第13話 お外ご飯は最高です

2人と一緒に戻ると、ワイワイと騒いでる声が聞こえてくる。なぜかディアは近くでそれを楽しそうに眺めてる。


「いいからもう少し待ってろ!お座り!」

犬いたかな?と思ったらガイトさんがカルダさんの頭に手を起きながらお肉を焼いていた。


犬はカルダさんだった。どういう状況?


〈この小僧が盗み食いをして怒られておる。〉

ディアが楽しそうに教えてくれた。なるほど、待てなかったのか。なんだか申し訳ない。


〈リンは気にするな、いつものことみたいだぞ〉

そうなの?と思ったらお隣から盛大なため息が。見上げたらアルダさんだった。


「食事のことになるとバカが増すんだ。」

苦笑いでそんなことを言う。元々バカみたいな言い方。弟さんの方がしっかりしてる、あるあるだ。


「バカですね。頭を冷やしなさい。」

ナリアルさんが呆れた顔でカルダさんに手を向けた瞬間、何かが飛んだ。


「冷たっ!ナリアルさん攻撃的!」

ブーブー言って頭をふるカルダさんは髪の毛がびちょびちょ。水をかぶったらしい。


「首は繋がってますよ。」

黒い笑顔で答えるナリアルさん。殺しちゃだめですよ。魔法で水を飛ばしたのかな。ちゃんと見てればよかった。


「みんな集まったな、肉も焼けたし食おうぜ。リンが採ってきたアジタケも焼けてるぞ。食え!」


ありがとな!と言い、ガイトさんがお肉とキノコの乗ったお皿と、スープの入った大きなコップ、フォークを渡してくれた。

お皿たちは木製でフォークは銀かな?


ありがとうございます、と受け取って、ふと周りを見る。ディアにも私にも、ちゃんとお皿がある。みんなのもちゃんとある。お皿が足りてる?


「たまに迷った冒険者を見つける事があるんだ。それも仕事の1つなんだけどね、その時用にいつも多めに食器を持ってきてるんだよ。」


だから受け取って大丈夫だよ、とアルダさんが頭をなでながら教えてくれた。

あまりにもキョロキョロしていたのか、考えが読まれた。ちょっと恥ずかしい。


うんうん、と頷いてディアのそばに座る。


「肉のおかわりは自分たちで取れよー」

と言ってそれぞれ食事を始めた。

ガイトさんが思いっきりお肉にかぶりつく。美味しそう。


小さくいただきますをしてスープを飲む。


お野菜がいっぱい入った優しい味のスープ。暗くなって少し寒かったのか、じんわり体にしみていく。


「美味しい。とっても美味しいです。」

作ってくれたレイさんやガイトさんにありがとうございます、とお礼を言って食べ続ける。


「いっぱい食えよ。」とガイトさん。

ちょっと笑って頷いてくれたレイさん。その笑顔はとっても優しかった。


〈ディア、お肉美味しいね。〉

〈あぁ、肉は焼くと味が変わると聞いたが、本当だ、美味いな。キノコも美味いぞ。〉


ディアは基本生のお肉を食べるからなのか、焼かれたお肉をかじって嬉しそう。キノコも食べてくれてる。よかった。


わいわい食べる大人たち。楽しい声がする夜ご飯の時間はとっても温かかった。カルダさんがお肉を追加で焼き、ディアがこっそりそれを盗み騒ぎ、ナリアルさんとレイさんがスープとお肉のおかわりを持ってきてくれた。


お腹がいっぱい。ごちそうさまをして、みんなが話してるのを何となく聞いている。


「アジタケ美味しかったです。ありがとう。お腹はいっぱいになりましたか?」

ナリアルさんが食器を回収してくれる。


「はい、とっても美味しかったです。アジタケも美味しくてちょっと食べ過ぎちゃいました。」

お腹をぽんぽんしながら言う。ちょっと苦しい。


「お皿洗いします。」

何かしなきゃ、と立とうとすると洗う必要はないと言われた。


「食器類はまとめてクリーンをかければキレイになります。カルダの仕事なので大丈夫ですよ。」


そう言って空になったお鍋に食器たちを全部入れると、カルダさんがクリーンの魔法をかけた。


戻ってきたナリアルさんに質問。


「クリーンは誰でもできるんですか?」

できたらかなりいろいろ楽になる。


「生活魔法の1つなので誰でも使えますよ。カルダは他のメンバーより魔力が多いのであのくらいじゃ何ともないですが、魔力の少ない人はクリーン数回で魔力切れになってしまいます。」


知らないことを知るのは楽しい。小説の中の話じゃなく、自分に関係することだから尚更楽しい。


「魔法について、お勉強しましょうか。」


魅力的な提案。うんうん、と頷いて話を聞く。


「魔法には種類があります。まずクリーンのような生活魔法。これは子どもの時から親に教わって、だいたい10才くらいになればみんな使えます。」


私も練習しなきゃ。


「薪に火をつける、明かりを灯す、風を吹かせて掃除、コップ1杯くらいの水を出す、水とクリーンの応用で洗い物や洗濯などもできます。」


すごく便利な魔法さん。


「でも、魔力が少ない方たちは何度も使えないので、専用の道具を使っています。」


うん。魔力量はかなり差があるんだ。


「あとは、適性に応じて属性魔法が使えます。火、水、風、土、光、闇の6種類、1人1種類は適性があると言われています。」


みんな何かしら適性があるらしい。


「適性があっても魔力が足りない場合は魔法が発動しないので、そういう場合は補助具などを使います。街の中での生活なら生活魔法が使えたら十分ですけどね。」


お水も火も出せる生活魔法は万能さん。


「最後は無属性魔法ですが、これは使える者が少ないです。我々の中だとレイが身体強化、私が鑑定を持っていますが、メンバーに2人も適性者がいるのはかなり珍しいです。」


鑑定が珍しいんじゃなくて、無属性だから珍しいんだ。いい勉強になった。

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