第23話 大人たちの思い

___ダルシオ視点___


「で、このステータスは本当か?」


その手にはナリアルが書いたリンのステータスのメモ。雰囲気を察したのかユシリスがリンを連れて行ってくれた。あいつには後で奢るしかねーな。


「本当ですよ。私達も最初は驚きました。ちなみに昨日の夜に確認した時、残り体力は1でした。」


ナリアルの言葉に絶句する。残り体力1って、どうしたらそうなる。


もう一度メモを確認する。


−−−−−−ステータス−−−−−−

名前 リン

年齢 8才

職業 (未定)

HP 7/35

魔力 370/460

スキル 生活魔法(1/5)、風魔法(1/5)、土魔法(1/5)、水魔法(1/5)、鑑定(2/5)、精神苦痛耐性(4/5)、身体苦痛耐性(4/5)

備考 転生者

−−−−−−−−−−−−−−−−−−


転生者で鑑定持ちなのも驚くが、そこじゃない、耐性が狂ってる。実は80歳とか言われた方がまだ納得出来るぞ。


カルダから先に話を聞いていてよかった。子供の前で感情を出すのは避けられた。


「ディアの話じゃ、虐待かそれに近い状態が続いていた可能性があると。身体が前の世界に馴染めず、ずっと体調不良。さらに肉親からの精神的な攻撃。リンは甘えることも頼ることも知らない。」


ガイトですら苦々しい顔をする。こいつらも仕事上辛い経験はしてきてるんだ。さらにそれの上をいくとは考えられんのだろう。


「だからのんびり暮らして欲しかったんだ。まさか冒険者になりたいと言うとは思わなかったよ。」


アルダは悲しそうな寂しそうな表情をする。


「鑑定があるんだ、ギルド内で簡単な仕事回してもらうことって出来ないのか?採取もしたいだろうけど、ここなら安全だろ?」


「薬草類や装備品の仕分けがいいだろうな。鑑定持ちが居てくれれば楽になる。ただ、職員に紹介していいものか。」


カルダの言いたい事も分かるが、なるべくスキルは隠しておきたい。どうしたものか。


「余ってる部屋はないのか?」


珍しくレイが会話に参加してくる。それだけこいつもリンのことが心配なんだろうな。


「1階の奥に倉庫として使ってた部屋がある。そこを使うか?」


「紅嵐で借りてリンに使わせれば良い。俺達だってここに部屋があれば助かるだろ。」


こいつらの家に保護されたと情報を回すんだから、リンが使っても問題はないのか。


「鑑定品の持ち込みは決めた者のみにしましょう。できればサブマス、他にも数名。サリアとロレンはどうでしょう?優秀な2人です。」


なぜナリアルが職員のことを把握しているかは置いといて。正しいんだよな、こいつ。2人は無属性持ちで仕事中は真面目だ。仕事中は。


「2人の出勤日とリンが来る日を合わせる。また連絡するからその時は誰かついて来い。」


あとでユシリスにも説明と相談だな。


「倉庫の確認するか?机くらいあったと思うが、足りない物もあるだろ。」


「そうですね。リンさんを迎えに行って一緒に確認しましょうか。使うのは彼女がメインですから。」


「んじゃ、お姫様を迎えに行きますかね。」

ガイトが立ち上がると、全員で動き出す。


「俺は残るから、あとはユシリスに引き継ぐ。」


シッシッと追い出して、耳に着けた魔道具を確認。


「ユシリス、聞こえたか。」


トンッと一度叩く音がした。これは話せない時のYESの合図。聞いていたなら問題ない。


早く仕事切り上げて飲みに行きてえ。

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