第42話 いつ頃
辻さんは、ブラウンのリュックサックを地面に
そして、
俺は、そんな辻さんに聞く。
「どうして急に、絵が
「
「最近、何となく辻さんの言葉が
「それは良いことだね」
「そうだな。良いことだな」
「うん」
「でも、
「私は
「
「
「辛辣になったか?」
「……
「まあ。それは、ありえるかもしれない」
「遠慮がなくなれば、次はくっつくしかないわけだよ」
「その変人語は、意味が分からない」
「ラノベ
――何が鈍感なんだ。
辻さんは、ノートに
彼女は、口を開けた。
「何か、お喋りしようよ」
「辻さんは、絵を描きながらだが、
「今回ひらめいたものは、
「なるほど。それにしても、話しながら絵を描けるとは、
「
「それは、どういう意味だ?」
「板橋くんは、
「……ああ、そういうことか」
辻さんは、天才イラストレーターだ。
しかし、その
彼女の
雑念というのは、
彼女は、彼女の目につく
しかし、だ。
彼女
さっぱり、
「辻さん」
「ん?」
「この堤防には、
「ふっ、板橋くんよ……」
「なんだ?」
「その雑念たちから目をそらしたいからという
「つまり、気楽に絵を描くとか何とかは、ちょっとした
「気楽に描こうとは思っているけど、メインの理由は、周りにうろちょろしている雑念の意識を
俺は、口を開けた。
「なぜ、この場所を選んだ?」
「気づいたら、この場所を選んでいたんだよ」
「ただの考えなしか……」
「絵を描くことに、理由なんて必要ない」
「かっこいいセリフ
「そうだよ。だから板橋くんは、私が絵を描いている
「…………」
俺は、言った。
「その通りかもな」
彼女が絵を完成すれば、
だから、辻さんの
「話が分かってくれる板橋くん……すごく
「それはどうも。だがしかし、何の話をしたものかだな」
「何でもいいよ。
「
俺は、考えた。
話の話題、話の話題……。
そうだな。
「…………」
「辻さんは、絵は好きか?」
「うん。絵を描いているから、当たり前に、絵は大好きだね」
「そうだよな」
「そそ」
だが
話の組み立てが下手という
作家たるもの、ここから話を広げなければだ。
「絵は、いつ
「うーん……いつだろう?」
彼女は、言葉を
「たぶん、生まれながらにして、絵が好きなのだと思う」
……ほう。
当然のように、理解しきれない言葉が
「
「それは、分からないけど。たぶん、
「それは……とても
「うん、ありがとう」
何だか、だ。
この話を聞いて、彼女が絵描きの天才であることに、また一つ
生まれながらにして、絵が好き。
それは、もはや
やはり辻さんは、絵描きの天才なのだろうと、思い知らされた。
「板橋くんは――」
「うん?」
辻さんが、逆に聞いてきた。
「板橋くんは、小説は好きなの?」
「…………」
俺は、
「好きだけど……」
「好きだけど?」
「おそらく俺は、
「……作る
「そうだ。そういうのもあるし、小説を書いてるからこそ、他の人の小説に
だが俺は、生まれながらにして小説が好きだとか、そんな
そう思うと、やはり辻さんは凄いなと
そんな彼女は、顔をあげた。
「絵、できたよ」
「はや」
「ラフに描いたからね。――見る?」
「ああ、ぜひ」
彼女は、今しがた完成させたイラストを、俺に見せてくれる。
俺は、それを目にして
「すご……」
とても
少女は、顔をうつむかせており、地面には足元を中心とした、小さな水たまりが出来ていた。
ただ、何かに
まさしく、人間の
辻さんは、口を開ける。
「人にはそれぞれ、
彼女は、続けた。
「私の
辻さんは、堤防に流れる川を見つめながら、言った。
「――私の絵には、そういう絵が多い」
今日の
ラノベ研究部の野望 うめ生徒 @umeseito
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