第18話 どんどん進むよどこまでも

「ここで少し休む。アル、コップ出してくれ」

それぞれ水分補給をはじめる。


私はまだ水が出せないから、ナリアルさんに出してもらったよ。みなさんは魔法でちゃちゃっと出してた。


〈ディアものむ?〉

〈いらないよ。途中の川で飲めたからね。〉

ディアはたまに近くの川まで行って水浴びしてた。その時にちゃんと飲んでたみたい。


〈水浴びは楽しかった?〉

〈ああ。冷たくて最高だ。〉

ニッコリいい笑顔。楽しそうで何よりです。


アルダさんにコップを返してナリアルさんと薬草のお勉強。鑑定の出番です。


「これが魔力草と呼ばれるもので、似た植物がたくさんあるので鑑定してから採るといいですよ。」


目線の先にはセリに似てる植物がわっと生えてる。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−

名前 魔力草

特徴 魔力を蓄える力が強い。MPポーションの材料になる。

備考 売れるがそこまで高くない。(苦いわよ)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−


うん、鑑定できた。苦いらしい。


「こっちも見て下さい」

魔力草の近くに似てる草がある。本当に似てる。

鑑定がない人は見分けるの大変そう。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−

名前 ダゼリ

特徴 魔力草の近くに生える雑草。用途はない。

備考 (食べれもしない、ただの草)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ただの草って。そうなんだろうけど。


「見分けるの大変そうです。鑑定ない人はどう見分けるんですか?」

「魔力草だけは根元まで緑色です。他のは白や赤っぽいですね。」


そう言われてよく見ると、魔力草は根元までしっかり緑色。これなら見分けられる。


「これを知ってても雑に採って混ざってたり、そもそも別のを採る人もいるんですよ。」


困り顔になるナリアルさん。よく見たら分かるけどどれも近くに生えてるし、適当にむしり取ったら混ざると思う。


「気をつけます。」


確認が終わったから採取する。

有っても困らないし高性能カバン様々です。


ナリアルさんといっぱい採って満足してると

「そろそろ行くぞー」

とガイトさんから号令がかかる。


「ありがとうございました。」

ペコッとしてナリアルさんにお礼を言うと頭をなでられ、ガイトさんのところに行ってしまった。


ざっくり並んで出発。

近くにいたカルダさんが声をかけてくれる。


「なんか見つけられたか?」

「魔力草を教えてもらいました。」

いっぱい採れました、とカバンをポンポンする。


「あれ分かってても混ざるんだよなぁ。リンはちゃんと鑑定しろよ!」

苦手だーと笑ってるカルダさん。


「カルダは雑すぎるんだよ。ちゃんと見たら分かるんだから。」

見りゃいいだろ、とアルダさん。


ブーブー言うカルダさんにツッコミを入れるアルダさん。仲良しで見ていて楽しい。


ディアともお話しながら歩いて、途中で1回休憩をはさみ、さらに進んでお昼近くになった。


「ここで昼休憩だな。なんか獲ってくるか?」

先頭にいたガイトさんが振り返りつつ言う。


「その方がいいかもしれないですね。夕食にもなりますし。」

「ブルくらい探せばいるだろ。」

「んじゃ、カル行くぞ。ディアも行くか?」


俺も!?と連れて行かれるカルダさん。気を抜いてたみたいで変な顔してる。

ディアも行くことにしたみたい。また追いかけるのかな?


レイさんが言ってたブルが気になる。鑑定させてもらえないかな。


「リーダーたちは食料調達に行きましたので、こっちも準備しましょう。」


ナリアルさんが来てくれた。


レイさん今日は火起こし担当なのか石を積んでいる。アルダさん、ナリアルさんと3人で少し離れて薪拾い。その辺の植物を鑑定しまくった。


疲れたけど良いもの見つけた!


−−−−−−−−−−−−−−−−−−

名前 ミント 

特徴 爽やかな香り。殺菌効果が風邪 薬としてお茶に入れて飲まれる。

備考 (実はそのままでも美味しい)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−


見た目も名前もそのまんま、ミント。

すごくいい香りがしてていっぱい採っちゃった。

こっちではお薬として使うみたい。枝をプチっともぐ。


あとこれ。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−

名前 チャマイル

特徴 花がお茶になる。

備考 (好き嫌いが分かれる)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−


たぶんカモミールだと思う。ちょっと小さいけどキレイなお花が咲いてる。これもいっぱい生えてたからプチプチ採る。1本だけ茎ももらう。


ハーブ系は水挿しで増やせるはず。

街についたら考えよう。


「何か見つかりましたか?」

ナリアルさんが木の枝をいっぱい抱えて隣にきた。


「ミントとチャマイルのお花がありました。」

薪はこれだけです、と抱えてる枝を見せる。


「私もアルダもたくさん拾ってるので大丈夫ですよ。それよりも、チャマイルですか。あの独特な風味がクセになるんですよね。」


なんと。男性はあまり飲まないイメージだった。


「実は前の世界にもあって、わたしも好きでよく飲んでいたんです。こっちにもあって嬉しいです。」


食べるものに制限があった当時、飲み物もなるべく自作していた。自家製ハーブは万能でした。


「帰ったら管理人のフランクに聞いてみましょう。料理にも詳しいですから。」

「楽しみです。」


レイさんに薪を届けようとそちらを見たら、奥の茂みから何かが出てきた。


びっくりしてその場で固まる。

だって、でっかい何かがぷかぷか浮いてるんだよ、地面から50センチくらいのところで。しかもこっちに来る。なんだ???


私がフリーズしていたら、アルダさんが笑って教えてくれた。


「あれ、カルダの魔法なんだ。風を上手く操って浮かせてるの。リーダー、自分で運ぶの面倒くさいからカルダ連れてったんだよ。」


魔法ってすごい。


「ただし、魔力が多いカルダだからできる技ね。普通浮かせても数センチだし、動かすなんてできないよ。」


ということらしい。


あれが例のブルなのかな。楽しみ半分、困惑半分で感情が迷子です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る