔法攻撃に対して自動で結界が張られる。多少の危険は防げるだろ。」


そういって手に乗せられたのは、赤い石ついた丸いペンダントトップ。プレートの後ろにスッポリ隠れる大きさ。


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名前 防御アクセサリー

特徴 魔法攻撃に対して結界を張る。

備考 レベル4までの魔法なら完全無効、レベル5の魔法を7割無効にする

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これ、とっても強いと思う。おじいさんを見上げるとニッコリ頷いてくれる。

「ありがとうございます。」


その後、外で活動する時用のベルトと、ナイフのケースを選んだ。どっちも革製でカッコいい。メンテナンスの道具も一式セットでもらった。これはおまけらしい。


今回もガイトさんがカードでお支払い。ありがとうございます。


私はもうレイさんに抱かれて腕の中。

「いつでも来いよ。」

と手を振ってくれるおじいさん。


バイバイしてお店を出たら、キレイな赤い空。

月が3つある。異世界だなー。

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