第25話 まだ子どもでした。

……ガヤガヤと声が聞こえてきて目が覚めた。

目が覚めた??いつの間にか寝ちゃってた!


ガバっと起きたらディアが気づいた。

〈おはよう。疲れてたな、大丈夫か?〉

〈おはよう、大丈夫。スッキリしてる。〉


大丈夫なのか分からないけど、身体は元気。


「あ、起きた?おはよー。」

「おはよう。ディアに包まれた妖精みたいで可愛かったよ。」


双子が気づいて挨拶をしたくれた。アルダさん、妖精なんているの?この世界。


「おはようございます、ごめんなさい。どのくらい寝てました?」


「20分くらいですよ。みなさんもさっき来たばかりなので大丈夫です。」


「そうそう。登録出来たんだって?おめでとう。チェーンと装着具選ぶんだろ、こっち来い。」


ユシリスさんもいる。一緒に戻って来たのかな?

ガイトさんが来い来いとしてくるので、立ち上がって机に近づく。ディアは伸びてから小さくなって、定位置の足元。


机の上が見えず背伸びをしていたら、レイさんにひょいっと持ち上げられ、椅子に乗せられた。ありがとうございます。


「ユシリスさんに教えてもらって、ちゃんと登録できました。文字もちゃんと書けました。」


プレートをカバンから出して机に置く。


「読み書き出来れば問題ないな。これ、サブマスが持ってきてくれたやつ。どれが似合うかって話してたんだ。」


机の上にはネックレスみたいなチェーンが5本と、首輪や服が数種類置かれてる。


これはダメですね、切れたら困ります。とナリアルさんが仕分けをしつつ並べ直してくれる。


目の前にあるのは、シルバー、大人しいゴールド、くすんだブロンズの3本。


「どれがオススメとかありますか?」

「リンさん、鑑定をしてみてください。」

あ、忘れてた。慌てて3本の鑑定をする。


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名前 シルバーチェーン

特徴 アクセサリーによく使われる。

備考 魔法付与により耐久力アップ

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名前 ゴールドチェーン

特徴 腐食耐性があり丈夫。

備考 魔法耐性あり。

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名前 プラチナチェーン

特徴 非常に丈夫で200年は使える。

備考 魔法付与により耐久力アップ。見た目をブロンズに変えたおもしろ仕様。見た目の変更可能。

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「んっ???」

最後の何だ。おもしろ仕様とか出てきた。しかも見た目ブロンズで中身プラチナ、見た目変更可能ってなに?


「これ面白いですよね。」

「私はこれがオススメですね。」

プラチナチェーンを見てる敬語コンビのナリアルさんとユシリスさん。


プラチナって高いイメージあるんだよな。

「どのくらいですか?」


「「はい??」」

敬語コンビに不思議な顔をされた。私も分からず首をかしげてしまう。


「金を払う必要はない。使えず倉庫に眠ってた物を出しただけだ、もらってくれた方が助かる。」

レイさんが助け舟を出してくれた。


「こんなに性能がいいのに使えないんですか?」


「これ、職員が魔法付与で遊んで作った物なんですよ。売る気もなく作ったから倉庫にしまって終了。もらい手を探しているんです。」


困った顔のユシリスさん。魔法で遊んだ…。


「いいんですか?」


「そのプラチナで遊んだ職員は、ギルマスからありがたいゲンコツをくらいました。使ってもらった方が喜びます。」


ありがたいゲンコツ。

痛そうだなぁーと視線を外した先には、ディア用の首輪たち。その中に同じ色の太いチェーンがある。

もしや…と思って鑑定してみると


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名前 プラチナ装着具

特徴 非常に丈夫。サイズ自動調節機能付き。

備考 プラチナチェーンとセットで作られた装着具。魔法耐性あり。

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「わぁ、セット商品発見…。」


思わず見つめてしまう。

セットで作るって、どれだけ楽しかったのかな。


そんな私の反応を見たナリアルさんが装着具を見つめる。恐らく鑑定中。


「サブマス、これは確認済みですか?プラチナです。そちらとセットらしいですが。」


「してませんね、普通のブロンズだと思って出していますので。後でギルマスに報告しておきます。」


制作者さんは隠していたらしい。


「これ、セットらしいのでリンさんとディアさんに使ってほしいのですが、いかがでしょうか。」


ユシリスさんが2本のチェーンを並べた。


〈ディア、これどう?〉

〈特に魔法の邪魔にもならん。良いな。〉


「これをもらいます。作った職員さんにありがとうございます、とお伝え下さい。」


そういってプレートにチェーンを通して首からかける。ディアの首にかけると、シュッとサイズが変わってぴったりフィット。これはすごい。


その後、この部屋を借りたこと。もしギルドで仕事がある場合はここですることを説明された。


必要な物も特に無さそうということで、確認終了。


ユシリスさんにお礼を言う。

「またお話しましょうね、買い物楽しんできてください。」


手を降るユシリスさんに、バイバイと手を振り返す。


お買い物に出発!


(ちなみに。寝ている間にヒールをかけてもらったリン。ちょっと元気になって活動再開です。)

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