第26話 優しい人たち

ギルドを出て森と反対方向に進む。


「プレートは服の中に入れておけ。」


レイさんが自分の首にかかったチェーンをつまみながら教えてくれた。みんなを見ると首にゴールドのチェーンが見える。


プラプラしてちょっと邪魔だったんだよね。言われた通り服の中にしまう。これでよし。


「みなさんA級なんですか?」

「あぁ、全員Aだ。」


プレートを出して見せてくれた。ゴールドのプレートはとってもカッコいい。私のとは違ってA級の表示の下にグループ名も入ってる。


「グループに加入するとプレートにも反映されるんですか?」

「ギルドで登録すると自動で反映される。」


仕組みが分からないけど便利なプレートさん。


すごいなーと考えてたら、お店についたみたい。


パステル調の可愛らしいお店に躊躇ちゅうちょなく入るガイトさん。


「アマンダいるかー」

「私の店なんだからいるに決まってるでしょ!」


金髪のキレイなお姉さんが思いっきり振り返った。ちょっとびっくり。


「今日からうちのホームで一緒に暮らすリンだ。着替えも何も全て足らん、見繕ってくれ。」


「リンです。よろしくお願いします。」

まだレイさんの腕の中、そこからぺこっとする。


「わぁ可愛い子!はじめまして、アマンダよ。ちょっとまってて!」


バタバタとどこかに行ってしまった。どうしたらいいんだろう?


「こっち入って来てー!」

お店の奥から呼ばれたので、みんなで移動する。


部屋に入るとソファーと机にお茶が置いてあり、壁にはお洋服がたくさん掛けてある。


「とりあえずこの中から選んでね。」

下着類を持ってくるからお茶を飲んで待ってて、とコソッと言ってまたどこかに行っちゃった。


レイさんが私をソファーに降ろして、隣に座った。ディアは机の下で伏せ状態。落ち着くためにお茶を一口。


「普段用と、お出かけ用、外用で選んだほうがいいよね。」


アルダさんがカルダさんと選んでる。双子でわいわいしながら、たまにナリアルさんから意見が入る。


「暖かい時期用に3着ずつ、肌寒い時用に1着ずつと、ローブとブーツも必要です。寒くなる前にまた来ましょう。」

「これ可愛いよー、ふわふわしてるー」


ナリアルさんも2人も楽しそう。


どっちが良い?と両手に持った洋服を見せてくるアルダさん。

こっちかな?と答えると、それをガイトさんに手渡してまた選びなおす。


勢いに負けて置いてけぼり状態です。


「おまたせー。こっちが下着類5セットね。こっちがパジャマと靴下。選んで選んで。」


アマンダさんが紙袋をソファーに置いて、机にいろいろと広げていく。


可愛いなーと見ていたパジャマと靴下をアルダさんがキープ。見てるのバレてる?


アルダさんたちとの、どっちが良い?こっちかな。を繰り返しつつ、靴とローブの試着。


ローブはフード付きの紺色で、胸元に小さく猫の刺繍が入ってるものに決まった。成長期だってことでちょっと大きめ。靴は街の外用の長めのブーツと普段用の革靴。


アマンダさんの勧めでケープも追加。深い青のキレイ目なの1着と、白のふわふわした可愛いやつ1着。


「これでひと通り揃ったかしら?」

「足りなければまた頼む。全部包んでくれ。」

そういってカードの様なものを渡すガイトさん。


お金渡してない!

バッとガイトさんを見たら、レイさんに頭をぽんぽんされた。


「リーダーが出したやつ、あれにグループで使う金が入ってる。メンバー全員であれを使うと決めた。喜んでくれたほうが、みんなも嬉しい。」


みんなの顔を見ると笑って頷いてくれる。

「ありがとうございます。」


それで良いんだ、とガイトさんに頭をグリグリなでられる。嬉しいやら恥ずかしいやらで、大人しくされるがまま。


戻ってきたアマンダさんは手際よく紙袋に詰めていき、終わった物からアルダさんのバッグに入れていく。


「これはいっぱい買ってくれたお礼よ。こっちが髪用で、こっちが体用の専用石鹸なの。使ってみて良かったら、今度は買ってちょうだい。」


手に置かれたのは、お花の香りがする2つの石鹸。

1つは髪用でピンク色。もう1つは体用で緑色。


「ありがとうございます。今度はちゃんと買いに来ます。」


感想よろしくね、と頭をなでられる。


ありがとうございましたー!と元気なアマンダさんに見送られ、お店をでた。私はもちろん定位置、レイさんの腕の中。


心がぽかぽかです。

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