第4話 もう家族だよね
〈スノーケーニヒさん、お名前はあるの?なんて呼べばいい?〉
頭の中でユキヒョウさんを意識して、聞いてみる。
〈名前は特に無いな。リンが名付けてくれ、なんでも良い。〉
なんでも良いときた。そしてなぜか、すごく楽しそうな顔になっていらっしゃる。伝わる感情もワクワクと楽しそう。
困った。でも、ペットを飼ったことが無いから私までワクワクしてしまう。お腹をもふもふしながら考えていると、体がぽかぽかとしてきた。温かい。
〈男の子で間違いない?若そうだけど〉
声の印象から感じたことをそのまま聞く。
小説に出てくるフェンリルとかだと千年以上生きるとか言うよね。この子もそんな存在なのかな。
〈私の種族はほぼ男だ、私も含めてね。確かに若い。まだ200年ちょっとしか生きていない。魔獣はみな2000年以上生きると言われるからな。〉
思ったより若いみたい。人間で言えば10才くらい?まあ、人間換算をしていいのかも分からないけど。
それより名前だ。ユキヒョウから[ゆき]とかにしようと思ったけど、もっとカッコいい方がいいよね。
王様と言われるら、宝石の王様ダイヤモンド。あれ、ダイアモンド?ダイヤかダイア。いや、安直すぎるか。
ダイアモンド。ディアマンテ。ディアマン。ディア… ディアなんてカッコいい気がする。
〈ねえ、ディアってお名前はどう?わたしが知ってる宝石の王様からとったの。カッコいいあなたに似合う気がする。〉
ユキヒョウさんの目がすごく輝いた気がする。と同時に、なぜか手の甲がまだ熱い。何だこれ。
〈ディアか、カッコいい名をありがとう。名付けによって繋がりが深くなった。リンからより濃い魔力が私に流れて来たよ。〉
とっても嬉しい感情が伝わってた。お顔をみたら分かる、にっこにこ。それに尻尾が切り株から少し出て、ゆらゆらしている。
〈ディア、よろしく。あったかいね〉
嬉しさや喜びがそのまま温もりになって私を包んでいる。ディアの体温も高いのか、とってもぬくぬく。温かい。
〈リンのことを知りたい。魔法は使えそうか?魔力はそれほど多くもなさそうだが。〉
私の手をクンクンと嗅いで、首をかしげるディア。周りの音を聞いているのか、時折お耳がピコピコしている。可愛い。
さっき確認したステータスを開きながら、ディアに伝えていく。
ほんのさっき起きたらこの森にいた事を話すと驚かれ、鑑定で驚かれ、耐性でさらに驚かれた。どうやら鑑定は珍しい能力らしい。あまり言わないようにしないと。
精神苦痛や身体苦痛の耐性はかなり苦しい環境に長くいないと発生しないし、レベルも上がらないらしい。17年アレルギーに耐え、親や周りからの口撃に耐えた結果ならちょっと納得してしまう。
どれだけ辛い経験をしてきたのだと、ディアに心配されてしまった。慣れていたから気にもしていなかったが、やっぱりあれは酷い経験だったのかあと、ぼんやり思う。
〈本当はこの世界に生まれるはずだったんだけど、何かの間違いで地球に生まれたの。地球が元いた場所ね。身体がここ専用だったらしくて、あっちではずっと体調が悪くて体も弱かったの。〉
神様がくれたお手紙をカバンから出して説明した。自分でもよく分からないのに説明なんて出来ない。見せながら、昔の話をする。
〈動物に近づくと体にブツブツが出来たり、息が苦しくなったりするから触れなかったの。今なにもなくディアに触れてとっても嬉しいわ。〉
実際に苦しかった症状を話すと、息苦しいの言葉に悲しそうな感情が流れ、嬉しいの言葉にホッとした感情が流れてきた。優しいね、ディア。
〈こちらに来て間もないのなら少し休め。まだ朝だし、食うものならある程度リンの鑑定で見つけられる。私が食べられるものを取ってくることもできる。〉
そう言って、尻尾をくるんと私のお腹にまきつけ、ディアのお腹に埋もれさせる。寒かったのが和らぎ、ぽかぽかとした暖かさが眠気をさそう。
〈少しだけ寝るね。ありがとう、ディア〉
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安め→休め
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