第19話 美味しいお肉を堪能します

狩りに行ってた3人(2人+1匹)が戻ってきた。


〈ディアおかえり、楽しかった?〉

〈あぁ。楽しめた。〉

いい笑顔のディアさん。いっぱい走ったのかとても満足げ。


「やっぱこの辺はブルが多いな。おかげでデカいの選べた。」

ニカッと笑うガイトさん。


「ここで解体します?」

ナリアルさんが苦笑いで聞いてる。

解体前の今がチャンス。鑑定さん、出番です。


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名前 コルノーブル 

特徴 大きな角が4本生えている。

備考 お高い牛肉(ブランド牛って感じ)

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ブルって牛か。ブランド牛だって。脂ノリノリ?

「全員でやりゃあ早いだろ。内蔵と血は抜いてあるし、リンも見たいかと思ってな。」


笑顔でおいでおいでとされた。ありがとうございます。ちゃんと鑑定できました。


お言葉に甘えてもっと近くで見てみる。


「こいつ見た目イカついけど、角がデカいだけで大人しいんだ。その分足がめっちゃ早えからすぐ逃げちまって、捕まえるのが難しいんだけどな。肉は高く売れるから獲って損はねえ。」


サイズはよく知ってる牛よりちょっと大きいくらいで、毛は黒くて長め。脂肪たっぷりかと思ったけど、意外と筋肉質みたい。


「ありがとうございます。」

ぺこっとしてお礼を言う。


「解体はじめるぞー。リンとアルダはバッグの中身交換しとけ。リンは肉、アルダは角と皮、テントとか入り切らなかったらそれもリンに。肉は終わったやつから包んで入れてってくれ。」


ガイトさんから指示がとぶ。お荷物交換?


「街に入ったら皮と角は売りに行くんだ。まとめて持ってた方がいいから、お肉お願いね。」


入り切らないからテントもお願い、と渡される。

入れ替えが終わったらお肉を葉っぱで包み、それも入れていく。


「終わったー腹減ったー。」

いつの間にか解体し終わったみたい。カルダさんが伸びてる。


「今日も生と焼いたの両方食うか?」

〈そうだな。どちらも食いたい。〉

ガイトさんがディアに確認してくれる。

両方食べるのが当たり前になりそうだよね、これ。


「レイが焼き始めてるしさっさと食って出発しよう。」

途中から調理をしていたレイさん。いい感じにお肉が焼けていい匂いがしてる。


そうだ、昨日ディアに採ってもらったプラモの実、みんな食べるかな?


〈ディア、プラモの実みんなで食べてもいい?〉

〈リンの好きにしたらいい。〉

〈ありがとう。〉


お腹をぽんぽんしてお礼を言い、お肉を切り分けてるアルダさんのところに持っていく。


「プラモの実、食べませんか?」

「わぁ、ありがとう!森の奥にしかないから滅多に食べれないんだ、嬉しいよ。」


そう言って受け取ると、ナイフで皮を剥いて切り分けていく。器用ですね。


準備が終わってみんな食べ始めたので、いただきますをして私も食べる。お肉がとっても美味しい!

ディアもガツガツ食べてる。よかったね。


プラモは甘みが強くてちょっと酸っぱくて、美味しかった。


お昼ご飯を食べ終えて、また歩きはじめる。

予定通りなら、あと3時間くらいで街に着くはず。


そういえば、この世界の事なんにも知らないや。

あ…。なんで日本語でしゃべってるのに、言葉が通じてる。


今日も隣のアルダさんに確認。

「アルダさん、わたしってこっちの言葉でしゃべれてますか?」

「……ん??」


急に変なこと聞いちゃったから、思いっきり困らせてしまった。自分では地球の言葉をしゃべってるのに、普通に会話が出来ていることを伝える。


「そういうことね。ちゃんとこっちの言葉で聞こえてるよ。転生者への配慮とかなのかもね。帰ったら文字が書けるか確かめよう。」


文字の問題もあった。

神様パワーで書けるようになってるといいな。


「そうだ。これから住む国と街のこと、教えてなかったよね。」


そこからアルダさんにいろいろ教えてもらった。


ここの大陸はちょっと横に長いひし形。その北が迷わせの森で、これから向かうのはシュザインブルグ王国。その中のアーベントっていう街。


アーベントは冒険者の街って言われていて、森の魔物とか薬草とかを王都に流す役割があるらしい。


王都は水の都ヴァサビル。王国が森と川と海に囲まれていて、真ん中に湖があるからその名前らしい。水がキレイで有名なんだって。


「アーベントと王都の間に海の街があって、そこが貿易都市ゼイハルン。近くの島国から何でも買い集めて売ってるおもしろい街だよ。」


貿易都市、とっても魅力的。


「あと、絶対知ってて欲しいのが王国の南西側にあるテクナルド帝国っていう国。絶対行っちゃだめだよ。良くない噂がいっぱいあるから。」

「良くない噂?」


戦争でもしてるの?


「子どもを攫うって有名なんだ。魔法の能力が高い子を無理やり働かせてるらしい。」


嫌なことする大人はどこにでもいる。もやもやした感情が溢れてしまった。

〈私が近くにいるから大丈夫だ。何があってもちゃんと守る。〉


ディアがお鼻でほっぺをぷにってしてくる。

心配かけちゃってごめんね。


「ありがとう。頼りにしてるよ。」

ディアのお腹をぽんぽんして落ち着く。


「僕たちも近くにいるから、安心してね。」

アルダさんにも心配かけちゃったみたい。


「ありがとうございます。とっても心強いです。」

安心して顔がゆるむ。

それに気付かれたのか、頭をなでられた。


優しい人たちに会えて幸せです。

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