第21話 ついに到着アーベント

門に到着。


「よぉガイト、カルダはギルドに行った。ギルマスから伝言、早急にギルドへ来いってさ。」


「久しぶりだなジェド。サンキュー」


先頭にいたガイトさんと門番さんが仲よさげにお話してる。一瞬見られた気がしたけど、何もなかった。


「ようこそアーベントへ、この街を楽しんでね。」

前を向け通る時に優しそうな顔で手を振られた。


「ありがとうございます。」

ぺこっとして小さく手を振り返したけど、恥ずかしくなってすぐレイさんに隠れちゃった、失礼だったかな。


通り過ぎた後にちょこっと見たらまた手を振ってくれた。よかった、怒ってなさそう。


「一旦ホームに戻って、荷物置いたらギルドと買い物に行くぞ。」


「了解です。アルダはどこに行きますか?」


「んー、商業ギルドの方行ってみる。質も大きさもいいしそっちの方が高く売れそうだから。」


「終わったら商業区に行くので、噴水で待ち合わせにしましょうか。」


「分かりました、行ってきます。」


アルダさんは素材を売りに行くみたいで、真っ直ぐ走って行った。


街の中は大きな通りが十字に広がってて、真ん中にキレイな噴水がある。この街での待ち合わせに使われるみたい。


周りを見てたら通りから右に曲がった。こっちは住宅街になってるみたいで、お家がいっぱい並んでる。


また右に曲がったら大きなお屋敷が見えてきた。偉い人が住んでそうなでっかいやつ。


ガイトさんが普通に門を開けて入っていく。

ここがお家なの!?


「おっきいお屋敷ですね…」


「ちょっと前に大きな仕事をしたことがありまして。お金をいっぱいもらえたんですけど、メンバー全員独り身で使い所がないからって屋敷を買ったんですよ。メンバーホームがあれば何かと便利ですからね。」


ナリアルさん、便利って。それにいっぱいのお金ってどれだけもらったんですか。


〈ここなら多少走っても魔法使っても大丈夫そうだな。よかったな、リン〉

〈広すぎてびっくりしてるよ。ディアは楽しそうだね。〉


「訓練場がありますので、そこでなら魔法を使っても大丈夫ですよ。強めの結界を張っているので多少の魔法じゃ壊れません。」


お家の中に訓練場だってさ。


「カルダが本気出しても壊れないくらいだ。」

レイさん。カルダさんの本気ってなに!それでも壊れない結界ってなに!


放心状態のままお屋敷に入ると、全身黒の服を着た男の人が走ってきた。フランクさん?


「みんなお帰り。そしていらっしゃい。僕はフランクと言います、よろしくね。」


たぶん30代後半くらいのカッコいいお兄さん。


「リンです、この子はディアです。お世話になります。」


レイさんがそっと降ろしてくれたので、その場でぺこっとして、隣りにいるディアも紹介する。


「僕は基本この家の中にいるから、何でも聞いてね。ディアもよろしく。」


〈あぁ。〉

ディアがその場でお座り。


「フランクは元冒険者だ。家のこともよく知ってるし頼れる。」

そう言ってレイさんが頭をぽんぽんしてきた。


「よろしくお願いします。」

ドキドキわくわくの生活スタートです。


「これからすぐギルドと買い物に行くが、なんか必要な物あるか?ついでに買ってくるぞ」


「食料とかは大丈夫。部屋も一応掃除してあるから確認して必要なの買ってきて。」


「りょーかい。リン、バッグに入ってる肉を食料庫に入れて来て欲しい。その後部屋に案内するからここに戻ってこい。よろしくな。」


ガイトさんたちは自分の部屋に戻るみたい。

「行こうか。1階をザックリ紹介しちゃうね。」


そこからフランクさんが案内してくれた。もちろんディアも一緒だよ。


1階の左にリビング、その奥にキッチンと食料庫。食料庫は部屋全体に時間停止機能がついてて、冷蔵庫とかもあった。かなり便利だよ、ここ。


お肉の置いてあるスペースにカバンから中身を出していく。さすが2頭分、食べたけどかなりある。しばらく買わなくて済みそうってフランクさんは喜んでくれた。


右に移動すると応接間っぽいちょっと豪華な部屋と、お風呂とトイレ!


お風呂はシャワーがいっぱいあって、おっきな浴槽もある。珍しいけどお金があったし魔法が必要な部分は自分たちでやったんだって。


大きいのは全員一斉に入ることが多いから。みんな大きいもんね。ディアでものんびり入れそう。


「上に各個室があるから、それは後でね。この階段の下は訓練場があるからいつでも使っていいよ。」


〈氷も耐えるか?〉

ディアは氷魔法が使える。属性によって守れないことあるのかな。


「たぶん問題ないと思うけど、今度試してみよう。僕も気になる。」

2人で結界がどうとかってお話してる。ディアも楽しそう。


入口の広間で待ってると、ガイトさんが階段の上から声をかけてきた。


「リンとディア、部屋に案内するから上に来い。フランクは食事の準備をしてほしい。ディアは肉を生と焼いたの半分ずつな。」


ありがとうございました、とお礼を言ってフランクさんと別れて階段を上がる。

2階は、階段を挟んで左右に4部屋ずつ個室がある。


「リンの部屋はここな。左がフランクで右はアルの部屋。一応名前ついてるしリンのも作ろうな。」


私の部屋は右側の手前から2番目。フランクさんとアルダさんがお隣だ。


中に入るとベッドと机、椅子、本が置ける棚に衣装ケースが置いてある。


「広い…。」

〈そこまで広くないと思うが。リンには広く感じるか?〉

〈うん、前に住んでた家の自分の部屋は、この半分くらいだったの。〉

広すぎてちょっと怖いかも。


〈この大きさなら一緒に寝れる。心配するな〉

スリッと近くに来てくれたディア。あったかい。


「ここ客室として使ってたからある程度揃ってるけど、ベッドシーツとカーテンはこの後買おう。」


「このままでいいですよ?」


「だめですよ、女の子なんですから。それに、私達も楽しんでますからちゃんと選んでくださいね。」


ガイトさんの後ろからナリアルさんがひょっこり現れた。その隣にレイさんもいる。

みんな集合してた。


「確認できたな。アルと合流してギルド行って、買い物するぞ。お前服もなにも無いだろ。」


確かに今着てるの以外なにもない。

お買い物楽しみ。

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