第15話 心配な大人たち

___ナリアル視点___


疲れ切っているはずなのに、元気そうに振る舞っていた少女。鑑定で8才と知ったが、5才くらいにしか見えず心配になりますね。


ふわっとした髪をなでていると、リーダーたちがこちらを見ていたようです。


「寝たか?」

リーダーが声をかけてくる。


「スリープをかけました。」

さっき手を持ち頭を撫でた時に魔法をかけました。これで朝まで寝てくれるでしょう。


「鑑定できた?どうだった?」

アルダが1番心配していましたね。リンを鑑定して欲しいといったのもあなたでしたか。


「8才で転生者。適性は風、土、水と鑑定。精神苦痛耐性、身体苦痛耐性ともにレベル4で今の体力は残り1でした。」


「「はっ?」」


リーダーとカルダが驚き声を出す。

アルダはある程度予想していたのでしょうか。

レイは眉間にシワを寄せ難しい顔になりましたね。


「嘘じゃないんだよな?」


鑑定を間違えることはない。リーダーもそれを分かっているはずなので、どちらかというと嘘であって欲しいという思いなのでしょう。


「全て本当ですよ。さすがに私も驚きました。」

結果をみて、一瞬顔をしかめてしまいました。


「ディアさんは何か知っていますか?」

我々より繋がりのあるディアさんの方が知っているかもしれない。そう思って聞くと、空気が冷えた。


〈この世界のための身体で異世界にいたために、かなり身体が弱かったそうだ。それに元の世界に魔法は無いらしい。魔力のある体に異常が出てもおかしくはないはずだ。耐性はレベル4で間違いない。〉


グルグルと唸るような喋り方をしていますが、少し落ち着いてくださいね。


「さすがに冷気を抑えてください、リンさんが凍えてしまいます。」

アルダに毛布を出してもらいましょう。


〈言葉には出さんが、虐待されていたかそれに近い状態だったんだと思う。人に頼る事を知らず、むしろ頼る事を恐れている。それに、自分より他を優先しがちだな。〉


「僕が気になったのはそれなんだ。リンちゃんの頭をなでようとすると、一瞬怖がってた。子どもなら喜ぶことなのに、それに怯えてた。」


アルダが泣きそうな顔になってしまいました。それほどショックだったのでしょうね。


「アルがやたら頭なでてたのはそれでか。」

リーダーも気づいていたらしいです。


「最初は確認。あとは慣れてくれたらいいなーと期待を込めて、かな。」

アルダは歩く時もリンさんの近くにいたんです、私達よりは何かを感じたのでしょう。


「体力1ってのもなぁ。ありえねーだろ。」

意味が分からん、と空を見上げるリーダー。


普通の人なら体力が5を切れば動けなくなります。

体力が無くなってしまえば、身体機能も停止してしまう。最悪の場合、死んでしまう危険な行為です。


残り1の状態で食事をして話をしていたのかと思うとゾッとしますね。


「耐性が強すぎて、疲れを自分で紛らわしてしまうのでしょう。」


「俺らが気をつけるしかないな。明日どーすっか」

「鑑定があるなら、その練習だと言って休憩を増やせば良い。」

リーダーとレイは2人とも頭が切れる。こういうとき本当に頼れるお2人です。


「予定より進んだよね。」

アルダの言う通り、予定していた場所からさらに街に近い場所にいるはずです。


明日は無理せず進めば良い。そう思いつつリンの頭をなでるナリアルなのでした。

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