第7話 不合格通知記録更新中

 通算40社目の不合格通知をいただいた。

ここまでくると面接官を見て、「ああ、ここは不採用になるな。」というのが直感でわかるようになる。

人事の表情がしかめっ面になっていたり、明らかに仕方なく都合をつけてみた空気を感じ取ることができるようになったのだ。面接官の心ここに在らず、である。これは日系外資に問わず見られた。


 外資海運会社に面接に行くと社内はあまり日本企業と変わらない雰囲気が漂っていた。

面接官が私のレジュメをよく見ていなかったのである。

経歴、職歴、資格を口頭で伝えると「ほうほう」とうなづいているが、目線を落として「あ!書いてある!」と口を大きく明けて声を上げたのを覚えている。

その部分が私の武器なので、全部見落とされると流石に幸先が不安になる。

そしてIeltsよりもTOEICを重視されたことにも落胆した。

もしかしてここも言った言ってないのニアミスが多発し、一つの物差ししか持っていないのだろうか…。


 他に印象的だったのは中国人の面接官である。日本企業に勤めているとはいえ彼らの動きは早い。面接で気に入られたらすぐに求人内容を変更し、再募集をかけたのだ。そこは私の好きなホビー系の会社で翌日改めて行くと、面接官たちは素敵な笑顔をしていたが、しょうがなく場を設けたようなそんな無気力さを醸し出していた。

そして案の定、一時間の予定が20分で面接は終了したのだった。


 10時半に事務所を出て新宿をぶらぶら歩いた。初夏の空気はまだ涼しく気持ちがいい。面接の内容に不満を持ちつつもホビーの現場とその第一人者を見ることができて嬉しかった。

日本の労働環境、しかもその条件は前職よりも厳しいものである。これがエンタメの前線なのだとしみじみ思った。


 帰りの電車でホビー系の音楽を聴く。

興奮冷めぬ自分の意思が伝わったのか、いつの間にかディープなものを再生し出した。

初めてVチューバーに感動した瞬間である。

不合格通知の痛みなど、出会えた感動で消し飛んだ。

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