第11話 夜ご飯は何かな

アルダさんが積まれた石の近くで何かやってる。たぶんあそこで火を使うだろうから、薪にする木の枝をカバンから出して近くに積み上げていく。


テントが出てきたのとは別のカバンから、寸胴と呼べる大きさのお鍋がスルッと出てきた。さすがに驚く。カバン、私のよりちょっと大きいくらいだよ?


私のカバンも入るのかな、あの大きさでも。あ、容量無制限だからいけるのか。今度なにか大きいの入れてみたい。


カバンからキノコを取り出して、しゃがんでるアルダさんの肩あたりをツンツン引っ張る。


「キノコ、ありました。」

さっき採ったアジタケをいっぱい渡す。


「わぁ、ありがとう!これ美味しいんだよ、よく分かったね。」

頭を撫でながら笑って喜んでもらえた。びっくりするけどちょっと慣れてきた。


「鑑定、使いました。」

そう言うと一瞬動きが止まる。鑑定って珍しいんだっけ。言っちゃだめだったかな。


「そっか、リンちゃん鑑定持ちなんだね。ナリアルさんも鑑定持ってるから、今度いろいろお話してみるといいよ。使い方も教えてくれるはずだから。」


うん、と頷く。


「でも、僕たち以外には言わないようにしてね。鑑定持ちってとっても珍しいんだ。それだけで悪いやつに狙われる可能性もあるから。あれば便利なんだけどね」


ちょっと困ったように笑いながら教えてくれる。心配してくれてるって分かるから、素直に頷く。


「気をつけます。」


木を組んだり鍋を置いたり、もう1箇所石を積んだりしてるのをしゃがんで眺める。見てるだけで楽しい。


「おーい!アルこっち手伝ってくれ!ヒュージボアの解体終わらないんだ!」

いつの間にか居なくなってたガイトさんが帰ってきたみたい。ヒュージボア?


「とんでもないもの獲ってきたみたいだよ。見に行こう。」

楽しそうに笑って手を引いてくれるアルダさん。とんでもないもの?


結界から出ると、近くに川があった。そこに4人とディアもいる。そして大っきな茶色い山。


「ディアがいたからすぐに倒せたんだけど、運ぶのに時間かかった。デカすぎるから全員で捌くぞ」

そういうガイトさんの近くで、3人はすでに作業をしていた。


〈ディアおかえり。ケガはない?〉

なぜか満足そうなディアは山の隣ですわってる。


〈ケガなどしない。楽しかったぞ〉

とっても機嫌がいいみたい。楽しそうで何より。


「珍しいね、ヒュージボアを狩るなんて。」

アルダさんが解体しながら話してる。


「ディアが楽しんで追いかけてたんだ。それを待ち伏せて倒すだけだから、簡単だったぜ。」

カルダさんが川で剥ぎ終わった皮の血を流してる。


チラッとディアを見るとすごく満足げ。それでか。


「すごかったぜ!周りの魔物はみんな逃げて走りやすかったもんな。」

ガイトさんも楽しそうに解体してる。


「なにもリーダーやカルダまで来ることないでしょうに。レイと私の仕事がありませんでしたよ。」

少し呆れぎみに笑ってるナリアルさん。


なにも出来ないから近くで見てるしか無い。それにしても大きい。イノシシの形で像より大きい。こんなのが走ってたら怖すぎる。


「リン、捌き終わった肉を葉に包んでくれるか?」

ガイトさんからお仕事もらえた。


「ここに終わった分があるので、この大きな葉で包んでください。ゆっくりでいいですよ。」


ナリアルさんの近く、大きな葉っぱの上にお肉の塊が置いてある。その隣に包む用の葉っぱと蔓草から作った紐みたいなのがいっぱいある。


両手でギリギリ持てるサイズの塊肉。


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名前 肉(ヒュージボア)

特徴 脂が多く人気な肉。

備考 (高級豚って感じ。)

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相変わらず楽しいコメント付きの鑑定さん。

イノシシなのに味は豚。しかも高級。どゆこと。


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名前 ヒュージボア 

特徴 見たものを追いかける。獲物を牙で突き上げて弱らせる。

備考 見つけたら逃げるべし。

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ヒュージボアの方を鑑定してみた。逃げるべし。

そりゃそうだよね、突っ込んでくるのは怖すぎる。


「ディアどのくらい食うんだ?」

お肉包んで鑑定してたら、ガイトさんが聞いてくれた。そっか、ディアはいっぱい食べるよね。


〈塊2つで十分だ。1つは焼いて食いたい。〉


「そんなんでいいのか。肉多すぎるよなー。アル、マジックバッグに空きあるか?」

ちょっと困りぎみのガイトさん。


マジックバッグって不思議なカバンのこと?アルダさんが2つ持ってるやつ。


「半分くらいなら入ると思うけど、牙や皮は厳しいかな。今回はテントもあるから」


「そーだよなぁ。どーすっか」

困った様子のガイトさん。


カバンなら私のに入るよね?

「あの、たぶん入ります。」


カバンを見せながら言うと全員の視線がこっちに向いた。ちょっと怖い。


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