第6話 活動開始します!
ふわぁっとあくびをして目を覚ます。
〈おはよう、ディア。守ってくれてありがとう〉
包んで守ってくれていたのは分かっていたから、素直にお礼を言う。
〈おはようリン、なんてことない。少しスッキリしたか?〉
手の匂いをクンクン嗅ぎながら、やっぱり首を傾げて聞いてくる。可愛いなぁ。
〈うん、頭もスッキリ。どのくらい寝てた?〉
〈2時間ほどだろう。動けそうか?〉
空気が寝る前より温かい。体を起こして伸びをして切り株から飛び降りる。
〈大丈夫!何しよう。食べ物探す?〉
ここがどこでもとりあえずなにか食べないと死んでしまう。それは嫌なのでご飯の確保が先かな。
〈リンは鑑定が使えるだろう。レベルが低くても、その辺の草を見て食べれるかが分かるはずだ。分からずとも私の知っている物は教えるからね。〉
なんと頼もしい。というか、鑑定の存在忘れてました。そーだよ、見たら分かるなら安全じゃん。
〈鑑定したい物を、知りたいと思いながら見たら分かるはずだ。〉
ナイスアドバイス!
〈やってみる。ディアありがとう!〉
ゆっくり降りてきたディアにぎゅっと抱きついて、ちょっともふもふを堪能してから離れる。
鑑定の仕方はわかった。気になるのは最初に目に入ったひまわりのような花、あれを調べてみたい。
近くに行くとやっぱり大きかった。
あなたのことを教えてねーと考えながら見てみる。
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名前 ヒシュウバナ
特徴 咲くまでに日光を多く必要とする
備考 種は食べられる。(香ばしくて美味しいよ。)
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特徴と意味から、私の知っているひまわりとそう変らない気がする。種って美味しいもんね。カッコの文字はなんかお茶目。
「ディア!ディアー!この種食べれるって。美味しいみたいだよ!」
食べ物が見つかって嬉しくなり、そのまま声に出して話しかけていた。本人は気にもしていない。
〈よかったな。背が高くて届かないだろう、数本切ってやる。離れていなさい〉
そう言うと花の根元を爪でシュッと引っかいたと思ったら、そのまま3本が倒れてきた。
なにそれカッコいい。
〈ありがとう!〉
倒れたヒシュウバナを見に行く。
〈こんな事ならお安い御用。すぐに食べるか?〉
確か種って乾燥させないと取りにくいんだよね。切り株の上に置いとけばある程度乾燥するかな。
「乾燥させないといけないの。お花の部分だけさっきの切り株に置いとくよ、暖かいし1日で何とかなるかも。」
3個とも青いお花がついているから、それをむしりとって種の部分だけにする。それを切り株に並べて満足すると、
〈乾燥させれば良いのか?私がやっておくよ、他を見ておいで。〉
「ありがとう、とっても助かる。」
ディアがヒシュウバナの前でなにかしている。見ても分からなそうなので、お言葉に甘えて他の散策。
次も気になっていた柊の花というか木というか。
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名前 モクの木
特徴 葉が上級解毒薬の材料になる。
備考 高く売れる(これは食べれないわね。)
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食べる気はないよ。売れるなら採っておくけどさ。
わっさわさ生えてる葉っぱをちぎって、数枚まとめてヒシュウバナの茎から作った紐でまとめる。
葉っぱがトゲトゲしてるから手を切らないように注意しながらたくさん取る。
しばらくプチプチちぎってはまとめ、ちぎってはまとめを繰り返したらかなりの量とれた。
増やすかもしれないから、1本だけ茎をバキッと折ってカバンにいれる。育たなくても葉っぱが売れるから良し。
〈リン、種が乾燥したと思う、見てくれ〉
ディアから声がかかった。早すぎません?
切り株の横にちょこんと座ってるディアに近づきヒシュウバナを覗き込む。完璧ではないですか!
「ありがとう、完璧!次はわたしの番ね。」
種を取り、残っていたヒシュウバナの葉っぱに包んで紐でしばる。
繰り返し作業をしていたら、10個の包ができた。小さいけどこれだけあれば死にはしないはず。
完成した種をディアにじゃーんと見せる。
〈リンは器用だな。きれいに包まれてる。〉
感心したように頷き褒めてくれる。嬉しいなあ。
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