第10話 決断の時です
「あの…。」
「どうしましたか?」
ナリアルさんが優しく答えてくれる。
「ご迷惑になりませんか?」
「まさか。楽しい仲間が増えるだけです。」
ですよね?とまわりに確認するナリアルさん。
「僕たちもディアの存在に助けられるだろうし。リンちゃんと暮らせたら楽しいと思う。」
優しく答えてくれたのはアルダさんだった。
「子どもは大人に守られて当然だ。」
レイさんがしゃべった。守られて当然。それでいいのかな。
〈ディアはどう思う?〉
〈こいつらと一緒にいるべきだと思う。人間には人間の生活が必要だし、何よりこいつらは強い。ここは頼るべきだと思うぞ。〉
そっか。人間の生活は必要か。ここでも生きてはいけるかもしれないけど、不便すぎる。それにディアと街に行こうって話をしてたんだった。
「えっと、これからよろしくお願いします。」
頭をさげる。すると急に頭が重くなった。
何かと思ったらガイトさんに頭をなでられていた。
「任せとけ。」
ニカッと笑っている。びっくりした。そしてちょっと恥ずかしい。
〈全員手を出せ。〉
ディアがのそっと起き上がり、私の隣で座る。
5人全員が手の甲を上にして、前に出す。
ディアが何かつぶやくと、みんなの手に一瞬模様が浮かんで消えた。私のときも模様あったのかな?全然見てなかったから気づかなかった。
〈仮契約は完了だ。〉
そう言ってまた後ろにきてソファになってくれる。もう定位置だね、ここ。おかえり。
「ここから我々の住む街までは歩いて約1日かかります。少し進んだところで休み、明日の朝はやくに出発できれば明日中には街に着きます。」
ナリアルさんたちは1日歩いて来たのかな。それはすごい。体力もたない気がする。
「じゃ、行くか。3時間も歩けばいつもの休憩場所に着く。そこまで行けばテント広げて休めるだろ」
ガイトさんが言うと、全員立ち上がった。
カルダさんは思いっきり伸びてる。自由だ
「ナリアルとレイ先頭、リンとディア、カル、アルで俺が最後な。」
ガイトさんが歩く順番を決めていく。
「よろしくお願いします。」
みなさんに頭をさげる。
ディアが隣を歩いてくれるみたい。安心。
〈疲れたら背中に乗れ。いつでも運んでやる〉
頼もしいけどがんばるよ。
〈なるべく歩くよ。体力つけないといけないもん〉
「それじゃあレッツゴー!」
カルダさんの元気な号令で進み始める。
位置は決まっててもそれぞれ話をしたり、ちょっと寄り道して何かを摘んだりしながら歩いた。
遠足みたいで楽しい。
寄り道しつつ森の中を歩いていたら、ひらけた場所についた。石が積み上がっていたり木の燃えた跡が残ってる。
「休憩場所に到着ー。もうすぐ暗くなる。テントはって飯の準備するぞー」
ガイトさんの指示でそれぞれ準備をはじめた。
アルダさん腰につけてた小さなカバンからテントを2つ出した。それも容量多いの?すごい大きさの出てきたよ。
カルダさんは何故か周りを歩いてる。何してるの?
「あれは魔物避けの結界を張ってるんだよ。カルダは魔法が得意なんだ。僕は魔法があんまりで弓使いなんだけどね。」
あまりにも挙動不審だったのか、キョロキョロしていたらアルダさんが笑って教えてくれた。
「大体の役割が決まってるんだ。僕はテント、カルダが結界、リーダーが全体見てナリアルさんとレイさんが何か獲ってきてって感じかな。」
確かにナリアルさんたちが居なくなった。食べ物探しに行ったのかな。
「何かわたしが出来ること、ありますか?」
そう聞くと少し考えて
「じゃあ、テントたてるの手伝ってくれる?一緒に支えてもらえると助かる。」
お仕事もらえた。
〈リン、私も何か獲ってくる。ここにいれば安心だからそいつから離れるな。〉
ディアはそう言って、ほっぺにスリッとしてどこかに行ってしまった。
「ディアも食べ物探しに行ったね。戻ってくるまでに、たてちゃおう。」
アルダさんと一緒にテントをたてていく。キャンプみたいでワクワクする。お外で寝るのは初めてだ、楽しい。
小さいのを1つたて終わり、次に大きいのを組み立てていく。誰がどこで寝るんだろう?
「あっちの小さいほうはリンちゃんとディアで使ってね。こっちの大きい方に僕たちがいるから、何かあれば呼びに来てね。」
たて終わると頭をなでられた。ちょっとびっくり。みんな優しいけど、なんで頭なでる?
「テントはこれで大丈夫だから、薪用に乾いた木の枝を拾おうか。結界から出ないように気をつけてね。」
うん、と頷いて薪拾いをする。乾いているか分からないけど、だめならディアにお願いしよう。
持てないからカバンにポイポイ入れていく。途中で食べれそうなキノコ発見。
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名前 アジタケ
特徴 森に生えるキノコ。味が濃い
備考 生食可、冒険者に人気。(火を通したらもっと美味しいよ)
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美味しいらしい、ラッキー。いっぱい生えてるからこれも一緒に持っていこう。このキノコは生でも食べれるのか。ちょっと怖いけど食べてみたい気もする。
あちこち歩き回って、薪もだいぶ集まった。
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